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ヴァンパイアの魔王異世界奮闘記  作者: Crosis
第二章
33/121

二人の婚約者

◇◆◆◇



「お前知ってるか?」

「何をだよ?」

「あの学園都市の大会で去年最下位だったチームの講師に着いた奴が何と……あの大魔王クロ・フリートだっていう話だ」


 ここは街外れの居酒屋、今日も討伐帰りや依頼達成した帰り、軍の練習を終えた兵隊達が騒ぎ飲み歌い喧嘩する中で筋肉隆々とした体格の良い男が周りを見渡すと声のトーンを落として本題を話す。


「……単に同性同名ってだけじゃないのか?それが本当なら、今回の本命かつ大穴だぞっ」

「バカ!声がでけえよっ」

「す、すまん。で、信憑性はどうなんだ?」

「有りまくりだ。まず剣帝サラ・ヴィスティンの彼氏だ」

「な、何だってぇぇぇぇぇえええ!?」


 先ほど注意されたばかりなのだがそれを忘れるぐらいの衝撃を魔法使いの様なローブにロッドを持つ男が叫ぶ。

 何故なら剣帝サラ・ヴィスティンとは冒険者内でも有名な名前で、一つはその強さたるや疾風迅雷のごとし。一つはその美しさたるや光彩奪目のごとし。そして告白を断られた男は数知れず、断る文句は「自分より強い男」であり、裏で彼岸花を意味する天上の花と呼ばれる程である。

 そんな高嶺過ぎる花である美姫に男が出来たと知れば驚くなと言う方が無理である。


 そして驚く男性を見て何故か満足げな表情を浮かべるネタを提供した男性。


「おっと、驚くのはまだ早いぜ?」

「ま、まだ何かあるのかよ?そうそうさっきのネタレベルはもう無いよな?」

「それがあるんだよ。なんと………」


 ゴクリ……。


 無意識のうちに魔術師であろう男性は身体を前のめりにし、喉を鳴らし、その顔には早く言えと如実に書いてある。


「あの超越者、アル・ヴァレンタインがそのクロ・フリートとかいう男の奴隷として隣を歩いているらしいんだ」

「な、何だと……」


 超越者アル・ヴァレンタインとは男装の炎姫であり、人間では到底出せない様な摩訶不思議な炎を操る亜人、それも神の使いとされる種族『九尾』の血を引き、誰にも媚を売らず仲間を作らず、特に色恋の話になると怒り狂う事で有名な麗人である。

 そもそも超越者を隷属させてるなんて話、聞いたことも無い。

 どれほど強ければ隷属させる事が出来るのか?考えるだけで恐ろしく思ってしまう。


「って言うのは嘘でアル・ヴァレンタインに似た女性の奴隷らしいのだが…」


「な、何だ……違うんじゃないか」

「しかし、見た目は九尾族で顔はアル・ヴァレンタインにソックリらしいんだ」

「九尾族でアル・ヴァレンタインに似てる奴何て聞いた事が無いぞ……まさか……本当に……?」

「スカート履いてるそうだ………」

「なら違うな……」

「ああ……」


 あのアル・ヴァレンタインに限って女性物の衣服を着るはずが無い。そう確信にも近いものを感じる二人なのだが、もし本当に隷属されて無理矢理着せられているのだとしたらという疑念拭いきれないでいる。


「で、今日は何を討伐したんだ?」


 そしてこの話は首を突っ込むべき話ではない、一つの話のネタまでにするべきだ。そう思いこの話は一旦置く事にし、新たな話題で空気を変えようとしたその時、二人の女性が近付いて来たかと思うと声をかけて来る。


「お…お前達、ちょっと良いか…?」

「おう姉ちゃん、俺らと飲もうってか?」

「なら俺は猫耳の姉ちゃんと一緒に飲もうか」


 最近ランクBまで昇格し、自分の名前も知名度が高くなったのかついに自ら声をかけなくても女性の方から声を掛けてくれるようになったんだなと女性に声を掛けられた事よりも知名度が高くなった事に嬉しく思う。


 そう思うと今まで冒険者業を辞めようと何度も思って来たが歯を食い縛り頑張って来た甲斐があったと言えるだろう。


「馬鹿な事言わないでよ気持ち悪い」


 しかしせっかく気分が良くなって来たというのに猫耳の女性が台無しにする。


「……姉ちゃん、女の冒険者だと思って優しくしてやろうと思ってたのに、これじゃぁ無理矢理されても文句は言えないよなぁ」

「お前……女だからって見下してると痛い目見せるぞ?」


 そしてその瞬間これから起こるであろう事を予期してか周りにいた人達が机と椅子ごとテーブルに置いてある料理とエールを自分達から離れるように安全圏へと移動していく。


「舐めた口を聞いてんじゃねぇよこの糞アマがぁ!!」

「ブッ犯してやるっ!!」


 その瞬間まるで近くで雷が落ちたかと思うような音が二発聞こえ、つい先程まで持っていたミスリル製の剣と白夜のオーブを嵌めたオーガの角のロッドが何かに撃ち抜かれ砕かれる。


「次はこの武器があなた達の姿に変わるだけですよ?」


 そう言い微笑む猫耳の女性、けれどその顔は隠しきれない怒気を孕んでおりその手元には白い本体に見事な装飾が施された筒状の見たことない武器を手に持っているのが見える。


「まったく、く…クロの事になると歯止めが効かなくなるんだからミイアは……」

「メアもその刀を抜刀する寸前だったよね?」

「……否定はしない」

「素直じゃないんだから」

「ま、まぁその話は置いといて……」

「そうね、そんな事よりも……」


 こで二人の女性は一瞬目を合わせるとニッコリと笑顔を向けて来る。


「「私達の婚約者のクロ・フリートについて知っている限り話してくれる?」」

あの学園都市※おんな子供もグーパンチ先輩はここにはいない

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