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非リアの俺が学年一の美少女と付き合っちゃった話  作者: プリンアラモード
5章 最後の1年
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53話 進級

 そんなこんなしている内に、残りの1か月はあっと言う間に過ぎていってしまった。もちろん、この1か月で鈴本さんとの進展も全く無かった。あったのは、彼女とキスをしたぐらい。

 進展あるじゃないか、とは思うかもしれないが、逆に言えば鈴本さんと付き合い初めてからほぼ1年が経ったと言うのにキス1回しかしていないと言うことだ。あまりに、時間と不釣り合いな進展度である。

 

 そして、春休みが終わった次の日。始業式が開かれるその日に僕と鈴本さんは2人で正門をくぐり、花びらを風で散らす桜のトンネルを共に歩んでいった。

 見ると、俺と鈴本さんを、1年前の俺のような雰囲気で見ている奴らがいる。背から見るに、新しく入学してきた1年生と進級した2年生のグループであろう。

 去年も、俺は"あっち側"の人間であった。だから、彼らが俺たちのようなリア充、いや、残念ながら俺たちの場合はそこまでラブラブイチャイチャしていないのだが、そう見えるカップルを見たときの、嫌悪と嫉妬の気持ちはよく理解している。だから、どこぞのクソカップルどものような誇らしげな顔をしなかった。

 言い忘れていたが、俺が非リア仲間だった浩平たちと今も良好な関係を築けているのは、彼らが非リア仲間としての俺だけでなく、友達の俺としても大事にしていたからである。ところが、それだけではない。結局の所、良好な関係を築けているのは、そこなのである。公衆の面前では良い顔をしない所なのである。そこら辺の、クソカップルとは段違いだからである。

 と、まぁ、俺が意識した所で、鈴本さんが意識していないのであれば意味が無い。彼女は薄笑いを浮かべながら、

「視線を向けてるのは非リアね。嫉妬するが良いわ。」

と言った。

(若干、鈴本様が出てるんだけども!鈴本様ってどういう時に出るの!?)

俺はそれが永遠の謎になるだろと分かっていた。

 そして、後ろから聞き覚えのある声がした。

「パターン青。リア充は海の藻屑にしてやれ!」

「おー!」

「おー!」

次に異なる2つの声もした。

 「よっ!」

「よっ!」

「よっ!」

と、次の瞬間には3つの手が肩に触れていた。振り替えると、そこには浩平と圭吾、学がいた。

「やっぱり、お前らか。」

予想が当たって俺は怪訝そうな顔でそう言った。

「久しぶりだってのに、何だ?その顔は?」

と浩平は言ってくる。だが、春休み中に何度も会っているはずだ。3人にそう言ってやると、「はて?」と言いたげな顔をした。本当にバカな奴らだ。

 「早速だけど、エロ本買おうぜ!」

(1人で寂しく買っていやがれ!)

「この春はチョロい女にいっぱいあったなー。上手くたらしこむながったけどさー。あぁ、悔しい!」

(悔しむな、クソ野郎。あと、チョロい女とか言うな。女子いるんだぞ。)

「今日から小学生も始業式なんだねー。彼女たちが入学する様子は興奮不可避だったよ、ハァ、ハァ...。」

(お前はさっさと捕まれ!)

俺は相変わらず羞恥心の無い言動にウンザリし、それでも俺は笑った。

(こいつらは変わらないな。)

 それから、栞と立花さん、桔梗さんまでもがやって来た。

「今年も宜しくね!正一!」

「宜しくですわ、正一くん!」

「宜しくね、正一っ!」

彼女たちは我先に俺へ挨拶をしてくる。鈴本さんも、挨拶をしてくれる。

「宜しくね、井上くん。これからもずっと、ね?」

彼女は上目遣いでそう言ってくるので、俺の顔は赤くなっていた。

 浩平たちは「ひゅーひゅー」と冷やかしながらも、

「今年も宜しくな!」

「宜しく頼むぜ!」

「宜しくねー、正一くん。」

と挨拶をしてくれる。俺の口からは微笑みがこぼれた。

 「あぁ。みんな宜しく。」

俺も微笑みながら挨拶を仕返した。すると、みんなも微笑み返してくれた。

 こうして、8人という、あまりに多くの人数で共にその桜のトンネルを抜け、それぞれの靴箱に散らばった。

 さて、これから高校生活最後の1年が始まる。ちなみに、クラスには栞と鈴本さん、立花さん、さらにはあの3人まで。桔梗さんがいないだけまだマシだが、俺はため息を着かずにはいられなかった。

そして、気付かない内に俺は言ってしまっていた。

「色んな意味で強運の持ち主なんだな、俺は...。」

と。

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