2話 ギャル4人衆
次の日も、俺はDT同盟のメンバーとともに話していた。
「ねぇ、明日遊園地行かない?」
「いいね。」
(...。)
「今日、カップルイベントあるんだけど...。」
「しょうがないなぁ。」
(...。)
「キスしようよ。」
「こんなところで?」
(...。)
「あぁ、ウゼェ...。」
リア充どものイチャコラに今日も俺たちは声を揃える。おまけに浩平は、
「イチャつきが目的なら学校来んなー!あー!!」
と叫んでいる。彼の言ってることは正しい。でも、叫ぶ必要はない。俺はそんな彼を無視して圭吾、学に話しかけようとした。
と、その時だった。
「おはよう!井上くん!」
後ろからあの子の声がして、俺は
「おはよう、鈴本さん。」
と返す。彼女があっちへ行くとまたあのメガネに問い詰められた。
「おい、お前らやっぱ何かあるだろ。」
「ねぇよ!昨日から言ってるだろ!?」
俺は怒ってそう言う。
「それにしては良い感じだったよなぁ?」
と浩平。
「だから...」
俺は反論しようとするがやめた。このままじゃ昨日の二の舞いだ。そこで俺は
「勝手にそう思っとけよ!俺と鈴本さんはそんな関係じゃないからな。」
と言い直した。すると、このメガネ。「やっとこりたか。」
と言ったのだ。
「鈴本紗耶香、1年のころから成績も可愛さも学年トップだったもんな。お前が惚れる理由もわかるさ。」
(なんだよ、やけに素直だな。)
「けどよ、鈴本っておっぱいねぇよなぁ。」
メガネがまた失言をもらした。
「バカ!本人いるんだぞ?」
俺は言い聞かせる。が、彼は自分の意見を貫き通そうとする。
「だって事実じゃねぇか?」
「それはそうだけどな、鈴本さんは...貧乳だからこそ魅力的なんだよ!」
「確かにそれは言えてるかも。あの清楚さは貧乳によるものだぜ?」
「そうだねぇ。ああいうのが意外とスケベだったりするだよねぇ。」
「つまり、清楚兼ビッチだと?」
「そゆこと。」
こんな”THE DT”のような会話を俺らは繰り広げた。
「さて、読みますか。」
会話のあと、3人はそう言いエロ本を読み始めた。
「お前ら教室でなんて本読んでんだ!それだから彼女出来ないんじゃねぇの?」
俺は彼らに言い聞かせるが聞こうとしない。それどころか、こう言ったのだ。
「わかんねぇのか?教室でエロ本読んでる奴がいたらリア充どもの甘いムードぶち壊しだろ?これは、れっきとしたDT同盟の活動なんだよ。」
「なるほど...それなら納得...できねぇよ!」
俺は怒って言う。そして、俺は話を続ける。
「何がDT同盟の活動だよ!お前らが読みたいだけだろ!?」
すると、この3人といったら
「そう言われると耳が痛い。」
と声を揃えて言うのだ。しかも、メガネ野郎は
「お前も健全な男子高校生なら見ろよ。これ、最高だぜ?」
と俺を誘惑してくる。エロ本を突きつけらてくる。
(俺も...読みたい!)
その瞬間、そんな気持ちが込み上げて来て俺は本を手にとってしまった。
「べ...別に読みたいわけじゃないんだからね!これは...3人の言うとおりDT同盟の活動だから読むだけなんだからね!」
俺はそう念押しをし、1ページ目を開いた。
(いいか?これはDT同盟の活動だ。)
さらに1ページ。
(興味本位で読んでるわけじゃないんだからね。)
次の1ページ。
(こ...これはDT同盟の...活動...だ...。)
そして、次の1ページ。そこで俺は平常心を保てなくなった。
(ウッホッホーイ!エロ本最高!)
「あのさ...。」
誰かの声が我が世界に割り込んで来た。
「はいぃ!」
俺たちはその瞬間、我に返り声のした方を見た。すると、そこには機嫌の悪そうな顔をした白ギャル3人と黒ギャル1人のギャル4人衆が立っていた。そして、その中の黒ギャル1人がきつい口調で言ったのだ。
「そういうのはさ...家で読めば?マジキモいんだけど!?」
と。その言葉で俺らは恐怖のどん底へ陥り、
「ご...ごめんなさい。」
と男としてどうかと思う情けない声で謝った。
その日、俺たちは疲れ切ってやつれた状態で家に帰り、夕飯を食べ、眠りについた。