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欠陥魔力騎士の無限領域(インフィニティ)  作者: inten
新入生歓迎トーナメント編
36/91

閑話| 彼が彼女になった理由

欠陥魔力騎士36


閑話| 彼が彼女になった理由


「オラッ、オラッ、オラァァァッッッ!!」


 トーナメント二日目、俺は試合も見ずに修練をしていた。


「クソッ、クソッ、クソガァァァッッッ!!」


 昨日の試合、俺は確かに負けた。

 それも完全な圧倒的敗北。

 俺の作戦は全く通じず、ボロクソに負けた。


「もっと……もっと強くなってやるッ!!」


 基本の型の反復と、それを応用した技法の反復。

 さらにはフィールドの機能を利用した模擬戦に複数戦。

 やれることをすべてやったら、もう一度最初から繰り返す。


「オラッ、オラッ、オラァァァッ!!」


 そうして繰り返し、何度目か数えるのも忘れた頃、そいつは現れた。


「こんな時間、こんな場所で稽古とは……感心感心。そんなに強くなりたいかい?」


「誰だ、あんた? 見たところ先輩……みたいだがよ?」


 唐突に現れたそいつは、俺の事をジロジロと観察すると、一瞬で近づいて抱きついてくる。


「ッッッ!?」


「ふふふっ、いい反応だ。ますます興味深い」


 そいつを振り払い、俺は外道流の歩法で急速離脱。

 そのまま油断せずに相手の出方をうかがう。


「君……強くなりたいんだよね? その原点と、覚悟を教えてくれないかい?」


「アァッ!? いきなり現れて、名も名乗らねぇ奴に、話すドオリなんかあるかよッ!!」


 目の前のこいつは、はっきり言って得体が知れない。

 ゆらゆらと存在そのものが薄いようで、しかし先程のように唐突に濃くなる。


「あっ、そっかそっか。自己紹介もしてなかったね? ごめんごめん。僕の名前は流鏑馬陵(やぶさめりょう)。君と同じ名前を持つ女の子で、君と同門。そして位階は『開祖皆伝』だ。つまりは君の上位互換……と言うわけ。わかったかな?」


「ふざけんじゃねぇッ!! 位階が上だからって、俺があわたに劣るだと!?」


 外道流の位階……つまりは強さの階級は、俺よりやつが名乗った「開祖皆伝」の方が高い。

 しかもこの「開祖皆伝」は、事実上の最高階級。

 たがそんなことは関係ない。

 俺が先程の動きにはついていけなかったのも事実だし、相手の強さの底が見えていないのも事実。

 だが、そんなことで勝敗は決まらないッ!!


「勝負しろや先輩ッ!! この俺をなめたこと、後悔させてやっからヨォッッッ!!」


 俺はそう告げると、奴に向かって襲いかかる。


「うんうん、とても良い気迫と技のさえだね。合格だ」


「ッッッ!?」


 襲いかかったのは俺の方なのに、なぜか気づけば俺が倒されていた。


「何を……しやがった!?」


「ふふふっ。とても簡単な事なんだけど、今の君では一生かけても届かない」


「なん……だと!?」


 そう告げるやつの顔は、とても悲しそうで、こちらが悪いことをしたように思うほどだった。

 だが……


「まだ終わっちゃいねぇ……ぞッ!?」


 立ち上がり、やつに向かっていこうとした俺は、しかしそこで体が動かない事に気がつく。


「無駄だよ、完璧に決めたからね。今の君は、首から下を動かせない」


「クッ……そガァァァッッッ!!」


 俺は気合いを入れ直し、体を必死に起き上がらせようとする。


「これは驚いたね。少しだけとはいえ動かせるなんて……。ますます気に入った」


「アァァァァァッッッ!!」


 俺はやつの言葉などに構わず、体を横にしてから起こそうと踏ん張る。


「うわっ、動かしちゃったよ。これは本当に驚きだ。君には確かに資格がある」


 やつはそう言うと、俺の口に飴のようなものを投げ込む。


「んっ!? テメェ、何を飲ませやがったッ!?」


「君が更に強くなるための薬……だよ。外道流の開祖は女性だった。だから君も、女性になってみると良い。名前そのままはあれだから、明日から君は陵子ちゃんだ」


「クッッッ!?」


 その言葉を聞いた瞬間、唐突に体が熱くなり意識が途切れる。


「頑張れよ、後輩君。応援してるからね」


(クソ……が)


………………

…………

……


「はっ!?」


 目が覚めるとなぜか自室で、時間は夜中になっていた。


「ッ!?」


 ふと体に違和感を感じ、まさぐればそこには女の体。


「なんじゃこりゃぁぁぁッッッ!!」


 俺はどうやら、本当に女になったらしい。


「畜生が……ッ!!」


 妙に高くなった声に戸惑いつつ、俺はこうなった原因である、流鏑馬陵とか言う先輩に復讐することを誓う。


「待ってやがれよ……あのヤロー」


 どこか言葉遣いに違和感を持ちつつ、起きるには早い時間だったため寝ることにした俺は、再びベッドへと入り意識を途絶えた。



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