薬草
晴れてか不幸中の幸いか、俺は冒険者の道をまた1から歩き始めた。俺がいたパーティ、「イーリス」は結構有名であったが、俺の名前は家族やラピスを除いて誰にも知られていない。ああ、そんな奴いたかな、程度である。そのため、ギルド職員の態度も俺を知らない為初心者に対する物そのもので、何処か新鮮だった。
俺達は、依頼を受けようと、クエストボードを見る。
クエストボードは、その名の通り、今来ている依頼が貼り出された物である。最近はランクごとにボードに依頼が仕分けされて、見やすくなった。
俺たちは、いや、少なくとも俺は表向き初心者のFランクである。彼女についてはわからないので。という訳で、Fランクのクエストボードを見てみる。
指定の薬草の一定量の納品。虫取り。さらに、ある場所でのろしを上げる等の依頼がある。Cランクの依頼と比べると、当然ながら難易度は極端に低い。ただ、それが重要ではないという訳ではない。初心者の大半は、これを履き違えている。俺も最初はそう思っていたが、依頼を終わらせた後、依頼人が礼を言っているのを見て、それを実感した。
さて次に、ランクが上がるシステムだ。ランクが上になればなるほど、当然条件も厳しくなる。また、成績が悪いと、ランクが落ちる事もある。色々とごちゃごちゃしていているので、簡単に言う。
まず、ランクはあくまでも個人戦だ。パーティの人間のランクは関係無い。
次に、依頼を成功させるとポイントが貰える。そのポイントの量はクエストごとに決まっており、Fランクのクエストは一括して一回あたり10ptだ。難易度が高いと、当然貰える量も多くなる。依頼に失敗しても、Bランクまではポイントを引かれることはない。逆に、Aランク以上は、失敗すると、100pt引かれる。
ランクが上がれば、難易度の高い依頼を受けられたり、名声も得られたりする。俺は名声はいらないけど。
ちなみに、俺のFから一つランクが高いEに上げるには、500ポイントが必要だ。
さて、どのクエストを受けようかな。
「こ、これなんか···いかがっ···でしょうか···。」
ラピスはまた人見知りモードに入ってる。かわいい。さて、この依頼は「薬草採集」か。やることもシンプルだから、初心と基礎を確認するにはうってつけだろう。
俺たちはその依頼が書かれた神をカウンターに出した。
「この依頼を受注します。」
うん。自分で依頼を受けた事が久しく無くて、一瞬どうすればよいかとたじたじになってしまった。二十歳位のまだまだ若い受付嬢は、その軽い装備や、慣れていなそうな口調を、ああ、初心者だなぁと、和んだ気分になっているのを、周囲に分かる位笑顔で対応していた。
(何でこの人こんな笑顔なの?)
レイは内心、微妙にそう思いながらも、前いたパーティの団長のような扱いを受けなくて、安心した。
「頑張ってください♭」
そう言われて、俺達はギルドを後にする。
さっきの受付嬢は、今の2人のカードのデータを確認する。冒険者になって、あの2人はどの位たったのか、それに合わせてアドバイスでもできれば、と思ったからだ。
まず、さっき自分と話していた、レイという青年は記念すべき初依頼だった。そりゃあ緊張するよね、と口元に微笑みを浮かべながら作業する。
次に、後ろの方で、眠そうにしていたラピスという少女だ。彼と一緒に冒険者を始めたのかな···。
と、思ったら、ランクの部分だけ、どうも目の調子が悪いのか、はっきり見えない。ランクの所にSSと書いてあるように見える。
疲れているのかな。体調は崩したくないから、仕事を早く終わらせ、今日は早めに帰ろう。そう思っていたら。
「どうぞ。」
さっきの彼らが帰ってきた。納品するべき薬草も手にある。受付嬢は意味が分からなかった。
突然ですが、自分の作品に似たものがランキングで高いランクにいるので治まるまでこの作品は鳴りを潜めます。短い間でしたが、御愛読ありがとうございました。次回から恋愛物でも書きます。