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オルフェオとジルの出会い

 日も暮れてしまい、路地裏に明かりは全く入ってこない。もしそこに人がいても気付くことができるか分からないような場所である。そんなところで男性二人がこそこそと話をしていた。


「すみません、ジルさん。まだ何も……」


 ジルと呼ばれた長身の男性は何も言わずに少し顔を上げて煙草の煙を吐いた。

 新しいスペードの兵士が選出されたらしい。

 普段ならトランプ兵の選出の発表は国中に広まり、国全体がお祭り騒ぎになる。しかし、今回は何故か情報屋の間だけに広まった。新しいトランプ兵については顔も名前も分からない。こんなことは今までにない異例のことだった。

 スペードのトランプ兵は過去に選出された者をみるとほぼ騎士団の中から選ばれている。そのことから騎士団から選ばれることが原則だとも言われている。そのためジルは騎士団の誰がトランプ兵に選ばれたのかを情報屋に調べてくるように依頼していた。

 騎士団の団員の顔、名前、その他の情報については全員把握済みである。情報屋でも名前と少しの情報までは知っているはずだ。その騎士団の中から選ばれた一人が誰か分からないなんてことはあり得ない。


「最初は三日で持ってこれるとお前は言ったな、情報屋。だが、もう半月が経つ」


 辺りは暗くてジルの表情が分かるはずがない。声も震えているわけでも特別低くなっているわけでもない。いつもと変わらず耳に響くようなジルの低い声に情報屋は震えた。


「隠せばどうなるのか分かってて覚悟の上でのことか、それともただの無能か」


 ジルは情報屋の襟元を掴んで引き上げると、ヒッと情報屋が声を上げた。


「すみません、すみません! 本当なんです!! 本当に何も情報がなくて!!」


 どうか命だけはと情報屋がありきたりなことを言ってくる。ジルは情報屋に聞こえるように舌打ちをし、押し倒すようにして離した。尻もちをついた情報屋の前で屈みこむと、情報屋の腕で煙草の火を消す。情報屋の痛がる声が聞こえてくる。


「そうか、だったらこれ以上無能を雇うつもりはない。お前はクビだ。……だがまあ、雇ってしまった俺にも責任がある。半年分の金はやる」


 情報屋はジルから渡された金の量を見て、表情を明るくした。ジルはそんな中年男性の情報屋が幼い子どもに見えて優しく頭を撫でた。


「……気をつけておかえり」


 情報屋には聞かせたことのないような優しい声で囁く。

 情報屋は足取りを軽くして去っていった。ジルは情報屋が去ったのを確認してから、ポケットに入れていた金袋を投げる。パシッと誰かが投げた金袋を受け取る音が聞こえる。


「前金だ。……片付けたら同額支払う」


 袋を受け取った者がコツコツを歩いていく音が聞こえる。

 ジルは首の後ろを片手で押さえながら深いため息をつく。少しその体勢で時間を過ごしてから立ち上がると、壁にもたれる。首から提げているカメラの電源をつけて、今まで撮った写真を見返す。

 ジルは騎士団の団員の実力、性格、志を把握し、スペードの兵に選ばれるであろう人材の候補を挙げていた。その中でも一番有力だった候補者はジェラルド・スパーダという青年。彼の主な得物は槍ではあるが、まだ若くもありながら剣術、体術でも目覚ましい実力を蓄えていた。性格は明るく、いつも同僚など人に囲まれて、笑顔を絶やさない青年。そして、スペードのキング且つ騎士団団長であるダヴィドに憧れ騎士団に入団し、住民には誠実でとても慕われていた。選ばれるに違いないと思って目をつけていたのだが、どうやら彼は一か月ほど前の帰省時に魔物の襲撃に遭い、死んでしまったらしい。他にも候補はいたが彼らにも特に異変はない。


(じゃあ、一体誰だというんだ)


 写真の履歴はトランプ兵、候補者、カモフラージュのための風景や人物など写っているものは様々だ。次々と遡っていくと前もってジェラルドを撮っていた写真のところで指の動きが遅くなる。任務中やプライベートなど場面はさまざまで、その枚数は数十枚と既にトランプ兵になっている者の次に多い。もう候補から外れた、ましてや死んだやつの写真は必要ない。その写真を全部選択して消去しようとしたが、手の動きが止まる。鼻からため息を吐き、ボタンを押し切らない力加減でボタンを指でトントンと叩いた。しばらくたってその指は選択を移動させて、キャンセルをした。


(我ながらいい写真だ)


 ジルは壁から背を離し、手を丈の長いコートのポケットに入れて歩き出す。

 一度だけ、ジェラルドと話したことがある。いつも通り酒場に行ってそこの客に混ざり、トランプ兵の話題を聞き出そうとしたときにジェラルドに出会った。

 そう、こんな風に店のドアを開けると彼は驚くようにしてジルを見上げた。


―――――


 スペードの7の兵士になって、そのままエスカレートで騎士団に入団してはや半月。オルフェオは全く環境に慣れないでいた。

 トランプ兵については国王に直接にお願いして、新しい環境に慣れるために三ヶ月の間は発表を待ってもらっている。そのため、オルフェオの入団についてはジェラルドが死んだあの出来事での功績が称えられたことによるものだということになっているらしい。異例のことに先輩たちの間でも戸惑いがあるのか、特に何も言われることはなく遠目でずっと視線を感じる。別の意味で視線を感じることの方が多いが……。

 とりあえず、一人になりたかった。そんな思いで騎士団の先輩がいなさそうな酒場に一人で訪れる。この半年は寮で食事をとった後は自室に引きこもってばかりいたため、都会の酒場は初めてだった。少し薄暗く洒落ていて広い店に少し驚いていると、後ろのドアが開く。一瞬だけ寒気がして振り向くと、背が高く引き締まった体つきの男性が入ってきた。その男性はオルフェオよりひと回りほど年上に見え、サングラスが大人っぽさを助長させている。ニット帽、タートルネックの服、ズボン、靴と黒のものを身につけており、黒じゃないところはニット帽から少し出ている紫の髪と、黄色の瞳、白い肌に、カメラ、丈の長い緑のコートくらいで、パッと見は黒い物体が現れたのかと思わされた。


(うわ、でっかぁ。団長くらいあるんじゃない?)


「……よう」


 オルフェオが呆然と背の高い男性、ジルを見上げていると、大人らしい笑みを返される。

 自分が道を塞いでしまったいたことに気づき、道を開けるとジルがオルフェオの横で立ち止まった。


「……一人か?」


「え?」


 オルフェオは思いもよらなかった言葉に思わず顔をあげた。呆然としたオルフェオの顔に人の良さそうな笑顔が返される。

 ジルにはオルフェオの姿に見覚えがあった。最近、騎士団に入団した青年、オルフェオ・バルディーニ。城壁の外の村の出身で、地元で魔物の襲撃に遭った時の行いを称えられて騎士団に入団したというだけの情報しかまだ入ってきていない。まぁ、オルフェオの態度といえばこの半年の間だけでも、数回の遅刻、訓練での私語、任務中の騎士として不適な行いなどなど騎士には相応しくない態度により怒鳴られているところを頻繁に目にする。それでも最初こそ目をつけていたがトランプ兵があれほど怒鳴られることがあっては示しがつかないだろう。功績があったとはいえ、なんでこのような男を騎士団に入団させたのかが理解できなかった。

 だが、他の騎士達と比べれば、キングのダヴィドやエースのヒトハとの交流が多い気がする。まず探ってみて、違っても他のトランプ兵の情報を引き出せばいい、そう思って声をかけた。


「酒は誰かと飲むもんだ、一人なら一緒にどうだ?」


 正直、一人になりたかったオルフェオにとってはありがた迷惑な話である。しかし、そんなことを彼が知るはずもないし、気の利いた年上の男性が若い自分を誘ってくれたことを思うと断る気になれなかった。


「はい、ぜひ」


「うん、今日は俺が奢ってやるから、思う存分に飲め」


 ジルはオルフェオの頭を押さえつけるように撫でて、そのままカウンターに向かった。オルフェオは少し戸惑った様子を見せたが、少し遅れてジルの隣に座った。


「マスター、いつもの」


 ジルが注文すると、すぐにお酒が入ったボトルとグラス二つが出てくる。軽くお礼を告げて、ジルはグラスにお酒をついでオルフェオに差し出した。


「ここはこの酒が美味いんだ」


 少し嬉しそうに笑って、ジルは頬杖をついた。オルフェオはグラスを持ち上げて、いただきますと少し頭を下げてから、くいっと一口飲んでみる。それはフルーティーで甘い、とても飲みやすいものだった。


「お、美味しい」


「……だろ?」


 ジルはまた嬉しそうに笑みを浮かべる。よほど嬉しかったのかまだ一口しか飲んでいないのに、飲め飲めと酒をつぐ。それが二、三回続くとオルフェオは既に酔い始めていた。ジルはその様子を見てそろそろだなと笑みを浮かべ、話題を持ち出す。


「それにしてもお前みたいな若者が一人で酒場に来るなんて、何かあったのか?」


 できるだけ安心させるような優しい声にするように心がえる。


「……いえ」


 オルフェオは持ち上げていたグラスをカウンターに置き、眉をひそめながらも笑みを作る。


「……遠慮するな。他人だからこそ聞いてやれることもある」


 ジルはオルフェオのグラスに酒をつぐと、覗き込むようにオルフェオの顔を見て微笑んでみせた。戸惑うような表情を見せたがオルフェオは恐る恐る口を開いた。


「オレ、一応騎士なんですけど、全く向いてないなって思って。いや、元から分かってたんですけど、でもここまで合わないかあと自分でも驚いてて」


 性にあわない。オルフェオにとって騎士団とはまさにそれだった。今まで小さな村で何でも要領よくこなしてきたオルフェオは、騎士団に入ってもなんとかやっていけると思っていた。しかし、騎士団員の考え方はまるで違う。騎士団という固められた強い志にオルフェオの思考を当てはめる場所が見つけることができない。自分というものを捨てて、そろそろ騎士団という色に染まることを考え始めていた。

 ジルはグラスを持ち上げ口に酒を含もうとするが、手を少し引き戻す。


「……なんで騎士団に入ったんだ?」


「友のため。まだあいつのために何ができるかは掴めてはないけど」


 ジルの問いに迷いがない答えがすぐに返ってくる。しかし、その答えもどこかふわふわとしている。


(確かにその性格じゃ、騎士団には合わないだろうな)


 ジルは酒を口に含み、自分のグラスにも酒をつぐ。頬杖をつき、グラスを傾け酒がライトを反射してキラリと光るのを眺めた。

 騎士団の団員は騎士だということに誇りを持っている。入団試験に受かるために、ずっと努力をして入団後も自分の役目を果たすためにどんなに苦しくとも努力を惜しまない。それで壊れてしまうものも何人も見てきたが、それはそいつに合わなかったということだ。それにすらついていけないのであれば、オルフェオは騎士団ではやっていけない。友のためとはいえ、自分の強い意志がなければあの環境ではやってはいけないのだ。


「……友のためって、そんなのでお前の気持ちが持つか?」


「いや、それは意外と大丈夫。あいつのことを考えたら頑張らなきゃ―って思えるから。というか、自分のためって思う方がやる気でなくて……」


 オルフェオとその友人の絆が思ったより固いものだということは分かった。

 前から騎士団に入っていた友人の手助けがしたいとか追い付きたいとかそういったところだろうとジルはみて、またグラスを傾ける。


「その友人はそんなお前になんて言ってるんだ?」


「……さあ、なんて言ってるんだろう。負けるなとか、いや違うか。こんな時にでも、楽しいなとか言ってきそうだな。あーうん、絶対そう。オレが怒鳴られてても、隣で笑うんだよ、あいつ」


 オルフェオはフッと笑みを浮かべ、少し顔をうつ向かせた。

 まだジェラルドが死んでから一か月と半月。たまに彼の笑顔を思い出しては胸をしめつけられる。うるっと思わず涙を零しそうになり、首を振った。


 ジルはオルフェオが何を言っているのか理解できなかった。彼が怒鳴られているときに、隣で笑っている者なんていなかった。いるのは白い目でオルフェオを見るものばかりだ。それに、今の話し方だとまるで……。


「……もしかして、その友人ってのは」


 ジルの声にオルフェオは少し首を傾げてから、ゆっくりと頷いた。


「友人は、一か月ほど前に魔物との戦闘で死にました」


 ジェラルド・スパーダ。一か月ほど前に魔物との戦闘で亡くなった者は彼だけだ。オルフェオの出身を聞いたときに聞いたことがあるような名前だと違和感がしたのは、ジェラルドと同じ出身だったからだと気付く。

 そういえば一度だけジェラルドと共に酒を飲んだ時に、一番の親友の話を聞かされたことを思い出した。あの時は、必要な情報ではなかったため真剣には聞いてはいなかったが。『誤解されやすいやつだが、誰よりも人のことを見ていて優しいやつ』だったか。実力があるため何度も騎士団に入るように言っているのにずっと断られているとも言っていた気がする。

 ジルはグラスをカウンターに置く。


(少し、見る目を変えたほうがいいか……)


 オルフェオのグラスを見ると酒の量が減っており、ジルはまた酒をつぐ。


「……だったらお前がその友人の分まで頑張らなきゃいけなってことだ。だが、今日はここで羽目を外していけばいい。明日から気合い入れなきゃいけないだろうしな」


「……はい!」


 ジルが頭を撫でると、オルフェオは照れくさそうに笑った。

 酔った勢いで余計なことまで話してしまって、楽しむべき空気を壊してしまったにも関わらず、ジルは優しく受け止めてくれ、励ましてくれた。オルフェオはその優しさに甘えて、つい騎士団に入ってからの驚いたことや、少しの愚痴も話してしまう。


「巡回のルートの中に市場があるんですけど、人がたくさんいるからつい色んな人と話しちゃって、そしたら先輩にすっごい大きな声で怒鳴られて……本当にすっごい声なんですよ。一緒に話してた人にも申し訳なくなるくらい」


 その光景はジルも何度も見ていた。何度も怒鳴られているのに直そうとしないため、懲りないなこいつとオルフェオに呆れるきっかけになった出来事の一つだ。なんとなく、こいつは人懐っこいだけだということが分かってきたから笑って聞けるが、住民との距離が近すぎるし時間をきっちり守らなければならない騎士には良くないことだ。


「ククククク、それは俺も見たことあるよ。あれはすごい声だ」


「ええ!? お兄さん、あそこいました!?」


 実際にはそこにジルはいない。ずっと離れたところからカメラを使ってズームで観察をしているだけだ。しかし、オルフェオがとても大きな声で怒鳴られていることは声が聞こえなくても手に取るようにわかる。なぜなら周りの者もビクッと体を揺らすからである。

 今言われてみると騎士たちからのオルフェオへの視線は冷たいものが多いが、民からは温かく他の騎士に怒鳴られた後も背中を叩かれたりして励まされていたりしていた気がする。


「うっそだあ。お兄さんはいなかった。絶対いなかった!!」


 自分が怒鳴られているのが恥ずかしいのか、オルフェオは市場にジルがいたことを全否定する。

 ジルはしまったと思った。オルフェオは酔うと絡みがどんどんしつこくなってくる。


「おいおい、そこまで恥ずかしがることじゃないだろ? いいじゃないか、新人は怒鳴られてなんぼだ」


「そうじゃなくて……」


 オルフェオは少し口を尖らせた。ジルは首をかしげる。


「オレ、一度見た顔は絶対に忘れないからさ」


 ジルの指がピクッと反応した。そして耳を疑う。

 たまに一度顔を合わせただけで名前は覚えていなくとも、声をかけてくる者がいる。しかしそれは、一度会って話しているからだ。もしオルフェオの言葉を信じるならば、そんな程度の話ではない。

 オルフェオが巡回しているのはそこそこ賑わっている市場である。オルフェオが怒鳴られているのだって、かなりの人数が見ているはずだ。それにも関わらずオルフェオはそこにはジルは絶対にいなかったと断言したのである。つまりその発言によれば、オルフェオはあの市場にいた大勢の者の顔を全員覚えているということになるのだ。

 しかし、酔った勢いで言った可能性も十分にある。ジルがいやいやと首を振る隣で、オルフェオはおかしいな~と首を傾げていた。



―――――



 オルフェオと酒を飲んだ次の日から、ジルはもう一度オルフェオの品定めをすることにした。オルフェオの性格を少し理解してからの彼の行動は急におかしく見える。また、市場で足止めを食らっているのだ。オルフェオから行っているのではなく、住民から声をかけられている。オルフェオはそこで話してしまうと後で怒鳴られるということが分かっているはずなのに、一つも嫌そうな顔をせず明るい笑顔を見せている。ジルはついシャッターを押してしまった。

 新作の試食だろうか、何かを勧められてオルフェオは口を含めると頬に手を当て体を揺らした。周りで拍手が起こっている。ジルはオルフェオの表情が見えた瞬間にシャッターを押す。その後すぐにオルフェオを含めた周辺の人々がビクッと肩を上げる。一人の騎士が何かを言いながらオルフェオに近付いていった。その騎士はオルフェオの襟元を両手で掴んで大きく揺らしている。

 その瞬間、ジルは笑いをこらえられなくなった。肩を震わしながらもシャッターを押す。おかしい、この前怒鳴られてあんなにへこんでいたのに何してるんだこいつ、と小バカにしながらもクククと笑いを抑えることができない。

 オルフェオを怒鳴った騎士が踵を返していくと、オルフェオの周囲にいた人が笑いながらもオルフェオに両手を合わして頭を下げる様子が見える。オルフェオは怒鳴られることを気にしていないかのように笑顔を返した。

 またシャッターを押す。

 オルフェオは住民たちに手を軽く上げると他の騎士のところに向かっていった。しかし、少し足の回転を緩めたと思ったら立ち止まる。


(……なにか見つけたか? どれどれ?)


 もう少しオルフェオにズームしてみると、オルフェオがこちらを向き、目が合った。

 瞬時にジルはオルフェオに背中を向け物陰に身を隠すようにしゃがみこんだ。驚きすぎて目が泳ぐ。

 本当は隠れるようなことをする必要はない。魔族ならともかく、人の視力では人を見分けられるはずもない、いやそれ以前に人影があるかも分からないくらい距離が離れているからだ。しかし、隠れなければならない気がした。カメラ越しに人と目があったのは久しぶりだった。

 ジルは顔を膝に埋め、ククククと肩が震わす。


(勘、鋭すぎだろ)


 久しぶりにジルは興奮していた。カメラを握る手に力が入る。

 やはりもう一度オルフェオを新しいトランプ兵の候補者にあげ、見直す必要がありそうだ。オルフェオが一体どういう人物なのか何としてでも掴んでやろうという熱が入った。


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