64話 ハーレム状態からのナンパ勃発
心の癒しもあってなのか、俺の貧血もましになって来た。白みがかっていた辺りの色も元に戻り、明るい夕焼けの空が見えた。目の前を黒猫が横切った。
そして、ナンパが勃発する。
「ねぇ、そこの姉ちゃんたちぃ。そんな男じゃなくて俺たちと遊ばね?」
路地裏から現れた男がそう言う。
「ほらほら!」
男が栞を引っ張る。俺は一度の舌打ち。絶対に
許せない。
俺は勇気を出して男に怒鳴った。
「おい!栞から離れろ!」
男は栞を離す。それを、桔梗さんが受け止める。
「あん?てめぇ、ヒーローのつもりか何かか?それとも、俺にハーレムを奪われたくないだけか?」
男が見下してくる。だが、俺は下がらない。
「どっちだって良いだろ。」
2人の間で火花が散る。
と、そこでまたクラッと来た。完全に回復していないのに無理をしたので、再び周囲が色褪せ始めた。フラつく俺を鈴本さんが受け止める。
「ギャハハハハハ...!ヒーローを気取っておいてそれか!クッソワロタッ!」
男が俺を笑う。言い返す元気は無い。すると、桔梗さんがふてぶてしい笑みを見せ、俺に耳打ちする。
「お前の度胸しかと見せてもらった。後は私に任せなさい。」
それから、男に近寄り、
「ねぇ、お兄さん。私と2人きりで遊ばなーい?」
桔梗さんはそう言ってその巨大な胸を男に見せつける。男はニヤリと笑い、
「良いねぇ。話の分かる子は大好きだ。」
と桔梗さんを連れて行ってしまった。
「雫!」
「桔梗さん!」
鈴本さんと栞が叫ぶのを制してから。
そして、少し先の路地裏。
「さて。あいつらも居なくなった事だし...。」
「俺と楽しいことしようぜぇ。」
「そうね。私も楽しいことをしようと思っていた所だ。誰もいないしね。」
「ほら、来いよ。」
「じゃぁ、お言葉に甘えて。」
桔梗さんが一気に男に詰め寄り鳩尾を殴る。
「ぐはっ!?」
男が唾を吐いて倒れる。
「今のは正一くんの分!」
次は蹴る。
「これは、栞の分!」
次は頭突き。
「そして、沙耶香の分!」
「最後は私の分!」
桔梗さんは最後にそう言って、倒れる男を何度も何度も殴る蹴る。男の体には痣や青タンが出来、血も少し出た。その血は彼女の手を少し湿らせた。
それから、桔梗さんは俺たちの所へ戻って来た。
「大丈夫だった!?」
「大丈夫だったの!?」
鈴本さんと栞が心配そうな顔で聞く。すると、桔梗さんは
「当たり前よ。傷一つ無いわ。」
と拳を握る。
そこにはかすかに血が付いている。
「お前たちの分も殴っておいた。大丈夫だよ、正当防衛だから。」
(いや、ナンパに対して血が出るほど殴るとか完全に過剰防衛でしょ。)
そうは思ったものの、貧血のせいで声には出なかった。
「しっかし、あの男...。まさに、『豆腐にかすがい』って感じだったな...。」
(えっ!?あの男、結構筋肉あったけど?それで、手応え無しとか桔梗さんマジパナェッす!)
俺は心の中でそう褒め称えた物のやはり声には出なかった。
その後、俺は戻って来たハーレムもしくは一歩手前状態で家まで送ってもらい、母にベッドまで運ばれた。




