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非リアの俺が学年一の美少女と付き合っちゃった話  作者: プリンアラモード
5章 最後の1年
76/140

76話 夏祭り

 同日の夜。俺たち4人が初めに上野公園の入り口へと集まった。もう人集りが出来ており、四方へ並んだ提灯が赤い光を灯している。

 その様子をしばらく見ていると、初めに

「遅れてごめん。待った?」

と鈴本さんがやって来た。俺は反射的に

「ううん。今来たところ。」

と言った。

 それから、栞、桔梗さん、立花さん、伊納と来て、最後に五十嵐さんが来た。と、その横には小学校高学年ぐらいの凛々しく、それでいて愛嬌のある少女。

「おい、慎耶香つつましやか。なんで、妹を吊れてきた。」

浩平が五十嵐さんに耳打ちをする。すると、彼女は横の浩平を横目で見つつ、

「ねぇ、その呼び方止めろっていつも言ってるよね。鳩尾一発食らいたいの?」

「すみません、止めてください。」

「まあ、良いわよ。で、何?」

 「俺の妹小5だろ?あのロリコン野郎が一番好む年頃なんだ。俺は別に構わないけど。」

わりと近くにいた俺は浩平のコショコショ声が聞こえてきた。

(確かにな...。)

それに五十嵐さんは横目のまま、

「大丈夫よ、安心して。私に任せなさい。」

と言う。見ると、学が既に興奮し始めていた。それはそれはもうヒステリックってぐらいに。

 それを見て浩平の妹は学を見て、

「何あいつ。お兄ちゃんより危険な匂いがする。絶対お兄ちゃんの方がマシだわ。」

と言いつつ、後ろへ引く。

(そりゃそうじゃ。)

「大丈夫よ。私に任せてね。」

五十嵐さんは浩平妹に優しく言ってあげ、学の前へ立ち塞がった。

 「ひっ!」

学が声に鳴らない悲鳴を上げる。さらに、五十嵐さんがは目力の威圧で畳み掛ける。すると、学が一瞬にして黙り込み、興奮もかなり治まった。

(五十嵐さんマジパネェッす!優しさと恐ろしさの使い分けが上手すぎっす!)

俺は心の中で褒めているつもりでも、下手したら茶化しているだけにも感じられることを言っていた。

 こうして、俺たちは総勢10人による夏祭りが始まる。周りを見てもここまで大勢で回っている人は見当たらない。女子率が高過ぎて俺たちは振り回され続ける。

 りんご飴に金魚すくい、型抜きなど正直どうでも良いことに付き合わされ、ホルモン焼きにイカ焼きなど俺たちの行きたいところへほとんど行けなかった。俺たちは連れてきすぎたことを心底から悔やんだ。

 そんなまま、夏祭りの時間はあっという間に過ぎていった。その内に、学の興奮を戻ってきて、ついに妹へ襲い掛かった。だが、兄の浩平が彼と彼女の間に入り、

「おい!俺の妹だから大丈夫だと思ってないだろうな、学。」

五十嵐さんは彼の肩を掴み、再び

「私に任せなさい。」

と言って、学を目力で威圧。すると、また彼の興奮が治まった。

 「かっこつけんな、バカ!」

と、事が終わると、妹はしれっとした顔で浩平の股間を蹴り上げた。

「ふんぎゃぁぁぁっっっ!」

もちろんのこと、浩平は叫んで飛び上がり地面に倒れ伏せた。目は周り、口からよだれが垂れている。

(こっ、怖っ!)

それを見ていた俺は思わず青い顔をした。そこへ五十嵐さんが寄り、口元に耳を近付けた。そして、

「大丈夫。脈はある。」

と、倒れる彼を放置。

(脈あったら放置なのかよ!かわいそす!)

俺は心中でそう叫んだ。

 と、夜の闇に花が開いた。パンパンと言う音もわずかに聞こえる。

「綺麗!」

と鈴本さん。そこへ、桔梗さんが

「紗耶香の方が綺麗だぞ。」

「ありかどね、雫。」

(それ俺が言わなきゃダメなやつー!)

俺はそう思いつつも、花火の終わるまでの暫し間、他の9人と観覧していた。

 そして、そんな時間も過ぎ行き、時間はもう9時半。俺たちは元来た道を戻り、現地解散をした。俺はそこで鈴本さんと帰った。

「ねぇ、井上くん。今度は2人で来ようよ。」

と、彼女が笑顔で言う。俺は色々想像してしまって顔が火照っているのがわかった。

「う、うん。あ、秋の陣は...2人で...ね。」

俺はぎこちない言葉で賛成の意を伝える。それから、俺たちは互いに頷きあい、別れを告げた。俺たちも大部恋人らしくなってきたようだ。

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