10話 変態女子、現る!
「井上くん!昨日、かっこよかったよ?」
次の日、教室に入ると鈴本さんに話しかけられた。
「へっ?」
俺はそう言う。唐突な誉め言葉に喜びを感じる暇などなかったのである。そして、頭の中がクリアになった瞬間、驚くことしかできなかった。
「何でそんなに驚くの?」
鈴本さんが笑顔で聞いてきた。
「えっ...あっ...それは...。」
俺は戸惑いを隠しきれない。
「これは夢か?夢なのかぁ!?」
心の中に止めておくはずだった言葉を俺はいつの間にか発していた。すると、ビシィ!と鈴本さんに頬を叩かれた。
「ヘブラッ!」
俺は悲鳴をあげた。
「ごめん。やり過ぎた。」
彼女が言った。そして、話は続く。
「でも、夢じゃないってわかったでしょ?」
と。
(悪魔かよ。可愛い顔して悪魔かよ。小悪魔かよ。)
俺はそんな病んだような気持ちで自分の席に戻った。
「おい、今のは一体どうゆうことだぁ?」
すると、すぐに浩平に責められた。
「そ...それはですねぇ...。」
説明に困る。これは、非常にマズい。
(に...逃げねば...。)
俺はそう思った。そして、その空気を破るようにキーンコーンカーンコーン!とチャイムが鳴った。
本当に今日は大変だった。浩平からは避けなければいけないし、圭吾の無駄話に付き合わなきゃいけなかったし、全然着いていけない学の幼女話にも付き合わなきゃいけなかったし...。
(あぁ、もう最悪。)
俺はそんなへこんだ気持ちで帰り道をトボトボ歩く。
「こんにちは、先輩!」
いきなり、知らない声がして、俺は声にならない悲鳴をあげた。
「大丈夫...ですか?」
その声が心配そうに聞く。
(大丈夫かってお前だろ...。)
俺はそう思いながら、声の方を見た。
そこにいたのは、小さな体に大きな胸の美少女だった。しかも、
「先輩、早速で悪いんですけどエッチしましょうよ。」
と言っている。俺は少し間をあけて言った。
「変態だぁ!!」
と。