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棄てられ王子の最強イカダ国家 ~お前はゴミだと追放されたので、無駄スキル【リサイクル】を使ってゴミ扱いされたモノたちで海上都市を築きます~  作者: タック
第八章 世界が終わる七日間

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ディーロランド王国の伝令

 主要なメンバーが海上都市ノアの艦橋に集まっていた。

 スパルタクスとダイギンジョーも水着だが、そこは気にしないでおこう。


「ノアクル様、可及的速やかにお伝えしたいことがあって、参上仕りましてございます!!」

「たしか見た顔だな……。ディーロランド王国の牢屋で助けに来てくれた兵か? そんなに畏まった話し方をしないでいいぞ」

「ははっ!」


 ヴァンダイクが言うには、彼は船で外からやってきたらしい。


「この島は魔術による通信も届かず、直接向かうしかなく……ノアクル様と面識がある私が選ばれました!」

「ディロスリヴの奴の気配が消えて、周囲の大渦もなくなったから来ることができたのか」

「でぃ、ディロスリヴの奴……?」


 つい神聖な海神サマを呼び捨てにしてしまったが、実際に会って面倒くさい性格の奴だったから仕方がない。

 もうちょっとフレンドリーだったら違っただろうに。


「気にするな。……して、何があったのか説明してくれ」

「ははっ! 本日、魔術通信によってアルケイン王から宣言がされました!」

「ふんっ、息子にすら顔を見せない父上が珍しいな」

「内容は『七日後に世界を滅ぼす』というものでした……」

「何かの間違いではないのか? さすがにあの父上でも、そこまで馬鹿なマネはしないだろう。それに実質的に国を動かしている大臣などが止めるはずだ。聡明なジウスも……いや、待てよ」


 少し前のことを思い出していた。

 トレジャンを連れ去ったムルは、アルケイン王国の旗艦である戦艦エデンに乗ったのだ。

 戦艦エデンを駆っていたのはジウスドラの可能性が高い。


「何をしようとしているんだ……ジウス……。それにアルケイン王国に何が起こっている……」

「わたくしやノアクル様が離れて以来、アルケイン王国からの情報が少なすぎて把握できませんわ……」


 ローズがこう言うのなら、現状のアルケイン王国がわかる人間はいないだろう。

 あれから結構な時間が経ったが、国内がどうなっているかわからない。


「アルケイン王国……。トレジャンが連れ去られ、お父さんがいるかもしれない場所……」


 ジーニャスがポツリと呟いた。

 色々と思うところがあるのだろう。


「さて、どうしたものか。……そもそもの話、ただの与太話かもしれない。頭のおかしくなった父上が、独断で発言したという可能性もあるだろう?」

「それがこちらに向かっている最中に、とある報告がきたのです」

「とある報告?」


 何か嫌な予感しかしない。


「アルケイン王国へ確認のために向かった他国の船が、撃沈されたとのことです」

「おいおい、本気かよ。国際問題も気にしないってのか」


 そうなると冗談ではなく、七日後に世界を滅ぼそうとしているのだろう。

 実際に滅ぼせるかはともかく、ろくなことを考えていないのは確かだ。


「だが、堕落した大臣連中はともかく、さすがに宰相であるアルヴァさんが止めに入るだろう」

「そ、それがないということは……」


 発言したことを『しまった』と思った。

 疑問は答えへと帰結してしてしまう。

 それが頭の良いローズなら尚更だ。


「お父様が止められない状況……まさか……もう……」

「い、いや、ローズ。まだそうと決まったわけじゃないだろう?」

「宰相の娘です。覚悟は……できておりましたわ……」


 場の空気が一気に重くなってしまった。

 スパルタクスなんかは、意味がわからなくても表情から察してアワアワしてしまっている。


「ああ、もう面倒くさいな。ローズ、我慢せずに確かめに行きたいと言え」

「で、ですが……他国の船が攻撃されるような危険な状態で……」

「俺は別に父親であるアルケイン王の野郎なんて気にしてないが、アルヴァさんには小さい頃からお世話になってるからな。他の奴らの意見はどうだ?」


 かなり大きな情勢が絡んでいるかもしれないので、数瞬の間があった。

 最初に口を開いたのはジーニャスだ。


「わ、私は……お父さん……いえ、海賊王フランシスの安否を海賊団の船長として確かめたいです! ……にゃ!」


 一瞬、語尾を忘れていたようだ。

 次に意見を言ってきたのはアスピだ。


「ホッホッホ、それにムルもアルケイン王国にいる可能性が高いしのぉ」

「たしかにジウスとの関係も訊きたいところだな。スパルタクスはどうする?」


 そう言って視線を向けると、無駄に力強い返事が返ってきた。


「僕、馬鹿だから分からない! だけど、ローズ様が悲しそうな顔をしてるのは嫌だ!」

「同感だ。ピュグはどうだ?」


 ドワーフの少女はいつもと変わらないテンションで言い放つ。


「採掘した闇鉱石で装備を作っているので、ぜひ実地テストをしたいですます!」

「――だ、そうだ。ローズ、お前が我慢しようとしても無視して行ってやる。無駄な抵抗は諦めろ」

「で、殿下……みんな……」


 泣いてしまったローズの涙を拭ってやると、大きな声で宣言した。


「これより海上都市ノアは、アルケイン王国へ向かう! 出航の準備だ!」

『おー!!』


 全員の心が一致した、気持ちの良い声が船内に響き渡る。

 いや、一人だけツッコミを入れるのを待っていたようだ。


「だから、まだエンジンが修理できてないってんだ!! バカヤロウ共が!!」

「あ……」


 全員の視線がヴァンダイクに向いて固まってしまった。

次話から二日に一回の投稿予定です。

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漫画:フミキチ先生
原作:タック


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