一年実技授業初回① | 選択と再戦
欠陥魔力騎士5
一年実技授業初回① | 選択と再戦
「さて諸君、今日は初の実技授業の実戦だ。この闘技場で一組ずつ戦い、互いの実力を高めてもらう」
あの後……大和さんとはなるべく接触しないように過ごし、今日で丁度一週間。
先週の内に実技授業の説明がされ、今日が実戦の初日である。
実技授業の実戦は、休み時間を挟みながら一日続けて行われる。
クラスメンバー30人の総当たりであり、全員と一回ずつ戦う形だ。
「さて……。我こそはという勇気のある生徒はいるかな?」
先生が生徒全員を見回し、一人一人確認する。
「誰もいない……か。なら仕方ない。天通兄、去年からやっているお前が最初になってくれ」
「わかりました……」
僕は指名された事に少し驚きつつも、肯定を返す。
「さてさて……。天通兄の相手、誰かやりたい人はいるかな?」
そう言うと先生は、再び一人一人確認する。
「「はいっ」」
そうして先生が少し待つと、二人から声が上がった。
「……ふむふむ。大和光と陵陵か。いいだろう。天通兄、選びたまえ」
先生が僕にふり、僕はてをあげた二人を確認する。
「…………ッ!?」
大和さんは当然知っている。
けれども僕は、出来ることなら大和さんとは戦いたくなかった。
恐らく彼女と戦うと、また追求されてしまう……。
しかし、手をあげているもう一人を見たことで、僕はとても悩んでしまった。
「天通限無ッ!! 私と戦いなさい!! 絶対にあなたを|倒して見せる(私のものにする)わッ!!」
……やっぱりか。
大和さんは初めて出会った時のような、ワクワクを抑えられない顔をしている。
これとは戦いたくない……けど。
「クックック。ここで会ったが百年目……ってかァァァ? 初日の借りを返させてくれよォォォ……?」
もう一人手をあげていたのは、初日に僕が一撃で倒した、大和さんを襲っていた相手だった。
「えっ……と。選ばないとダメ……ですか?」
僕は逃げ道を探し、思わず先生に問いかける。
「他に立候補者がいないからな。仕方あるまい?」
「ですよね……。はぁ……」
僕はため息をつくと、一人を指差して指名する。
「な、な、な、何でよぉぉぉッ!?」
「クククッ、ハァッハッハッ。俺を選んだな、卑怯者ォォォ? この前の屈辱は、倍にして返してやるぜェェェ!?」
僕が選んだのは、初日に倒した男の方だった。