9話 DT同盟、始めての勝利
「はい!みんな、注目!今日はいきなり試合するわよ~!」
サッカー部顧問がそう言った。さぁ、今こそ特訓の成果を見せるときだ。
と、思ったがこの間のこともあってスタメンからはずされた。
「ごめんねぇ。初めてなのにあんなこと言っちゃって。」
顧問はそんな軽いノリだが、俺たちはそんな軽いノリなんかじゃない。そもそも、特訓をしようと思ったのはあのおかげだったのだから。
(とは言っても...恥ずかしかったよなぁ...。)
俺はそんな複雑な気持ちを覚えた。
「そろそろアップしといて。スタメンには出せないけど上手くなってほしいもん。」
しばらくして顧問にそう言われた。俺たちは目を輝かせ
「はい!」
と言った。それなのに、
「えっ...あっ...き...期待してるわよ!」
顧問には戸惑いが見られる。
(まぁ、いいか...。)
そんな気持ちで俺たちはベンチを立った。
ピー!
決められた。
ピー!
まただ。
ピー!
また、決められた。これで、1点リードだったはずの俺たちのチームは、相手チームに2点のさを広げられた。そのことを考えると奥から怒りが込み上げてくるのを感じた。
「おりゃゃゃぁぁぁ!」
俺はその怒りを力に変え、て敵陣に突っ込んだ。
「おい、お前、戻れ!」
おやおや?先入観に囚われになられるキャプテン殿下の声がするぞ?
「アイツに賭けてみるか...。」
俺には聞こえなかったがキャプテンは確かにそう言った。
「おい、お前!アイツを援護してやってくれ!」
そのキャプテンが仲間に指示を出した。
(順調!順調!)
俺は心の中でそう言った。
ズズズ!
仲間がスライディングでボールをカットしてくれた。それに、ボールは目の前にある。
(見事なコントロール。やっぱり素人とは違うな!)
俺はそんな気持ちでボールに足を近づけた。
「ターゲットロックオン!」
俺はそう囁いてからボールを蹴った。結果は、見事成功。狙い通り、ボールはゴールネットに触れた。それを見ていたキャプテンはすぐに駆け寄ってきて、
「よくやったな!」
と誉めてくれた。
「ありがとうございます。」
俺はそう言ってから再び、配置に着いた。
そして、その後も俺たちは大活躍。浩平が決め、圭吾が決め、学が決め、、俺が決め...。他人の力を借りながらも、俺たちはどんどん点差を広げていった。
ピーピーピーー!
試合終了のホイッスルだ。 もちろん結果は、8-3の逆転勝利。始めての勝利に、俺たちは誇らしげな気持ちで言った。
「ありがとうございます!」
と。