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欠陥魔力騎士の無限領域(インフィニティ)  作者: inten
新入生歓迎トーナメント編
25/91

新入生歓迎トーナメント⑦| 本戦二回戦と揃いし四強③

欠陥魔力騎士25


新入生歓迎トーナメント⑦| 本戦二回戦と揃いし四強③


「さぁやって参りました、本日のメインイベントその1ッ!! 大和光(やまとひかる)選手VS中神雷兎(なかがみらいと)選手の戦いです」


「大和君は言わずもがなだが、中神君は少し特殊な戦い方をする」


「名前ではわかりにくいですが、中神選手は女の子……それも本物の巫女なんですよね? それが戦い方にも影響しているわけですねッ!!」


「その通りだ。彼女はその巫女としての力により、より強大な存在の力を借りて戦うわけだ」


「それはつまり、精霊や神などの上位存在の力を借りられると言うことですか?」


「その通りだ。彼女の場合は、神をその身に宿して戦える」


「それはつまり、彼女は神と同等の魔力量と操作力を扱えるということですね?」


「普通の選手なら、その魔力量にまず圧倒されて終わる。それに耐えられたとしても、その圧倒的な魔力量から繰り出される攻撃をしのぎきれない」


「なるほどなるほど。ではこの試合、大和選手でも危ういと言うことですか?」


「そういう訳でもない。それはあくまでも、相手が普通の選手ならばだ。恐らく大和君なら、確実に対応策を練っているはず」


「ではでは、この試合も見逃せないということですねッ!! これは楽しみになってきましたぁぁぁッ!!」


「神と同等の力をふるえる中神選手と、それに対し挑む世界一の天才。今までのどの試合よりも激戦となるだろうよ」


────────────────────────


「貴女の全力は、普段の授業では出せなかったのよね? 今日は本気の貴女と戦えてとても嬉しいわ」


「こちらこそ、貴女のような方に評価されて嬉しいです。今日はどうぞよろしくお願い致しますッ」


 私と彼女は授業中には戦ったことがある。

 しかしそれは、彼女も私も本気ではなかった。


(神のごとき力のすべて、受け止めて上回るッ!!)


「双方、準備は良いな?」


「大丈夫です」


「はいっ、大丈夫です」


「それではカウントを開始する」


 5、4、3、2、1………Let's GET yourself(レッツゲット……ユアセルフ)!!


巫女姫流(みこひめりゅう)……大神(おおかみ)おろしッ!!」


 ズシンと空気が重くなる。

 彼女はその身に神を宿した瞬間から、神そのものへと変わったのだ。


「……ッッッ!? これほどとは、ね」


 神をその身におろした彼女は、存在そのものが変質している。

 事実彼女の全身から魔力が吹き荒れ、その体も大きくなったように感じるほどだ。


「我、汝がすべて、圧倒せん」


「間違えないでちょうだい? 私があなたを圧倒するの。久しぶりの全力戦闘、せいぜい楽しませてちょうだいよッ!?」


 私はのまれそうになるその魔力の大波を、まずは全身に魔力を纏わせる事で軽減する。

 同時に今の私にできる全力……つまりは完全掌握操作状態(パーフェクトコントロールゾーン)

 これを維持し続けて、更には奥の手の中の奥の手を使うッ!!


「いくわよッ!! 最初から全力で……倒させてもらうッッッ!!」


 ギアをあげて完全掌握操作状態へ。

 同時に私は、千変万化のすべてのリミッターを解除する。


「流れ流れる季節のごとく、巡り巡りし輪廻のごとく。それはすべての理なりて、激しく優しくすべてを包む。我は万物の観測者、我は具象すべての掌握者。ここに契約を結び、我がすべてを願いとせん」


(神と契約してるのは、貴女だけではないのよ。私もこの力のすべてを、ようやく完全に扱えるッ!!)


「我が願い、我が声に応えたまえ。我が祈り、我が意思に応えたまえ。ここに我が盟約と誓約を捧げ、なんじがすべてを受け入れん」


(千変万化を作るときに力を借りた神……天照大神(あまてらすおおみかみ)。今その力のすべてを解き放つッ!!)


「出でよ、大和を守護せし太陽の神。天照大神ッッッ!!」


 私が契約の祝詞を唱え終わると同時に、私は彼女と1つになる。

 大和を守護せし天照大神。

 太陽のごとき圧倒的なエネルギー量。

 そのすべてを掌握するッ!!


「さぁ、始めましょうか? 貴女の神と私の神。どちらが上かの比べ合いをッ!!」


「我、雷神トール、天照大神、挑み、倒す」


────────────────────────


「な、な、な、な、な、な、なんとぉぉぉッッッ!? 中神選手だけでなく、大和選手までもが神をその身に宿してしまったぁぁぁッッッ!!」


「いや…………それは少し違うな」


「どういうことでしょう?」


「中神君は、神をその身に宿しただけ。つまりは神にその身のすべてを委ねた状態だ」


「つまり今中神選手は、雷神トールそのものであると!?」


「その通りだ。しかし大和君は違う。彼女は天照大神の力をその身に宿した上で、そのすべてを自らの意思で動かしている」


「つまり大和選手は、天照大神の力を掌握していると!? そういうことですか!?」


「そういう事になるだろう」


「しかしそれが、いったいどのような差をうむのですか?」


「まずはその力の扱い方だ。中神君は雷神トールそのものとなってはいても、体は中神君のままだ。つまり雷神トールは本気を出せない。中神君を壊してしまうからな」


「なるほどなるほど。つまりは大和選手の方が有利だと?」


「そうとも言えない。天照大神ほどの大神の力すべてを、大和君が扱いきれるかどうかがまず問題となるし、更にはリミッターのかかっている中神君よりも消耗が激しいはずだ」


「ではこの勝負、短期決戦になると言うことですか!?」


「そうなるだろうよ。これは一瞬も目を離せない戦いになるぞ」


────────────────────────


「我が、(ちから)、アレ」


 中神さん……つまりは雷神トールが言葉を紡ぐだけで、その力が雷となって降り注ぐ。


「鏡返しッ!!」


 私はその雷すべてを大和の三種の神器の1つである鏡で跳ね返す。


「我が、(ちから)、散れ」


「だから無駄だって……ッ!?」


 相手は私の鏡を警戒して、私が広範囲に広げている反射用の鏡よりも、広い範囲に雷を放ち、そこから私に向けて雷を曲げてくる。


「勾玉よ、吸えッ!!」


 私は咄嗟に勾玉の力を発動させ、雷すべてを吸収する。


「我が、(ちから)よ、アレ」


「くっ……鏡よッ!!」


 私が鏡から勾玉に力を切り替えたことを見た相手が、今度は再び集中させて威力を上げた雷を放ってくる。

 すかさず私も鏡に切り替え、千日手のように同じことを繰り返す。


(このままじゃじり貧……よね。でも、後数回勾玉で耐えられれば……)


────────────────────────


「圧倒的すぎる力のおうしゅうぅぅぅッッッ!! 力と力のぶつけ合いだけで、フィールドが砕けそうですッッッ!!」


「これが神と神の戦い、か。凄まじいな。だがこれは……」


「しかしこのまはまでは千日手だッ!! 中神選手は余裕のある表情で二種類の攻撃を繰り返し、大和選手はそれを鏡で跳ね返すか勾玉で受け止める。同じことの繰り返しですッ!!」


「このままだと大和君が負けるぞ。彼女は力の切り替えにも意識をさかなければならないが、雷神トールそのものとなっている中神君にはそれがない。消耗は大和君の方が圧倒的に……ッッッ!?」


「な、な、な、なんだこれはぁぁぁッッッ!? 大和選手から、見たこともない量の魔力が放出されたぁぁぁッッッ!!」


「これは……まさか? いやだがしかし……」


────────────────────────


「これで終わりよ、中神さん……いいえ、雷神トール。あなたのおかげで、私はこの力を呼び出せた」


「ソレ、は、なん、ダ」


 私は勾玉に力がたまったのを確認すると、大きく距離をとってその力を解放する。


神絶(かみだち)(つるぎ)。私はこれをそう名付けたわ。相手の神の力と、自らの神の力を混ぜ合わせて作り出すこの剣は、ごく自然に相手の神を切り裂き絶ち切る。だから神絶の剣」


「な、ナ、な、ナ」


「受けなさい? これが私の全力全開。神絶(かみだち)一閃(いっせん)ッッッ!!!!」


 私は勾玉で吸収したトールの力と、私が出せるすべての力をこの一閃に込める。


「はぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!」


 すべてを込めた一撃を、相手に向けてただただ降り下ろす。

 フィールドが軋むほどのその力は、雷神トールを見事真っ二つに絶ち切った。


「みごと、なり」


「そこまで、勝者大和光ッ!!」


────────────────────────


「激・闘・決・着ぅぅぅぅぅッッッ!! 勝利したのは天照大神の力をだけでなく、雷神トールの力までもをも利用した、大和光選手だぁぁぁぁぁッッッ!!」


「これは……見事としか言えないな。鏡で反射することで曲げてでも直接自分を狙わせ、それをすべて勾玉で吸収。じり貧と見せかけて、決着の一撃で倒しきる。今回の戦いも、大和君の手のひらの上だったと言うわけか」


「素晴らしい戦いを見せてくれた二人に、大きな拍手をお願いします。そして大変申し訳ありません、フィールド内部を整えるため、しばらくお時間をいただきます。次の試合も激戦が予想されますので、是非ともそのままでお待ちください」


────────────────────────


「お見事でした、大和さん。完全にやられました……」


「貴女が全力を出してくれたからこその勝利よ。楽しかったわっ」


「ありがとう、ございます。私もとても楽しかったです」


「またやりましょう? 次はもっともっと強くなってから……ね?」


「はい、喜んで」


「それじゃ、ゆっくり休んでね」


 私は中神さんと言葉をかわすと、フィールドを出て控え室へと戻っていった。



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