93話 次の日
そして、次の日となる。
俺たちは旅館をチェックアウトし、歩いて昨日の砂浜へ向かう。もちろん片手には水着の入った手提げがある。
「今日は何しますのぉ?」
と、立花さんは鈴本さんにくっつきながら聞いてくる。
「ちょっと、小百合ちゃん。そんなにくっつかないでよ、歩きにくいから。それに、恥ずかしいよ。」
対して鈴本さんは赤面しながら引き剥がそうとする。その言葉を聞いて、立花さんは
「申し訳ありませんの。」
と言って彼女から離れる。
その様子を眺めつつ、俺は
「泳ぐに決まってるよ。」
と立花さんの質問に答える。
「じゃあ、今度は平泳ぎで勝負しましょう。」
すると、立花さんから返事が来た。
「げっ...。」
その言葉に浩平が反応する。そう言えば浩平はクロールしか出来ないんだった。俺も泳げはするが平凡な速度で泳げる自信はない。
「皆さん、どうしましたの?そんな暗い顔なさって?」
その様子に立花さんは言う。立花さんはそう言えば昔からたくさんの習い事をしていて、クロールから平泳ぎ、背泳ぎまで泳げてしまうのだった。
「そうよ、平泳ぎはクロールより楽じゃない。」
運動神経の良い鈴本さんも賛同する。加えて、桔梗さんも
「だな。体力あまり使わないからな!」
と言い始める。この人らは多分平泳ぎを速く泳げてしまうのだろう。羨ましい。
そんな話をしている内、俺たちは砂浜に辿り着く。
それから、早速海に入る。
「負けても、文句はありませんわね。」
「ビリは1人1人にかき氷を奢る、で良いかしら。」
立花さんは良い、鈴本さんにはしれっと残酷なことを言っている。
「えっ...。」
やはり浩平はこの反応である。
そして、けのびと共に飛び出した。手で水を掻き、足で蹴る。時折息継ぎを挟みつつのその繰り返し。
「あおり足にはなるな、あおり足にはなるな、あおり足になるなぁぁぁっっっ!」
俺は叫びながら足を意識する。そのあまり伸びることを忘れていたが、まあビリになることはないだろう。
「お、泳げねぇっ!」
浩平は何とか浮いてはいるがあおり足にはなってるし、実質腕の力だけで泳いではいるしでほとんど進んでいない。
故、浩平が圧倒的な差でビリとなった。
「な、何がいいすか。」
浩平が聞けば、それぞれ答える。俺と圭吾はマンゴーミルク、鈴本さんと立花さんは揃ってイチゴ、桔梗さんと伊納はメロン、五十嵐さんはブルーハワイ、浩平妹はレモンを頼んだ。浩平自身もプラスでイチゴミルクを買ったようだった。
「皆、ビーチバレーしてみない?」
そして、五十嵐さんは提案する。
「11人だから1人がレフェリーで5チームのダブルストーナメントにしないか?」
それに便乗して、浩平も提案する。
「良いわね、それ。」
五十嵐さんは言う。
こうして、俺たちはビーチバレーをすることとなる。レフェリーはとりあえず浩平妹。五十嵐さんがルールを教えたからちゃんと審判を出来るだろう。チームの方を言うと、とりあえず俺&圭吾と鈴本さん&立花さん、桔梗さん&伊納、五十嵐さん&浩平の5チームである。




