表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
187/189

転生魔法

 【隠密】で姿を隠しながら俺は大学の敷地を駆けていく。爆炎の上がるほうへ。


 そこでは教師であるフリシアが戦っている。本来であればアンデッドには聖魔法が有効だが、明かりを確保するためか炎魔法を中心に使っているようだ。


「使われている魔力の量からして、やはり他の教師たちとは別格だな」


 近づくと、さらにその魔法の腕を見せつけられる。


 魔力の割には魔法の威力は大したことがない──魔法の狙いが正確だ。放った魔法はブレずに、敵へと飛んでいく。


 何発も火炎魔法を撃っているのに爆発と爆発が干渉しない。爆発の範囲も考慮して魔法が着弾する場所を計算しているのだ。


 まるで……かつてのリリスのような。無駄のない正確無比な魔法だった。


 いかん……観察だけでなく、俺も加勢するとしよう。


 しかしどうするか。


 もう少し、フリシアの様子を見てみたい。それに生徒に危害が及ばないとも限らない。


「手加減なしでいくか──【聖光】」


 天に手を掲げると、瞬く間に眩い光が夜空に広がった。


 光は雨となって辺り一帯に降り注ぐ。


 現れたアンデッドは一瞬にして灰となってその場に崩れていった。周辺からはアンデッドの反応が完全に消失した。


 自分でも驚いたが、だいぶ転生前の魔力を取り戻せてきた。これも従魔たちのおかげだ。


 これだけ派手にやればフリシアも怪しむだろう。


 狙い通り、フリシアは周囲を見渡す。そして──こちら側に目を向けた。


 【探知】で魔力を追っているか……あるいは天性のものか。


 【思念】で接触してみるか。


(見事な魔法だった、フリシア)


 俺の思念を受けて、フリシアは驚愕する。もう一度周囲を見ると、こちらに真剣な顔を向けた。


(あなたは誰?)

(お前の、生徒を戦に巻き込まないとする理念に感銘を受けた者だ)

(だから、私に手を貸したの?)

(そうだ……俺からも質問させてもらおう。何故、自分の地位を捨ててまで生徒を守ろうとした?)

(そこまで知っているなら聞いているでしょ? 演説で語ったことが全てよ)

(ルディス、か)

(ええ……昔から、その名が頭から離れないの。彼を深く学ぶほどにね)


 やはりリリスとは関係がない? いや、もしかしたら。


(では、彼の従魔だったリリスという名に聞き覚えはないか?)

(名前は知っているわ。イービルアイのリリス。でも……いえ、リリス?)


 フリシアは目を丸くする。


(ルディスに関する記述を残し……その傍ら、転生魔法を研究……それを、エライアの予言のルディスと転生する時期に近くなるように……っ!? な、なんで私がそんなことを知っているの?)


 困惑するフリシア。


 転生魔法を研究? ……もしや、リリスは転生魔法を編み出していたのか。


 転生魔法自体は眉唾なものと考えられていたが……転生した俺がいる以上、否定できるものではない。


 また、リリスが編み出した転生魔法がどんなものかも分からない。


 もし転生前の記憶がなくなるような転生魔法であった場合……リリスから転生したフリシアの今の状態や行動にも説明がつく。


 そうだ、と断じることは俺にもできない。また、フリシアにはフリシアが歩んできた人生がある。


(何かルディスと縁があるのやもしれないな……もしルディスに興味があるなら落ち着いた時でいい)


 こちらに顔を向けるフリシア。


(大陸西部のヴェストブルグ王国を訪れよ。そこに、ルディスの従魔がいる)

(ルディスの、従魔が?)

(あるいは単に魔法を探求したい、という目的でもいい。いずれにせよ、我らはお前を歓迎する)


 黙り込むフリシア。迷いのようなものが窺える。


 だが、やがてこう口を開いた。


「……私には生徒たちがいる。彼らの卒業までは大学を辞めない」

(ふっ……天晴れな心意気だ。先ほども言ったように、我らはいつでも歓迎する。急ぐことはない)


 それでは、と【思念】を切ろうとする。


 しかし、フリシアは待ってと口にした。


「あなたはルディス……ルディスなの?」

(どうかな……)


 そう言い残し、俺は去ることにした。


 その後、アンデッドは完全に消滅させられた。


 ルーンたち別働隊の働きもあり、生徒たちに被害はなし。


 大陸統一を宣言した学長も、翌日には宣言を取り消した。そもそも、切り札であるアンデッドが消滅したのでは戦いにはならない。再軍備をするにしても、数年はかかる。


 ともかく俺たちは、アッピスの野望を打ち砕くことに成功するのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔術大学をクビになった支援魔術師←こちらの作品もよろしくお願いいたします!
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ