49話 鈴本 さんのファーストキス
ガールズラブ要素が含まれます。苦手な方はご注意ください。
「今度のデート。キスのチャンスでは?俺の初キスのチャンスでは?」
俺は、今度のデートの計画を考えながら、そう呟く。
「グフフ...鈴本さんのファーストキスをいただいてやるぜ。」
俺は、ゲス笑いを浮かべる。鈴本さんと付き合い始めてから、もう1年が経とうとしているのに、まだキスをしたことがない。正確には、惜しいところまで言ったのだ。初めは、クリスマスの夜。せっかく、ファーストキスのチャンスだったのに、浩平たちに邪魔された。2度目は、鈴本さんを家に入れたときのことだ。あの時は、アニメの話をした後、かなり良い雰囲気になって、キスをするかと思われた。のだが、浩平からかかってきた電話のおかげでまた、邪魔された。俺は、怒りに任せてスマホを投げ、バッキバキ。それは、自業自得なのだが、火の元は浩平だ。それからも、何度も邪魔された。ったく、どこのラブコメの展開だよ、これ?
「思い出すだけで腹立ってきたー。クッソー!浩平め!自分だけラブコメしゃがって!」
俺は机を叩き、怒りでワナワナと震える。しかし、心の中にはまだ、ゲスが残っていた。
(まぁ、いっか。今度こそ、大丈夫だ!)
俺は計画立てを終え、またゲス笑いを浮かべていた。
と、その頃、鈴本さんはどうしていたかと言うと。
「ねぇ、雫ちゃん。」
「どうしたのー?沙耶香ー。」
「来週は空いたんだよねー。良かったー。」
「そう、それは本当に良かったね。」
桔梗さんと2人で校区内散歩をしていた。
と、そこへ立花さんは
「鈴本さーん!」
と言いながら走ってくる。後ろには、怒り心頭の栞がいて、釘バットをブンブンと振り回している。
「全く、アンタは何で正一にちょっかいばかりかけるの!?私は諦めたって言うのに!」
「わ、わ、わ、私は悪くないですの!だから、それをしまってくださいまし!じゃないと、私、死んでしまいますわ!あぁぁぁ!」
彼女は叫びながら、必死に釘バットを避け続ける。
「見なかったことにしましょ。」
「そうだね。」
2人はそっぽを向こうとする。しかし、その前に立花さんに追い付かれて、鈴本さんは床ドン?いや、地面ドンで押し倒される。さらに、あまりにも勢いがありすぎて、彼女たちの唇は触れ合ってしまった。
立花さんの大きな胸が、鈴本さんの小さい胸に当たって、形が崩れ、横に広がる。鈴本さんの方も少し横に広がった。
「はしたないまねをして、申し訳ないですの。」
2人の唇が離れ、赤面をしながら立花さんは謝る。しかし、あまり満更でもない様子だ。
「いえ...。」
鈴本さんは赤面をしながら、無意識のうちに涙目になりながら、目をそらしていた。そう、彼女は満更でもあるのだ。かなり、本気にしてしまっているのだ。
「私のファーストキスの相手が小百合ちゃんだなんて...。」
鈴本さんは立ち上がり、暗い顔をする。
「私、最低なことをしてしまいましたわ。本当に申し訳ないですの。」
立花さんはそんな彼女を心配し、栞は一番顔を赤くして、逃げていった。
こうして、俺は彼女のファーストキスを奪うことが不可能になってしまった。しかし、俺はそれを知るよしもない。今度のデートでキス出来たとしても、それはセカンドキス。だが、俺はファーストキスだファーストキスだと1日中、ゲス笑いを浮かべていた。




