46話 俺の取り合いが始まった
「ねぇ、小百合ちゃん。井上くんから話聞いたんだけど、よくもやってくれたわね。」
(盗み聞きしてただけですけどね!)
「あら、何のことですの?」
(立花さんは立花さんで、色々問題があります!)
「しらばっくれないで。あなた、私の井上くんを家に連れ出したって?」
(ったく、何だ?俺は修羅場メイカーなのか?俺が関わると、いつもいつも修羅場が発生するけど。)
俺はひきつった笑顔でそう思った。
「あぁ、あの事ですの。あれはアチラから言ってきましたのよ。急に、1人で行きたいと言ってきましたの。私は、首を縦に振っただけですわ。」
(色々、盛りすぎな所もあるけど、大体、合ってるから何も言えない!)
「何言ってるの?井上くんはあぁ見えて、私に優しくしてくれてるんだよ?そんな井上くんがそんなことするクズだと思ってるの?それとも何?そんなに、井上くんが欲しいの?井上くんと凄い事したいの?」
(ごめんなさい。俺はクズです。あと、最後の意味深ですね!)
「そんなわけないですわ。あなた以外の誰が、正一くんを欲しがりますの?」
(それは、それで傷つく!)
俺は心にかなり、刺さった。
「あの、俺なんかを取り合いしないで。俺には、そんな価値無いよ?」
今まで、非モテだったのに、急にモテ始めた時点で、可笑しかったんだ。この世界は、どうかしてる。2人には、
「井上くんは黙ってて!」
「お黙りなさいな!」
と、声を揃えて、怒られる。
「どうも、すみません。」
俺は、そう謝ることしか出来なかった。
「ていうか、いつもいつも小百合ちゃんは私から井上くんを奪うよね?本当は好きなんじゃないの?」
「...。」
すると、立花さんは急に黙り込み、赤面した。
(何、そのツッコむ気も失せる、マジ反応!?)
「O...Oh, really?」
鈴本さんは言う。
(唐突な英語!?立花さん、絶対、困るよ!)
「Since different!」
(合わせたー!?意味はわかんないけど。)
俺は目を丸くする。
「Really?」
「Yes.」
「Bull shit!」
「Not a lie!」
(付いていけねぇよ!)
鈴本さんは成績優秀だし、東隅野と言えば、ほとんどの生徒が英語ペラペラの名門高だったじゃないか。俺は、恐れ入りましたとばかりに膝まずき、
「格が違いすぎる。」
と呟いた。
「No way, really said from you?」
そして、鈴本さんは、そのままのノリで聞いてきた。
(い...今なんて言った?)
「One More, please.」
俺はもう一度聞いても無駄だとはわかっていたが、そう聞いた。
「No way, really said from you?」
すると、彼女は繰り返される。僕はなんとか聞き取ることが出来て、考え始める。
(ノーウェイ?道は無い?リアリーセッドフロムユー?本当にあなたによって言われた?道はない、本当にあなたによって言われた?俺は、「道はない」とか言ってないぞ?それか、ウェイって方法の方か?方法はない?つまり、絶対?いや、疑問文だからそれは違うか。道はない、あなたは本当に言った?「道はない」を無視するとするならば。そゆこと?)
「Yes.」
俺は答える。すると、拳骨を食らって、俺は倒れ、鼻からは血が出た。そして、俺が次に目覚めたのは保健室のベッドの上だった。
あと、これは後から知った話だが、あの後も話は続き、立花さんが、
「私、恋人じゃなくても良いですわ。愛人で良いですわ。」
「それなら良いわよ。」
彼女の言葉に鈴本さんが承諾する形で終息したらしい。
「いや、良くないでしょ!」
俺は、そうツッコんだ。




