エピローグ
結果的に、僕は喫茶『エスポワール』で働かせてもらえることとなった。
そのことを母さんにも伝えると、泣いて喜び、「決して恩を仇で返すような真似はするんじゃないよ」と何度も言われた。
そんなことは、僕だって百も承知である。
しかし、母さんは、僕が生活費を盗んだ出来事が未だ、引っかかっているのだろう。
僕もあの時は、本当に馬鹿なことをしたと、ものすごく反省している。
まぁ、それはさておき。
この話はまだ、僕の人生が転機を迎えた話の序章に過ぎない。
大きく膨らんだ、桜の蕾が開く頃、桜川さんより連絡を受けて、やっと新たな就職先が決まったのだ。
そして、これからも様々な経験を経て、僕は成長していくこととなる。
しかし、それはまた、別のお話。
また近いうちに、僕の軌跡を話していこうと考えているので、良ければこれからも聞いてほしい。
その時には、今回の桜川さんのエピソードや、アルバイトではあったが、僕がやっと就職できたというような話よりも、もっと感動する話が聞けると思う。
感じ方は人それぞれなので、まだ何とも言えないが……。
というわけで、桜が散る頃にリストラされ、桜の蕾が開く頃にやっと就職できた、僕の話はひとまず、めでたしめでたし――。
また、お会いできる日を楽しみにしております。
それでは――――。