1話 DT同盟
今日から高2に進級した俺。休み明けだと言うのに、周りは色気づいたリア充だらけ。そして、まだ非リアの生徒たちもこれから、異性と出会ってリア充の仲間入りをするのだろう。まぁ、我々、永遠なる非リアには関係のない話だが。
と、考え事をしていると後ろから誰かに名前を呼ばれた。そこで、振り返って見ると幼なじみの田中栞が立っていた。
「おはよう。」
俺は挨拶をする。すると、彼女は
「おはよう!」
とだけ言って、走っていってしまった。
(可愛いな、田中栞。幼なじみだし付き合いやすいかもな...。)
なんて考えてるうちに、俺はクラス発表の紙の前に立っていた。見ると、そこには好きな人の名前が載っていた。数年に一度の美少女、鈴本紗耶香である。って、待てよ?俺、彼女と同じクラスじゃね?こりゃ、お近づきのチャンスかも。
てなわけで、すっかり機嫌が良くなった俺はスキップで教室へ向かった。そこに着くと、いきなり想い人に話しかけられた。
「また同じクラスだね!井上くん!去年はあんまり話せなかったから今年はいっぱいお話しようね!」
「う...うん。」
俺は顔を赤らめて返事をした。その後、彼女は友達に呼ばれ遠くへ行ってしまった。
(そうか、俺、去年も同じクラスだったんだよな。それに、あっちは仲良くなりたがってたぽいし...。)
「おい、今のはお前の彼女かぁ?」
後ろから聞き覚えのない声がして、俺は声にならない悲鳴をあげた。
「そんなわけないだろ!」
俺は答える。
「本当かぁ?」
その声は諦めようとしない。
「本当だよ!大体な...俺があんな可愛い子と付き合えるわけないだろ!」
なぜか必死になる俺。そんな、俺に容赦なく声は問い詰める。
「そのわりには良い感じだったよなぁ?」
「だから、違うって言ってるだろ!大体、誰だよお前!」
そう言って俺はさっきから声のしていた方を向いた。
すると、目の前にメガネをかけたいかにも非リアの男が現れた。俺はまた声にならない悲鳴をあげた。
「フッフーン!聞いて驚くな?」
とメガネ。
「驚かねーよ!」
俺は言う。
「我こそは...」
メガネが言う。
「えっ~!?」
俺は驚く。
「ベタだな。」
「うん、ベタだね」
聞き覚えのないの声が会話に割り込んできた。
「ベタで悪かったな!」
俺は怒ってそう言う。
「おぉ、キレたキレた。」
「キレたね。うん。」
メガネは、そんな2つの声を無視して
「そう、我こそはDT同盟ナンバー1・コードネーム『非リアの神様』、本名は...坂本浩平、だ!」
と名乗った。
「はっ?」
俺は言う。すると、メガネに便乗してあの2つの声も
「そして、俺はDT同盟ナンバー2の橋本圭吾。コードネームは『女たらしの中の女たらし』だ!」
「僕はDT同盟ナンバー3の小林学だよ。」
と名乗った。そして、俺は二度目の
「はっ?」
を言った。
「てか、DTって何だよ?」
俺は気になっていたことを聞いた。
「お前はDTも知らないのか!?」
メガネ...いや、浩平は言う。
「知るわけないだろ!」
俺は声を張って言う。
「DTとは童貞のこと!つまり、異性とsexをしてない人のことを言うのだ!」
浩平は大きな声で言った。
「お前、よくそんなこと平気で言えるよな。」
俺と圭吾、学は同時に言った。
「さてと、話は変わるがお前にはDT同盟に入る資格がある。どうだ?入ってみるか?」
浩平が話を切り替えた。
「まぁ、入ってみるか!」
俺は答えた。
「そうと決まればコードネームを決めなきゃな。」
圭吾が言った。
「さて、何が良いのかな?」
学が聞いてきた。
「じゃ...じゃぁ、『永遠のDT』で...。」
俺は答えた。すると、
「お前、覚えたての言葉を使いやがったな。ったく、小学生かよ、お前は。」
浩平が言った。
「あぁ、そうだよ!悪かったな!」
俺は怒ってそう言った。
「おぉ、キレたキレた。」
「キレたね。うん。」
圭吾と学が言った。
(なんなんだ、コイツら...。)
「What your name?」
浩平が名前を聞いてきた。俺はノリで
「My name is syoichi inoue.」
と答えた。すると、圭吾と学が
「ベタだな。」
「うん、ベタだね」
と言った。
「ベタで悪かったな!」
俺は怒ってそう言った。
そういった会話をしてるうち、1日はあっという間に過ぎて行った。今日は1人で帰ったがそのうち、彼らと帰ることもあるようになるのだろう。なんだか、新しいクラスでの生活はすぐに馴染めそうな気がした。
(しかし、1日目から3人も友達出来るなんてラッキーだな。まぁ、付き合いきれないところもあるけど...。)