償い(3)
日間3位!ブクマと評価して下さった方、ありがとうございます。
次は皆で週間ランキング上位を目指しましょうぜ、ぐへへっ!!
ところで、前回の話で初の感想いただけました!
良かったら皆さんも、一言でいいので感想を書いてくださると嬉しいです!(ユーザーさん以外も出来るよう、設定しました!)
大切な物や人が、ずっと側に居続けてくれるって。
それが僕にとっての日常で、当たり前の事なんだって。
いつの日か、そんな勘違いをしてしまっていた。
「先輩っ、あぶないっ!!」
「えっ?」
後ろを振り返ろうとしたのだが、そんな暇もなく突き飛ばされ、勢いのまま地面に突っ伏してしまった。
後方で、ばんっ、という鈍い音が鳴り響く。
「いてて……。……おい、芽依?」
当たり前なんて言葉は、幻想だ。
僕の考え、その全てが甘い考えだったと気付いた時には、もう何もかもが手遅れだった。
◇◆◇◆
「……ん」
まず見えてきたのは……白い壁。これは天井?
次に状況を確認してみると、何故か私は眠っていて……。
ああ、分かった。ここは病院なんだ。
「っ。芽依!」
「……ママ、に、パパ?」
「ああ、良かった!」
ママが、泣きながら抱きついてきた。
……もういい年なんだし、恥ずかしいんだけど。
もしこんなところを先輩に見られでもしたら……そうだ!
「ねぇ、先輩は?!」
「え?」
確か、車に轢かれそうになったところを私が突き飛ばしてそれから……うーん。
駄目だ。当時の状況を上手く思い出すことが出来ない。
私は無事に、先輩を助けることが出来たのだろうか。
「……お前が探している子なら、多分今は下の階にいるぞ」
「えっ!」
パパが低い声で言った。
「お、お願いパパ。呼んできて!」
「……ああ、分かった」
そう言って、パパが病室の扉を開けようとした瞬間……。
がらっ。
外側から、何者かによって扉が開かれた。
その正体は、目に捉えた瞬間に分かった。
「芽依!」
「先輩!良かった~無事だったんですね。ということは私、ちゃんと先輩のこと守れたんですね!良かった~良かった―――」
がばっ。
……へ?
一瞬、何が起こったのかよく分からなかったのだが、冷静に状況を見てみると……。
私、先輩に抱きつかれた。
「ちょっ、先輩!?急にどうしちゃったんですか!?」
「ふざけんなよ!勝手に格好付けて、勝手にいなくなろうとしやがって!ああいうのは普通、男の俺がやることだろうが!」
「……先輩」
私が意識を失っていた間、先輩は先輩なりに色々と考えてくれていたみたいだ。
そう思うと、悪いことをしてしまったと反省する。
「……頼む、頼むから。もう二度と、あんなことはしないでくれ。急に俺の前から消えたりしないでくれ」
「……はい。ごめんなさい先輩。ごめんなさい……うああああんっ!!」
ついに泣き出してしまったことを、許して欲しい。
だって、先輩にこんなことをされて、言われて。
平静を保ち続ける事なんて無理に決まっている。
しばらくして、落ち着いてきた私を見て判断したのか、先輩は私から離れた。
「すまんな。いきなり抱きついたりなんかして」
「い、いえっ!私はむしろもっと……」
「ん?なに?」
「……なんでもないです」
……ちぇっ。泣く真似の練習でもしておくべきだった。
「……お前達。実はもう既にそういう関係なんじゃないのか?」
パパが、いきなりそんなことを言ってきて、思わずドキッとしてしまった。
「……お父さん。違うんです本当に。出しゃばった真似をしてしまって申し訳ございません」
「もうパパっ、先輩の前でそんな恥ずかしいこと言わないで!あと先輩も頭下げなくていいから!」
……本当に、折角の良い雰囲気が台無しだ。
するとママが、そんな私の心を読みとってのことか。
「ふふっ。それじゃあママとお父さんは、意識が戻ったことを伝えに行くから、その間二人でゆっくりしてて!」
「……いや、しかし」
「いいのよっ、松葉君」
そして二人は、病室を出て行った。
流石ママ!心強い味方!
「……じゃあ、芽依」
「は、はい!」
「気分はもう大丈夫そうか?」
「……えへへ。お蔭様で、もう大丈夫です」
「……そうか」
先輩と二人きりでいれる時間が、なんだかいつもより幸せに感じてしまう。
心が幸せに満たされていた私は、このあと先輩からとんでもない話を聞かされることになるなんて、思ってもいなかった。
「……芽依、大事な話があるんだ」
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