29話 ネタだらけのメロス
「走れメロス、読もうぜ!」
次の日、学校に行くと浩平がそう言ってきた。その声が、聞こえた瞬間、俺は振り向き、彼の肩をがしっと掴む。続いて、彼を揺さぶり、
「おっ前、良くも電話かけてきやがったな!?もうすぐで...もうすぐで...俺の初...あぁー!」
とガチギレる。すると、彼は笑いながら、
「ハハッ...!それは災難だったな!しっかし、俺は悪くないぞ?お前たちの状況を俺は知らなかったわけだからな!」
と開き直る。もう、呆れてものも言えない。俺はため息をつき、彼の持っていた『走れメロス』をぶんどった。
「えっーと?走れエロス?作者、ダサい治?お前ふざけてるのか?名作をバカにする気か?」
俺は浩平に聞く。すると、彼は
「俺が作ったのさ!」
と言う。そして、後ろから圭悟と学が現れ、
「ちなみに、俺が文を考えた!」
「僕がアイデアを出した!」
と言った。俺は彼らを無視して、『走れメロス』ならぬ、『走れエロス』を読み始めた。
「『エロスは激怒した。必ず、かの無知強姦の王を除かねばなるぬと決意した。』だと?ネタが過ぎるぞ!」
そう言いながらも、俺は読み進めていく。
本来ならメロスが老爺に問い詰めるシーン。この『走れエロス』では、エロスがおっさんに問い詰めていた。
「王は膜を破ります。」
「なぜ破るのだ。」
「わいせつを犯していると言うのですが、誰もそんなわいせつを犯しておりませぬ。」
「たくさんの膜を破ったのか。」
その後、膜を破った人の名前を老爺が言い、
「羨ましい王だ。生かしておけぬ。」
とエロスが言う。それに、「王は乱心か」は「王は淫乱か」に変わっていた。俺はにやつきながらそれを読み進めていった。
国王から逃れる言い訳は「妹がヤるところを見る」ため、そこから帰るとき峠で現れたのは美少女、エロスはその人たちを脱がし殴られる。そのせいで、身体が動かなくなり、やがて、精神もやられてしまう。それでも、何とか取り戻し、間に合った。そして、王とセリヌンティウスとともにエロスは近くの女の膜を破って
終了。
「あのさ、そう言うのは家で見たら?キモいんですけど!」
読み終わった瞬間、あの声がした。俺たちは恐る恐る後ろを向く。すると、案の定、あのギャルがいた。俺たちは
「ごめんなさい。」
と情けない声で謝った。
(くっそー!またこのパティーンかよ!)
3人はメロスのように、悔しくてじだんだ踏んだ。




