第6話 狼達との戦闘
さぁ、まずは冷静になろう。
冷静になってこの状況をどう切り抜ければいいか考え…
という時に1匹の狼がこちらへ攻撃を仕掛けてきた。
やっぱそうだよね!冷静になって考え事させてくれる程世の中甘くないよね!
とロングソードを取り出して勢いを利用して狼に剣を刺した。
かなり良いダメージが入ったようで、その狼は光となって消えた。
おお、こりゃラッキーラッキー、まさかこれで1匹を倒せるなんて思ってなかったから、これで少しの負担が減らせる!
一方狼達はというと…?多分先陣を切った仲間が一撃でやられたから警戒しているんだろう、1匹も近付いてこない。
いや、まぁ、一撃で倒したというか、一撃で倒せちゃったと言うべきなのかな…?
まぁとりあえずこれでまた冷静になろう、狼達は警戒心MAXで迂闊には近付いてこないだろうし。
まず1つ目の考えとしては、このモンスターの巣から撤退するという方法。
でもこれは逃げたところで追いつかれたら結局逃げた意味がなくなるし、そもそもここがモンスターハウスと同じような設定なら、ここから逃げることは不可能だろう。
ならやっぱり戦うしかない…んだろうけど、今奇跡的に一匹を倒せたとは言っても、その奇跡が他四匹に通用するかは分からない。
せめて何か、何かあれば…と言うところで、私はある事を思い出した。
そういえばあの時、別の剣を作ってたよね?
ならそれを…!と私は左手にアイアンソードを持った。
これが両手剣!攻撃手段も増えるからもしかしたら勝てるかもしれない!
と狼四匹に剣を構え、第二ラウンド(?)が始まった。
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まず動いたのは私。
狼達は攻撃を仕掛けてこないから、それなら私から先に攻撃を仕掛けてしまおうという魂胆だった。
途端に動き出した私に狼達は少し後ずさり、一斉に襲いかかってきた。
絶望的な状況だけど、私はある行動をした。
体を回転させ、剣を360°振り回すという攻撃だ。
スキルっぽいけどそんなスキルは持っていない。
だけれども囲まれて襲いかかられている以上、この範囲攻撃しか切り抜ける方法は無いのだ。
私のそんな考えは面白い程上手く行った。
一匹は間一髪という所で避けられてしまったが、残りの三匹はその勢いを弱められずに私の剣に当たり、見事に撃破した。
いや、面白い程上手く行きすぎて怖いんだけれども、生産職の私がどうしてここまで格上の相手五体と戦えているの!?
もしかして私が今持っている武器って案外強かったりするの?でもそれだけじゃないだろうし…スキルの恩恵が強いのかな?
と文字通り一匹狼となった敵は次の行動をどう取ればいいのだと言わんばかりに困惑し、そして激昂した。
【獰猛な狼が激昂しました、攻撃力が上昇します】
なるほど、仲間を倒されたから怒りの余り我を忘れちゃったって訳ね。
でもどうせ攻撃力が上がった所でこっちも一撃で倒される可能性があったし、そして戦闘中に自我を失うということはとりあえず攻撃して倒してやるという魂胆が丸見えなのだ。
フェイントや回避なんてない、ただ考えるのは目の前の敵を倒すことだけだろう。
でも、それが命取りになったね。
予想通り激昂した狼はただ真っ直ぐこちらに向かってきた。
そして私はと言うと…右手に持っていたロングソードを地面に置き、先程鍛治で作ったアイアンソードを手に持ち、そして投げる体勢を取った。
この
普通に倒した方が勿論確実性は上がるだろうけれども、武器を投げて敵を倒したらスキルが貰えるってありそうじゃない?
しかもこんな真っ直ぐ突っ込んでくるだけの格好の的もいるんだし、逆にチャンスでしかない。
でもこれを外してしまったら終わりだ。
手を震わせながら狼へと狙いを定め、そして…
「これで終わりよ!」
とアイアンソードを投げつけた。
そしてその博打の結果は…
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私が投げつけたアイアンソードは見事に狼に刺さり、撃破することに成功した。
…ほんとに?という感想しか出てこない。
だって生産職である私がこんな強敵を倒せるなんて…。
Lvが6から12へと一気に上がり、更に三つのスキルを獲得することが出来た。
休憩したい所だけど…と私はスキルを確認した。
【回転斬り】※両手剣専用
体を回転させながら剣を振り回すことによって範囲攻撃を行うスキル。
[条件]上記の行動を取って敵を三体以上撃破する。
【投擲】
敵に所持している武器を投げつけて攻撃するスキル。
攻撃力は武器の攻撃力に依存する。
[条件]武器を投げて敵を撃破する。
【狼殺し】
狼系統に対しての攻撃力が50%上昇する。
[条件]狼系統を五体ノーダメージで撃破する。
おお、思い通りに獲得できたスキルと、たまたま獲得できたスキルがあった。
っていうかこの狼殺しの条件を見てたんだけど、こんな序盤で、しかも生産職が手に入れられるスキルじゃないなぁ…本当にありがとう神様!
とモンスターの巣の中心にゲートの様な物が現れた。
これが脱出口だよね?これで何とかノーダメージ生還!とゲートをくぐると多少の浮遊感があったが、森の入り口へと飛ばされた。
【迷いの森林世界初攻略に成功しました。ステータスが上昇します】
うわ、ほんとに?生産職だよ?なんか申し訳ない…っていうからここ誰も来てなかったんだ…
なんだかご都合展開みたいな感じになっちゃったけど、無事に街に戻れ…って
「あーっ!薬草取り忘れたーっ!」
とまたもや森へと戻ることになった…今度は奥へは入らずにね。