5話 童貞たちのキック・オフ
「新入部員を紹介するわ。」
顧問らしき先生が言ったので、3人は
「坂本です!ヨロシコゥ!」
「圭吾と申します。以後、お見知り置きを!」
「小林だよぉ、よろしくねぇ!」
と、順番に名乗っていった。それぞれ、個性ってものがあるなぁ、俺はそう思いながらごく普通に名乗った。
「面白くないぞ!この無個性め!」(はぁ!?お前ら”面白さ”求めてんのか!?)
俺は思う。しかし、このムードのまま、スルーすることなど出来ない。俺は「無個性って某ヒーローマンガみたいに言うな!」
とツッコミを入れた。が、スベってさらに険悪なムードになっただけだった。
「アンタたち、早速で悪いけど練習試合のスタメン、宜しくね!」
顧問が言った。そして、もちろん俺たちの反応は、なんということでしょう、だ。でも、顧問はお構い無しに無理矢理、俺たちを破滅の道へと追いやった。
ピー!!
試合開始の笛が鳴った。
「こうなったらヤるしかないか...。」俺はそう決心し、全力で奪いに行った。
目の前にボールが現れる。俺は足を振り上げた。しかし、足はボールに当たらなかった。おまじぇに、振り上げたときの勢いで後ろ向きにこけてしまった。マネージャーたちが笑っているのが聞こえた。
それからは、ずっとベンチ。しばらくして3人も入ってくると、俺たちは試合終了まで話し続けてしまった。
こうして、童貞たちのキック・オフは幕を閉じた。そして、ずっとベンチにいたにも関わらず`「この始末☆」という軽いノリで彼らは共に門を出た。