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非リアの俺が学年一の美少女と付き合っちゃった話  作者: プリンアラモード
5章 最後の1年
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76話 愛と金

 夏祭りの次の日。寝坊して何とか本鈴に間に合い、教室に来ると、浩平、圭吾、学が先に集まって、何やら話し合っていた。

 まず、俺はそれを横目に自分の席の横へ荷物を置き、続いて、彼らの元へと行き、

「何の話してんだ?」

と聞く。すると、浩平。

「おぉ、井上くん、君もここに座りたまえ。」

「お前、何で急に上から目線なんだ?」

俺は目を細めてそう聞きつつも、俺は言われるがままにそこへと座った。

 「と言うことで今さっきまで俺たちは『とび変』について語り合っていた。だが、今一盛り上がらんくてな...。これからは、別の話をしようと思う。」

「別の話?」

俺は小首を傾げつつ、相槌を打つ。

「それは...。」

浩平のその言葉と共に俺を含む3つの期待が彼へ向く。

 そして、彼はこう告げるのだった。

「それは、愛と金について、だ。」

「Oh, love and money!」

「幼女に対する愛は誰にも負ける気がしないねぇ。」

(話題振っただけでそんなに盛り上がるか?)

俺はそう思いながらも、ノリで少し控えめに盛り上がった。お陰様で回りからは痛い目で見られ、俺たちは自粛することとなった。

 「愛は金で買えないとはよく言うが、お前らはそれについてどう思う?」

浩平がそう聞いてきた。先に答えるは圭吾。

「俺も愛と金は等価交換は出来ぬと思う。愛は何者に変えることが出来ないからな。」

(彼女いないくせに知ったような口してイキんなよ。)

俺は彼を見つつ、心中で非難した。そして、次は学。

「フンッ、僕は消費期限切れのババァなんて愛せないねぇ。僕が愛せるのは幼女だけ。永遠に価値のあるお金とは違うねぇ。」

恐ろしい顔をして、それに相応しくとんでもないことを言う。

(おっほぉ、こんな面白い奴が友達だなんて、我ながらやるなぁ。)

俺は自画自賛をしてやった。

 続いて、浩平だが、

「愛も金も永遠!つまり、愛と金は等価交換が出来るのだ!故に、愛は金で買えないは間違いだと思うね。」

(理想論を語るな!カス!俺らだって何年かすれば倦怠期来るから!)

俺はそうクズらしく思いつつも、

「戯れ言ほざくなよ。愛と金が同じ価値なわけがないんだよ。」

と結局、そう批評。批評と言うからには根拠がある。だが、傍から見れば批判と同じである。

「ほほぅ、俺の意を批判するかぁぁぁっっっ!?」

と浩平がキレだした。だが、俺は構わず

「じゃぁ、その理由を述べる。」

 「では、その心を吐露しなさい。」

(碇のゲンドゥー!!!)

浩平の仕草に彼を思い出した俺は心の中でそう茶化しつつ、言われた通り、吐露を始める。

「まず、お金には3つの機能がある。」

「あー、それ中学でやった奴やん!」

俺の言葉に圭吾が反応する。どこぞの芸人にでもなったつもりなのだろうか。俺はそれを横耳に、

「1つは物の価値を表す価値の尺度、2つは必要な物を交換して得られる交換の手段、3つは使わなければ貯められる価値の保存。果たして、愛はこの大きな機能を持つか?」

浩平は一応コクコクする。俺は話を続ける。

 「その答え。まず、価値の尺度についてだけど物の価値は愛では表せない。なぜなら、愛は形の無い物だからだ。価値はあっても、形が無ければそれを使って物の価値など決めれるはずもない。」

「ほうほう、中々しっかりと考えてるじゃないか。」

と、また圭吾。

(何様だよ、テメェ。)

「次に、交換の手段。愛を渡して必要な物が得られるか。そんなの無理に決まっている。さっきのと理由は同じ。愛は形が無いのだからそれで交換など出来ない。そして、最後は価値の保存。つまり、永遠の価値。もちろん、永遠の愛など存在しない。恋人は倦怠期が訪れる。幸いにもそれが来なくても死んだら愛は終わってしまう。ところが、金はどうだ?永遠に使える上、死んでも無くなることは無い。だから、愛より金の価値が高いんだ。」

 「なるほど。では、最後に君は将来どんな人間になりたいか述べたまえ。」

(また、上からっすか、この同輩。)

「人に愛されるより人に金を貰える人間になりたいな。」

俺はそんな怒りを抑え、そう言った。それを聞いて、浩平は言う。

「採用!」

 しばし沈黙。やがて、俺はそれを破るように叫ぶ。

「何の面接だよ、これぇぇぇっっっ!?」

せっかく、自粛していたのに、そのせいで辺りに白い目で見られてしまう。

(すんません。)

俺は心の中でみんなに謝る。

 「あんたたち、またバカみたいなことしてるわね。」

と、後ろからそんな声が聞こえてくる。後ろを振り向くとそこには栞の姿があった。俺は、

「どうしたんだ、栞?」

「ちょっとこっちへ来なさい。」

その質問を無視し、そう言う彼女。俺たちは為す術無く連行されていった。

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