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第7話 パーティ結成

さっき奇跡的に狼五匹との死闘(?)に勝利した私は、薬草を取り忘れて帰ってくるという致命的なミスをしてしまった為、また森へと戻ることになった。

街の出口に差し掛かった時、三人のパーティと思われる人達が何やら揉め事をしていた。

ダメダメ、こういうのは私みたいな他人が関わっていい話じゃないだろうし、そもそも何で揉めてるのか分からないのに…と横を抜けて森に行こうとした。

「俺はレベルを上げたいんだよ!お前らも早くレベルを上げたいだろ?!だから三人でもいいから森に行こうぜ!?」


「だーかーらー!もし何かイレギュラーが起こって死んでデスペナルティが発生したらどうするつもり!?」


「えっ、森に行くんですか?私も行こうと思ってたんですけど…」


三人が一斉にこちらを見た。

あちゃー、やっちゃった、関わらないって決め込んでたのについつい声を掛けてしまった。

っていうか今さりげなく聞こえてきたんだけど、このゲームって死んじゃうとデスペナルティみたいなのがあるの?

ってことはあの二回の戦闘…どっちも死んでたら相当厳しいデスペナルティが付いてたんだろうなぁ…。


「何ですか急に人の話に入ってきて?」


「あっ、いや、なんか、すいません、ついつい声を掛けちゃって…」


あぁ、なんかヤバい雰囲気だよこれ、相手怒ってるよ、あの時の狼みたいだよ。


「…森に行くんですよね?でしたら私達とパーティでも組みませんか…?」


対称的にヒーラーっぽい見た目の女性は冷静に私にパーティを組もうという提案をしてきた。

うん、この人優しいよ、天使だよ、こんな急に人の話に割り込んで入ってきた人にパーティを組もうなんて言う提案をするなんて、私には絶対出来ないよ。

でもねぇ…私はレベルを上げに行くために森に行く訳じゃないから…


「お気持ちは嬉しいのですが、私は森に薬草を取りに行くだけで…」


「あら…それなら…」


と断れそうな雰囲気になったその時、先程の女性に対して怒っていた男の人が落ち着きを取り戻し、こう言った。


「さっきはなんか怒ってすまん…いや、すいませんでした…代わりといってはなんですが…護衛みたいな感じでパーティを組む訳には…」


あー面倒な事になっちゃった。

でもまぁいいかな、このゲームでNPCじゃない人と関わるのは初めてだし、パーティーっていうのも生産職じゃあまり体験出来る事じゃなさそうだし、ここは提案に乗っちゃおう。


「宜しいのであれば…」


「ありがとうございます…失礼ですが職業は?」


頭を抱えそうになった。

い、いや、護衛って言われてるし、本当の事を言ってもいいんだろうけど、なんだか躊躇っちゃうなぁ…


「あ、えーと…生産職ですが…」


少し場の空気が凍った。

この時に思うことじゃないんだろうけど、女性の後ろにいる子供みたいな身長の人…全く喋ってない気がする。


「…ま、まぁ!職業の選択は人それぞれですし…」


「あ、あぁ!そうだな!楽しきゃいいもんな!」


慌てて取り繕ったんだろうけど、グサグサ来てます、逆効果です。

まぁ戦闘に不向きな職業だから仕方ない反応だろうけどもね…


「あ、自己紹介しあいましょうか…」


私も取り敢えずこの場の空気を変えるために発言したけど、なんか気まずい…。


「あぁ、自己紹介は大事だもんな…俺はヤマト、戦士だ、レベルは7だ。」


「私はアートよ。職業は治療者(ヒーラー)で、レベルは6よ」


…あれ?私より低いの?

っていうかそうだよね、多分この人が危険を犯してまでレベル上げをしないように慎重に行動してるから、とりあえず先に進んで行く私みたいにレベルは上がらない…いや私がおかしいだけ?


「…後ろの方は?」


私が少し笑顔で話しかけると、その子はビクッという反応をした。

うん、やっぱり間違いないわ、これコミュ障だわ。

私もこの子と同じ運命になりかけたけど、何とか克服出来たから今の私がいるんだよね。

するとその子はボソボソと小声で話し始めた。


「…アオイ、術士、レベル7…」


かっ…可愛い!

見た目も可愛い、声も可愛いってこの子も天使じゃん!羨ましい!


「…うん!ありがとう!えーと、ヤマトさん、アートさん、アオイさんよね?」


と確認すると、うんうん、という反応があった。

アオイちゃんはピクっとなってたけどね。


「じゃあ今度は私の自己紹介ね!私はアクア、職業は生産職で、えーと、戦闘レベルは11…」


と言ったところ辺りで、皆が目を見開いていた。

うん、まぁそうだろうね、さっきまで下を向いていたアオイちゃんもこっちをしっかりと見てるんだし。


「え?あ、えーと…もしかしてパーティを組んだことがあるんですか?」


「いいえ、これが初パーティですが…」


「…あ、分かった!もしかしたら草原にいる敵を倒してレベルを上げたのか!」


「いいえ、草原には行ったことが無いですし、そもそも戦闘経験三回です…」


もう驚きすぎて次の予想も出てきていないだろう。

まぁ、そりゃ生産職という戦わない職業が自分達よりレベルが高いなんて思わないだろうし、しかも三回しか戦ってないって言われてるもんねぇ、そりゃこういう事になるよね。


「…まぁアクアさんが強いということは分かりました!どのような手段を使ったのかは分かりませんが、生産職でそんなに強いひとなんていませんよ!」


「あぁ、凄い人がいたもんだ、確かにさっき開始されたばかりのゲームなのにあそこの敵を狩り続けてもこんなにレベルは上がらないからな!」


「…凄い」


むちゃくちゃ褒め讃えられてる、凄く嬉しい!

…まぁ、レベルがこんなに上がった理由が、その目的地の更に奥に行った所にある迷いの森林というダンジョン…?なんて思いもしないよね。


「よーし、じゃあ自己紹介も済んだことだし…出発しんこー!」


「「おーっ!!」」


「おーっ…」


やっぱりアオイの声だけ小さかったけど、こうして結成された私たちのパーティは森へと進み始めた。

戦闘回数に誤りがあった為修正致しました。

《訂正》

戦闘回数二回→戦闘回数三回

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