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欠陥魔力騎士の無限領域(インフィニティ)  作者: inten
新入生歓迎トーナメント編
14/91

光の限無の放課後デイズ③| 光の生態と限無の苦労

誕生日だったので、はなれた時間で連続更新です。

これは二話目です。

欠陥魔力騎士14


光の限無の放課後デイズ③| 光の生態と限無の苦労


 大和光は正真正銘の天才だ。

 それゆえに彼女は孤高であり、どこか人と違うところがある。

 しかし彼女の場合、その違いはむしろ、バカと天才は紙一重と言われる理由を理解してしまう出来事の方が多い。

 しかしその出来事1つ1つが、彼女の普段の凛とした姿とのギャップをうみだし、僕をドキドキさせている。


「けどさすがにこれはなぁ……」


 僕は目の前の彼女の姿を見て、思わず頭をかかえずにはいられなかった。


────────────────────────


 話は少し前に遡る。

 今日も今日とて、僕は彼女に呼ばれて研究室に来ていた。

 ここに来る前に毎日の日課であるトレーニングは終わらせており、軽くシャワーも浴びて着替えている。

 大抵放課後の彼女は実験室にこもっているため、僕が自由に入れるようにと、彼女から合鍵を渡されていた。


「失礼しまーすっと」


 なるべく音をたてずに扉を開けて、中へと入る。

 そしていつも通りに散らかっている部屋の様子を見て、今日も掃除から始めることを決意した。


「彼女に言わせると、これで理想的な配置……らしいんだけど、最初は本当にとてもそうは思えなかったなぁ」


 無作為としか思えない、毎日違う配置で散らかっている様々な実験品。

 ここで生活していることがわかるような、レトルト食品のゴミやカップ麺の食べ残しなどなど。

 あげればきりがないくらい、彼女の部屋は散らかっている。

 二日目にこの状況を目にした僕に、彼女はこう語った。


「昨日は結構、私なりに頑張ったのよ? 皆これを見ると、必ず片付けろって言うから……。実家でも結構揉めてたのよね、皆あんたと同じことを言うの。私としてはむしろ、こんな完璧な配置を理解できない事の方が不思議だわ。こっちの方がどう考えても機能的でしょ?」


「よくもまぁ毎日毎日、同じレベルに散らかせるよなぁ」


 少し最初の頃を懐かしみながら、日常茶飯事である目の前の光景を見つめる。

 初日の整った部屋の姿は実は、本当に彼女がとても頑張った努力と涙の結晶だったらしい。

 二日目でその事を知った僕は、少し驚きつつもそれを受け入れた。

 そして武装具を作ってもらうお礼も込めて掃除をかって出たわけだった。


「でもさすがに少し、食傷気味かも……」


 彼女自身には散らかしている自覚が無いところが恐ろしいところで、彼女にとって今のこの部屋……というか研究室の現状は、当然であり必然であり、むしろ掃除を始めた頃は掃除をしたのに怒られたくらいだ。


「まぁでも最近は、少しわかってきた感はあるんだよね」


 彼女いわく理想的な配置のパターンと言うこの散らかし具合。

 これの共通点が見え始めてきた最近は、彼女に怒られるような事はなくなってきた。

 実際昨日は初めて心からの感謝をされたし、僕自身何が置いてあるかわからないブラックボックスのごときこの部屋の把握と掃除を、とても良い修行だと考え始めていた。


「よし、これで最後っと」


 パッと見散らかっているようには見えず、しかし彼女の意思に反しない程度のバランス感覚。

 個人的にはもう少しきれいにできるとは思うのだが、これ以上は怒られるのは経験している。


「しっかしほんと、ギャップありすぎだよなぁ……」


 学校での彼女の姿と、この研究室での彼女の姿。

 ギャップ萌えという言葉が裸足で逃げ出しそうなレベルのその差は、個人的には可愛いと思えても、僕の感覚がおかしいという自覚があるレベルで酷いものである。

 実際他の人が研究室の彼女を見たならば、確実に引くことが予想できる。

 そこら辺を彼女に聞いたところ、こんな答えが返ってきた。


「私だって、見せる相手は選んでいるわ。貴方は信用できるし頼れるもの。信頼しているという言葉が当てはまるわね」


 こんなことを言われたら、男としてはもう何も言い返せないだろう。

 それに僕は……


「やっぱりこれは、好意……なんだろうなぁ」


 恋愛なんてする暇がなかった僕としては、この感情が恋愛的な意味での好きなのかどうかの自信が持てないが、恐らくそうなんだという思いがある。


「さてと、そろそろ彼女の所へ報告に行かないとな」


 僕は掃除道具を片付けると、彼女が待つであろう奥の部屋へと向かった。


────────────────────────


 そして現在に至るというわけだ。

 目の前には寝転がった彼女がいて、何故かその体には薄布が一枚のみ。

 まわりには研究道具らしきものが散らばり、その中には、衣服もある。

 それらはすべて、彼女を中心にしてきれいに配置されていた。


「今日もこの時間に来るってわかってたと思うんだけどなぁ……」


 正直どうしたらいいかわからなくなっていた僕は、最後の理性を使って彼女へと衣服を被せる。


「大和さん? 大和さん? 起きてくれないかな?」


 だんだんと声を強くしながら、なるべく彼女の姿を見ないように声をかける。


「んっ、んぅ……ぁんっ」


「ひやぁぁぁぁっっっ!?」


 僕の声に反応したのか、か細く喘ぐ大和さん。


「天通……限、無?」


 しばらくすると彼女の目が薄く開き、僕の姿を見て首をかしげる。


「よかった、起きてくれたんだね? 早速で悪いんだけど、服を……着てくれないかな?」


 なるべく平静を装いながら、僕は彼女を促す。


「着せて……ちょーだい?」


「っっっっっ!?!?」


 どこか色っぽく、それでいて美しい音色でお願いの言葉を紡ぐ大和さん。

 僕はその場でしばらくあわあわしてから、意を決して彼女の体に手を伸ばす。


「い、いくよ? 大和さん……」


「んっ。お願い…………ん?」


「へっ?」


 僕が彼女の下着をつけようと彼女の体を起こした瞬間、彼女と目が合う。


「なっ、なっ、なっ、なにしてんのよぉぉぉぉぉッッッ!!」


「ごっ、ごめんなさぁぁぁぁぁいッッッ!!」


 バチーンというとてもいい音を響かせて、僕の頬には赤紅葉ができた。


………………

…………

……


「その……えっと、ごめんなさい、ね?」


「いや、気にしてないよ。僕がもっとしっかり起こしておけば良かったわけだし」


 あの後僕が気絶している間に服を着たらしい大和さんは、僕に水をかけて起こすと、事情を聞いてきた。

 僕は正直にすべてを話し、彼女は自分にも非があった事を認めてくれたわけだった。


「それにしても大和さん? 僕がこのくらいの時間に来ることはわかってたよね? 何で裸……だったんだい?」


「えっと、その、ね? 今日は薬の調合をしていて、それでその……ね?」


「新しい薬の効果って事かい? それなら仕方ないけど、気を付けてほしいかな……」


 彼女の目を見つめて真剣に言うと、彼女は俯いて何かを呟く。


「(あんたを惚れさせるための薬を作ってたなんて言えない

にきまってるでしょ)」


「ん? 何か言った?」


「な、何でもないわよッ。さっさと今日の訓練と実験をするわよッ!!」


「わ、わかったよ。今日は何をすれば良いんだい?」


 僕は珍しくすねた顔の彼女に戸惑いながら、今日のメニューを確認する。


「えっと、今日はね……」


(これも惚れた弱味ってやつなのかな?)


 彼女の説明を聞きながら、僕は少し考える。

 初めて覚えたこの感情は、日々を重ねる毎に高まっていく。


(いつか伝えられるといいな……)


 学園生活のいつかで、僕は彼女に告白したい。

 そう決意を新たにすると、今日の実験とトレーニングという日常を楽しむことにした。




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