犯人逮捕
「隊長、オルトは謹慎だから出頭しないと言ってきました。」
「ったく、あいつは・・・来ないなら捕縛していいから、連れて来なさい」
「「「はっ!」」」
◇
あいつは・・・あの時の騎士か!
そして、また上玉の子供を連れているじゃないか。
あの子は狐人族か?にしては銀髪とは珍しい。
さっきは邪魔してくれたが、その子ならお釣りが来るぜ!
「フフフ」
さすがは騎士というところか。中々油断しないな。
◇
「ジャスミン、疲れたろ!あそこのお店でジュースを飲もう」
ジャスミンが頷く。
よ~し、チャンスだな。ジュースを買う時には必ず手を離すはず。
チッ!片手でジュースを買いやがったか・・・
「ほら、ジャスミン、ジュースだ。」
ジャスミンが両手でジュースを受け取るため、繋いでいた手を離す。
今度こそ、チャンスだ!「インビジブル」
ガシャン!ジュースが落ち、ジャスミンの姿が見えなくなる。
男は小声で「ざまあみろ」と呟き、ジャスミンを抱えて走りだそうとした。
ドサッ!
痛烈な痛みが顔面に!
まさか、こいつ見えているのか?
ビリビリ、ビリビリ
「なっ何をする」
「何をするは、こっちのセリフだろ!今度は捕まえたぜ」
俺はそう言いつつ、男の両手を後ろ手に縛り上げる。
「離せ!」
「誘拐犯、現行犯だ!逮捕する」
「貴様、何でわかった?」
「お前は馬鹿か!大事なジャスミンがお前に連れ去られないように対策しない訳がないだろうが・・・」
「対策だと~」
「教えてやる。この子のリボンには、お前の魔法は効かないぜ」
「なんだと~~」
「アンチマジック効果が付与されてるからな。しかし、お前自身は魔法じゃなくて、その見えなくなる魔法が付与された服を着ていたんだな!この前、逃げられたから、そうじゃないかとは予想してたがな」
「なんだと~!お前は・・・いったい」
「あとは騎士団の詰め所で喋ってくれ!隊長がかなり怒ってれからな!ただじゃ済まないと思うぜ。」
本当は魔力感知も発動していて、ジャスミンの身体の形がわかったから、コイツの居場所を予想しやすかったというのはあるが、俺の平穏な生活のためには喋べらないんだが・・・
・・・・・・
「何事だ!あ、オルト!お前は謹慎してるはずじゃないのか?」
「ハハハ、すいません。ちょっと買い物で・・・」
「全く、お前という奴は!ところで、この騒ぎはなんだ?」
「ああ、レッテルさん、コイツですよ。子供を誘拐していた奴」
「はぁ?」騎士団のレッテルは口をポカンと開けて固まった。
「ほら、見てくださいよ。コイツが着ている服。着ると見えなくなるんです。魔道具ですかね~!自分で作ったのか?」
「・・・」
「あとはよろしくお願いします。俺は謹慎中なので、もう少しジャスミンと買い物して帰ります。」
「ま、待て!オルト、お前・・・」
「レッテルさん、ジャスミンのジュース、コイツのせいでこぼれたんですよね。また、買ってやらないと・・・じゃあ、本当にあとはよろしく」
「・・・」
俺はジャスミンのジュースを買い直し、家に帰ることにした。
◇
「隊長、戻りました。」
「オルトはどうした?」
「オルトはジャスミンちゃんと街に買い物に出たとのこと」
「街に捕らえに行け!」
「「はっ!」」
「隊長、戻りました。」
「レッテルか!そいつはなんだ?」
「最近の連続誘拐事件の犯人だと、オルトに渡されました。」
「・・・・・・な、何を言ってるんだ?わかるように説明してくれ」
「昨夜は夜勤だったため、本日は遅番で、こちらに向かっておりましたところ、喫茶店で何かあったようで人々が騒いでおりましたので、中に入るとオルトが居まして、ちょうどよかったとコイツを渡されました。」
「それで、オルト?」
「なんでも、自分は謹慎中だから、よろしくと」
「・・・・・・オルトの奴~!」
「オルトがどうかしたんですか?」
「レッテル、いやいい。それより、そいつの尋問を頼む。誘拐された子供の救出が先だ。」
「はっ!」