第4話 初鍛治!
無事に街へと帰った私は、生産職らしく何かを作ろう!と思い、鍛冶屋という場所に行った。
武器を作りたいって思って生産職を選んだわけだから、楽しみだなー!という考えで向かっていった私であったが、内心不安もあった。
そんなことしたことないし、そもそもどうやって作るの?という気持ちで一杯だった。
鍛冶屋に着くと、その場所に相応しいような身体を持った男の人が立っていた。
するとその人は私に気が付いたようで、
「ようお嬢ちゃん!こんな所に来るなんて、どうしたんだ?」
と声を掛けられた。
人だから喋るのは当たり前なんだけど、いきなり話しかけられたことで少しビクッとしたけれど、私は、
「ここで鍛治のやり方を教えてください!」
と言った。
良かった、まだ私は人と話せるから良かったけど、そういうのに慣れてない人はきびしいだろうなー、と思って男の人を見ると、驚きの表情を浮かべていた。
えっ、何で?私何かしちゃったのかな?と思いながら、その人をもう一度呼んだ。
「あ、あぁ、すまない、まさか君みたいな子が鍛治を教えてくださいなんて言うとは思ってもいなかったからな、少しビックリしちまった。」
うん、少しじゃなかったよね、明らかに頭が真っ白になってたよね。
ってまぁそうか、女性で鍛治をしている人なんてそうそういないもんね…。
「ま、まぁ分かった、ならそんなお嬢ちゃんにこれをやろう。」
と言い、少し重いハンマーを貰った。
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・初めてのハンマー 生産力:6
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なんだろう、ここの運営って初めての、って付けるの好きなのかな?ってくらいに付いてる。
それと同時に、「スキル:初見鍛治Lv1を入手しました。」と表示された。
まぁこれも鍛治をしていけばレベルが上がるんでしょ?ともう確認すらしなくなった。
「じゃあやり方を教えてやる、こっちに来な。」
とさっきの人に案内された。
どうしようどうしよう、ついに鍛治の時が来ちゃった、と焦りながら奥へとついて行った。
「じゃあまずは鉱石はあるか?」
と言われ、アイテムのボックスから鉱石を取り出した。
見れば、「鉄鉱石」という表示が書かれていて、もしかしたらスキルを入手したからなのかそれともレベルが上がったから鉱石の詳細が分かるようになった?と予想した。
「お、鉄鉱石か、初めての加工には充分だ、ならまずはこれを使って加工してみるとするか。見ておけ、加工って言っても想像しているより遥かに簡単になっている、安心しな。」
と言われ、ホッとした。
ってことはこのゲームでは鍛治が簡単になってるってことだよね?それならもしかしたら行けるかも…と言われたが。その加工方法は私の不安を完璧に吹き飛ばす位に簡単であった。
「工程は2つだ、鉄を熱して、叩いて形を整える、これだけだ。」
…え、それだけなの?
ははは、この人は冗談が上手いんだなー、って思ったけど、まぁ本当の事なんだろうな…と感じた。
すると画面が現れ、
「クエスト『チュートリアル:鍛治』が発生しました。」
という表示。
詳細を見てみると、加工を終了するだけで達成できるクエストらしく、このクエストを達成すると色んな武器や防具が製作出来るようになる、との事。
今回作るのは剣らしいけど、これ防具とかはどうやって作るんだろ?まさか叩いて作る訳じゃないだろうし、もしそうなら簡略化しすぎだし。
まぁとりあえずはやってみるに限るよね、と鉄鉱石を持ち、熱し始めた。
…暫く経った時、「加工できる温度に達しました。」と言われ、本当に簡単になってるな…、と思いながら取り出し、ハンマーを取り出した。
よくよく見るとその鉄鉱石は剣に加工出来るような形にいつの間にかなっており、しかもそれが薄ーい剣の形にマークされている所があり、思わず
「簡単になり過ぎじゃない!?」
と心の中で叫んだ。
そしていざ叩いてみると、驚くくらい簡単に鉄鉱石が加工できて、あっという間に加工が終了した。
もしかしたら、あの時取った「加工能力」が関係してるのかもしれないけれど、これはおかしい、おかしすぎる。
初心者にも出来るように簡単にしたんだろうけど、余りにも適当な気がする。
「おぉ、一回目でこんなに出来るなんて思わなかった、凄いなお嬢ちゃん」
と言われたけど、私もそれを今ちょうど思っていた所です…。
そして表示に「アイアンソード:攻撃力11」と出て、まぁでもロングソードよりは弱いみたい、と思…という所で、いつの間にかあの一応剣の形に整えられた鉄鉱石が、いつの間にか綺麗に磨かれていた。
あ、はい、そうですか、そこまで簡単にしますか、と拍子抜けした感じはあるけれど、まぁあんまり難しくされても困るし、もう何も考えないようにしよう、と私は、心の中で決めることにした。
「クエスト『チュートリアル:鍛治』をクリアしました。生産レベルが1上昇しました。鉄製の武器や防具が生産可能となりました。スキル:初級鍛治がLv2に上昇しました。」