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黒い太陽

作者: ぺるがもん

今日も日差しは強く、私は焦げてしまいそうな気分に陥った。

太陽が燃え尽きると学会で発表され、実際に黒い太陽が目撃されて、地球のカウントダウンが始まった。


私たちの前に地球人としての終わりが見えたのだ。

お金を持ってる人たちや偉い人たちは移民船団で旅立った。ここに残っているのはそういう手段を持たない一般人だけなのだ。


発表されたときは全世界がパニックに陥った。暴動も起こったが直ぐに沈静化した。皆が諦めたのだ。

そして日常は再開された。


「おはよ」

「よう」

幼馴染のそら君だ。

「宿題やって来た?」

「見せてくれ」

「……もう」

いつものやり取り。他愛もない内容。

静かに過ぎて行く日常。今日も太陽は黒かった。


昼休み。屋上で私たちはお弁当を広げる。

「卵焼きもーらいっ」

宙が私のお弁当箱からさらっていった。

「……まあいいけどね」

いつもの事なので多めに作ってはいる。というか美味しそうに食べてくれるのは嬉しい。

宙のお弁当はコンビニ弁当だ。

宙のおばさんは心を病んで倒れてしまった。そんな人は沢山いる。うちにはそんな人はいなかったけどクラスメイトでも出て来なくなった人は多く居たのだ。

「しっかし午後も授業か……かったるいな」

「まあ仕方ないんじゃない? 将来の為だよ」

「将来ねえ……」

あの太陽が燃え尽きる正確な日付はわからない。今日かもしれないし明日かもしれない。もしかしたら私たちの寿命の方が先に尽きるかもしれない。

でも、終わりは見上げればそこにある。

「ねえ、宙」

「ん?」

「もし、さ、まだまだ世界が終わらなくて大人に成れたらどうする?」

宙は寝転がりながら答えた。

「さてな。考えた事もねえよ。なる様にしかなんねえし」

「そうだよねえ……」

「でも、確実な事はあるぜ」

「確実な事?」

宙の吸い込まれそうな瞳が私を見つめていた。

「きっと、俺たちはずっと、最後の瞬間まで一緒に居る」

「……そうだね。ずっと一緒だよね」

私はそう言って寝転がってる宙に覆いかぶさって唇を重ねた。卵焼きの味。ちょっぴり入れてる砂糖の甘みが口の中に広がっていった。

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