美人上司には引っ越しの挨拶できたけど、もうひとりの隣人には会えてない。どんな奴が住んでるんだか未だ不明。
さて。俺は一旦部屋に戻り、もう一つ買っておいた、美人上司にあげた菓子折りと同じ菓子折りを手に持って、今度は504号室の呼び鈴を鳴らした。
しかし。
誰も出てくる気配がなかった。
留守かな?
試しに、もう一度押してみた。
ピンポーンという小さな音が部屋のなかから聞こえ、どうやら呼び鈴自体に異常はないみたいなので、多分、今、504号室の住人は不在なんだろうなと思い、俺は諦めて部屋へと戻った。
次の日も、その次の日も、
504号室へと出向き、俺は引っ越しの挨拶を済ませようと思ったが、住人とは会えず終いだった。
504号室にはどんな人が住んでいるのか分からぬまま、時流れたが、その間、美人上司は
俺に料理のお裾分けを持って来てくれたりした。
「どーせ、最近ろくなもん食べてないんでしょ??
近頃の山吹くん、顔色あんまりよくないぞ」
「ほら、これ。筑前煮の残り。
頑張って出汁取って作ったんだから、
味見なさい!!」
そう言われて、大きめのタッパーを手渡された。
「あ、まぁ。これからコンビニに飯を買いに行くところでした」
「コンビニ飯?だめよ、そんな食生活してちゃ!あ、そーだ!!明日の夜は、鍋の予定だから!
二人分作るから、家に来なさいっ」
「え、いいんですか??」
「勿論よ!」
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