94話 ビーチバレートーナメント戦(前編)
もう一度言うがこれから始まるビーチバレーはトーナメント方式である。
予選はAブロック、Bブロックがあり、両ブロックの勝者が決勝で戦うほうしきである。
さて、まずは予選Aブロック。対戦するのは俺&圭吾チームと五十嵐さん&浩平チーム。ファーストサーブは俺たちだ。
「浩平、行くぞっ!」
俺はビーチボールを上に投げてからのフローターサーブ。バシンッ!と結構な音がし、手も結構赤くなる。ボールは地面へ直進するのだが、
「甘いぃぃぃっっっ!」
と砂の上を滑ってボールを跳ね返す。
「なっ...。」
と俺は硬直。
その内にボールは五十嵐さんが受け取ってオーバーハンド。からの浩平は飛んでトス。その勢いは凄まじく飛んでもない速度で圭吾の顔面に激突した。
「ごふぅぅぅっっっ!?」
「圭吾ぉぉぉぉぉっっっっっ!」
顔を腫れさせて砂浜に倒れる圭吾に俺は叫ぶ。が、そのお陰でボールが飛んだ。俺はオーバーハンドを決め、
「くっそがぁぁぁっっっ!」
とキレた圭吾がトスをかます。
そのボールは五十嵐さんのブロックを抜け、今度は浩平の顔面にボールが勢いよくぶつかり、しかもボールはコースの外へ。
「井上さん橋本さんに1点!」
そこで、浩平妹はこちら側の手を挙げる。言い忘れていたが15点を取ると勝利が決まる。
そして、はたまた俺たちのサーブ。今度は圭吾だが彼はあえてアンダーハンドサーブを選ぶ。が、位置は低くネットギリギリを見事狙う。
「おぉっ、ナイスっ!」
何て言っていると五十嵐さんはレシーブで受け、浩平がオーバーハンド。それを五十嵐さんが受け取る。
「させるか!」
その動きに合わせて俺も飛び上がってブロックに入ろうとするのだが、彼女はそのさらに上からトスをかました。
「お兄ちゃん五十嵐さんに1点。」
お陰様で1点を取り返される。
「くそぉっ!」
俺は地団駄を踏む。
そして、次はあちらのサーブ。それをするのは浩平。
「いくぞっ!俺のジャンプサーブを刮目せよ!」
彼はそう言ってボールを高く上げ、次にジャンプ。
「こ、こいつっ...!」
「おらぁぁぁっっっ!」
彼は叫びフローターサーブの動き。とは言え、それがボールを捉えることはなく空振り。
「フフッ...。」
それで五十嵐さんが笑ってやると、浩平は顔を赤らめ普通のフローターでサーブしてきた。
それからと言うのもお互いバウンドで点を取ってはコースアウトで点を渡し、バウンドで点を取ってはネットで点が渡すなどを繰り返し、俺たちはマッチポイント、あちらは13点となっていた。
サーブ権はこちらにある。
「これで、決めるっ!」
俺はそう言ってやり、フローターサーブ。ネットの上を通ったボールは五十嵐さんがレシーブし、
「浩平。」
と呼ぶとともに浩平は前へ出てオーバーハンドともに五十嵐さんへ。
「おらぁっ!」
からの、トス。
俺はそのボールを受け、圭吾がオーバーハンドで俺にボールを渡し、俺が相手のコートへ。
「やぁっ!」
「おらぁっ!」
トスをされては、トスを仕返し、
「やぁっ!」
「おらぁっ!」
またトスされては、トスを仕返す。
そして、次の五十嵐さんのトスを受け取ると勝敗は決まる。
「やぁぁぁっっっ!」
「圭吾っ!」
俺はブロックで渾身のトスの勢いを止める。そらを圭吾は受けて
「正一っ!」
とオーバーハンドでこちらへ。
ともに俺は高く飛び上がった。合わせて五十嵐さんも飛び上がる。さっき見たように彼女は高く狙えるブロッカーだ。と、なれば前はキツい。
「前が駄目なら横ぉぉぉっっっ!おらぁぁぁっっっ!」
そこで、俺は払うように両手を動かし真横へ。
「俺がぁぁぁっっっ、取るぅぅぅぅぅっっっっっ!」
それを見て浩平はやかましくこちらへ突っ込んでくるが、彼が受ける前にボールは砂に付いた。
「井上さん橋本さんに1点。よって、勝者井上さん橋本さん。」
そして、浩平妹は言う。浩平は
「言い試合だったぜ。」
と言ってきて俺と握手。
「楽しかったです。」
と五十嵐さんとも握手。それに次いで、圭吾も2人と握手。
こうして、予選Aブロックは終了した。




