女性作者が男性向けなろう小説を書くための指南書
本エッセイは、女性作者が男性向けなろう小説を書くときに気をつけたほうがいいことをまとめてみたものです。
では、それは何なのかといいますと、結論から一言で言えば「男のプライドを満たしてあげること」です。
男というのは何歳になってもスゲースゲーと言われたい生き物でして、この感情を主人公という読者の視点となる存在を通じて満たしてあげることが肝要となります。
女性作者がやりがちなミスとして、「女のために頑張る男」という話を書いてしまいがちですが、これは少なくともなろうでの男性受けは大変難しいと考えてください。主人公がヒロインを助けるのは「活躍した結果そうなっただけ」であって、ヒロインを助けること自体は目的としてはいけないのです。語を変えて繰り返します。なろう男性向けでは「かっこよくて強い活躍をした主人公にヒロインが惚れる」のが喜ばれます。「ヒロインのために活躍する」のは本末転倒なのです。
なろうの男性読者がヒロインに求める役割というのは、ぶっちゃけ「キャバ嬢」です。主人公に色目を使い、とにかくすごいすごいと褒めそやす、そういう存在です。一点キャバ嬢と違う点を挙げると、打算が一切なく主人公を本気で好きという点でしょうか。
同時に、ヒロイン同士が主人公を巡って嫉妬の火花を散らす、というのもあまり受けが良くないです。ヒロインが全員自分に惚れていて、それでいてみんな仲がいいという男性読者の身勝手な願望を叶えるのが大事です。
とにかく、ヒロインは主人公にひたすら都合のいい存在として描くこと。女性作者には色々キツイでしょうし身も蓋もないアドバイスですが、それが読者受けというものなのです。
また、「主人公より強いヒロイン」もNG。前述したように、男性読者というのは自分の分身たる主人公がすごいすごいと周囲に持ち上げられることを望みます。ですから、主人公より強いヒロインなどというのは主人公をかすませる存在でしかなく、はっきりいって邪魔になってしまうのです。
男性向け作品にバトル物が多いのは男が基本的に物理的な争いが好きというのもありますが、それ以上に他者との優劣がはっきりとわかりやすいという点が重要と考えます。繰り返しになりますが、とにかく主人公=読者=すごいというメッセージを発し続けることが大事です。
なお、本エッセイで書いた内容は、あくまでもなろう上における「傾向と対策」であり、絶対的な結果を保証するものではなく、例外もあることを申し添えておきます。
以上、本エッセイが皆様のご創作の一助になれば幸いです。