45話 お嬢様の誘惑
「あっ、電話ですわ。」
バイブの振動で、ご立派な胸が揺れる。
(あいかわらず、とんでもないところに隠してんな...。)
俺は、どきまぎしながら、それを見つめていた。
「お祖父様、何のようですの?」
(立花さんって、どんな部屋に住んでるのかな?)
「わかりましたわ。放課後、すぐ向かいます。」
(よし!決めた!)
「あの、立花さん?俺、立花さんの家がどんにのか見てみたいんだけれども。」
すると、彼女は微笑んでくれて、
「お友達をお連れてしても、良くって?はい、わかりましたわ。そっくりそのまま、お伝えしたいいんですわね。」
(ん?)
「お祖父様は、『命が惜しければ、1人で来い』とおっしゃってましたわ。」
(恐喝!?立花さんのお祖父さん、こっわ!)
彼女は、急に青ざめた俺を見て、
「大丈夫ですの?」
と心配してくれた。
「ち...近い。胸も当たってるし...。」
俺はさらに、どきまぎする。そんな俺を見て、
「あら、私としたことがはしたない...。すみません。童貞だから、耐性ありませんわよね。私からすれば、この程度、どうってことありませんが。」
彼女はそう言う。
「どうて...!」
俺はかなり動揺する。
「だって、そうですわよね?あんなに可愛い沙耶香ちゃんと付き合っていますのに、まだ、キスもしたことかいないんて。あなた、ヘタレ過ぎですわよ?」
俺は言葉1つ1つが心に刺さって、吐血した。
そして、放課後。
「行きますわよ!正一くん!」
立花さんは、俺の手にしがみついた。
(下の名前ー!?て言うか!)
「胸当たってやす。」
「あら、はしたいない。」
「はしたな過ぎでしょ。」
「すみませんね。耐性のないどうて...」
「あ~!あ~!あ~!」
俺はそう言って、彼女に最後まで言わせなかった。
それから、約10分。どうやら、彼女の家に着いたらしい。
(こ、これは...。)
思っていた通り、立花家は大きな館だった。
「で、でっか!」
俺は思わず感嘆の声を漏らす。
「あら、それはどっちのことですの?」
立花さんがそう言って、誘惑してくる。
(さりげなく、俺の手を胸に近づけるのやめて!)
「エッチ...。そんなに、私の胸が好きなんんですの?」
(いや、あんたが近づけたんでしょ!た、確かに好きですけど!)
俺はそう言ってやりたくなった。
てなわけで、俺たちは一緒に館に入った。すると、白髪の年輩さんが出迎えてくれた。
「あの、あなたは?」
と聞く。すると、
「あなたが、小百合お嬢様のお友達ですか?」
と聞き返されたので、
「はい。で、あなたは?」
答えと質問を兼ねる。
「約束通り、1人でおこしになられましたか。」
「はい。で、あなたは?」
「彼女様がいらっしゃるんですか?」
「はい。で、あなたは?」
俺は三度、そう聞いた。すると、3度目の正直。やっと、その人は、立花さんの祖父で名前は立花誠。彼女の召使いをやっているらしい。
そして、その後、俺は誠さんに紅茶とホットケーキを頂き、家に帰った。
「お嬢様の誘惑ってヤベぇっー!鈴本さんのこと、忘れかけてたぞ!ていうか、何か未練がーー!」
と、頭を抱えながら。
「って、ことがあってさ。」
俺は話を締めくくる。
「なぬっ!?」
3人はそう言って、爪をガジガジと噛む仕草をした。
「ちっ。多角関係か。あちこちで、大盤振る舞いしやがって。」
浩平は言う。
「もう、関わらないでほしいぜ。俺たちは、ぼっちで非リアで非モテで童貞で人生負け組の将来ニート確定の男子。リア充が移るから、本当に関わらないでれ。」
圭吾は落ち込む。
「井上くんは、もう、本当に
あっち側の人間になったんだね。あっち側はあっち側同士で集れば良いよ。」
学はそう言う。言いながら、3人で暗い顔をしながら、離れていった。
「おい、待ってくれ!冗談とはわかってても、それは傷つく!」
俺は彼らを制止しようとするが、
「知らんがな。」
と、全会一致で言われた。
そして、あっちも大変なことになっている。そう、俺の話を聞いていた、鈴本さんが、鈴本様となって、立花さんと睨みあってたのだ。
(こ、これは、また、一波乱ありそうだ...。)
俺は硬直した。




