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ヴァンパイアの魔王異世界奮闘記  作者: Crosis
第二章
28/121

喪失

【運営よりR指定の警告をされました為内容を切り取り、R18指定用を作りそちらで切り取った内容をアップしております】


また、後日全年齢向けに変更した内容を記載させていただきますので今しばらくお待ちくださいますようよろしくお願いいたします。



◇◆◆◇



「全く、私に言ってくれれば夜の相手くらいの一つや二つ二つ返事でやってあげるのに…」


 そう言うアーシェの隣には顔面蒼白になったクロとそのクロの背後に隠れるように、だがその目には「主は渡さない」と強い意志を宿したアルがクロが借りた部屋にあるベッドに腰をかけながら対峙していた。


「ねえ聞こえてるんでしょ?まさか、私との約束をこんな小娘の、男か女か分からない貧相な身体の目先の誘惑ごときで忘れて手を出したなんて言わないわよね?もちろん、私にも手を出す覚悟が出来た上で、小娘は前菜として手を出し、メインディッシュの私ともこれから手を出すって事よね?」


 アーシェ自身昨日の行為自体はクロに付けたアイテムによりリアルタイムで把握していたのだがあえて泳がせてアーシェが圧倒的有利な立場を作った上で今現在クロのもとに早朝から乗り込んだのだがそのことは黙っておく。

 だがその甲斐あって今現在のクロは狼狽しており作戦は見事成功といっても良いだろう。

 唯一の計算外はクロにより女にされたこの小娘なのだが、所詮は小娘。その凹凸のない身体から見てもアーシェの敵ではないだろうとタカをくくる。


「なっ、お、俺…私でもご主人様から可愛いと言われて可愛がられたんだかな…可愛がられたんですから!!」

「あぁ?お世辞も分からないクソガキが」

「じ、事実だしな…ですし…?」


 以前なら自分の身体の特徴を指摘されたら怒り狂うのだが今は冷静に対処し、逆に相手を煽れるよになるなで心に余裕が出来たアルは自分の身体的特徴をディスってきたアーシェに同じく言葉の刃で対応するのだが癖になっている男言葉が咄嗟に出てしまい、それを訂正して喋るのだが、かえってその必死に女性らしさをアピールする姿がクロからみて可愛く思え、アーシェからはあざとく感じてしまうらしく、アーシェの額には無数の血管が浮き上がっている。


「ま、まあ良いでしょう。しかし貴方は所詮クロの奴隷。良くて性奴隷よ……………」


 そんなアルに性奴隷と罵るアーシェなのだが、その目は性奴隷というポジションを羨ましげにアルの額にある隷属である印を見つめている。

 そして誰にも聞こえない声で「羨ましい」と妬み呟く。


「あら、誰かこちらに来るみたいだから私はここで帰るけど、お兄ちゃん…待ってるからね。れ、隷属しても良いんだよ?」


 そして誰かがこの部屋に来る気配を察知したアーシェは【デモンズゲート】を発動するとアーシェは帰って行き、代わりにクロがいる部屋が「バタンッ!!」と勢いよく開ける音が部屋を包む。

 もちろんノックはなかった。


「ク、クロッ!超越者のアル・ヴァレンタインと戦ったってのは本当ですかッ!?」


扉の方を目を向けるとサラが、ここまで走ってきたのだろう息を切らしながら勢いよく入ってくるとクロに詰め寄る。


「どこで聞いたんだ?」

「先程こちらに向かう途中に登校中のレニア達に会ったのですがその時にレニア達が興奮するように教えてくれたんですッ!」


フンスッとサラには珍しく鼻息も荒く答える。

どうやらサラはアル・ヴァレンタインのフアンなのだという。


「女性の冒険者の地位向上の切っ掛けを作ってくれた人ですし、何よりその容姿はむさ苦しい男性ばかりの冒険者界で目の保養になるんですッ!」


そしてサラはクロに質問されてもいないのにアル・ヴァレンタインについて語り出す。


ああ、これ完ぺきアイドルオタクの熱量だな……取り敢えずレニアに電話するか。


「ああ、そういう事だから。頼むな」

『わかりました!では放課後お待ちしております!』


ちょっと付き合いきれない熱量を即座に感じ取ったのでサラは無視するとしてレニア達にアル・ヴァレンタインと闘った事はタブレットで電話して他言無用だと伝える。


「まったく、ご主人様は女性の知り合いしかいないのか?」

「たまたまだ。だからそんな怖い顔するなよ」


 そしてサラの顔と容姿、特に胸を見て明らかに不機嫌な顔でアルが、アーシェがいなくなった事により身の危険が無くなり緊張が解けたのかクロの影に隠れる事をやめ気だるそうに伸びをしながらベッドから下りてくる。

 そしてそんなアルをサラが見逃すわけがなく最初こそ顔に喜色が浮かんだもののアルの服装、そして現れた場所、時間等が昨日ここでアルとクロとの間で何があったのか本人達に聞くまでもなく分かるその情景を目にし、サラの表情は怒りに満ちていくのだが、その怒りの根本はアルがクロに怪我されたからではなく、クロが昨日サラの知らない間に女を連れ込んでいたことだと、サラ本人は気がつかない。


「何私の断りもなく異性をこの部屋に上げてるんですか!?私聞いてませんよ!?」

「いやだって……」

「いやだって……じゃないでしょう!?私は貴方を監視する事を名目で色々働いたんですからね!私に一度断りを入れてから活動してください!!」

「ああ、すまん」


 クロからすれば今まで何もサラに報告せず、確かにサラがクロのそばにいたことが多かったのだが自由に行動してきたので彼女でもましてや妻でもない女性に何故ここまで怒られなければならないのか理解に苦しむのだが反論した処で結果は明白であるため素直に謝っておく。


 今まで何も指摘されなかったとはいえサラの言っている事も何故今更と思わない訳ではないのだが理解はできるしな、謝って損はないだろう。てか口ごたえしたら損しかない気しかしない。


「処でお前、誰のご主人様に対してそんな口をきいてるんだ?」

「だ、誰のって……え、ぇぇぇぇぇぇぇえええええええっ!!?アル・ヴァレンタインさんの額に隷属の印がああああぁぁぁぁぁぁああぁあああっ!!?」


 そしてそんなサラの態度が気に入らないのかアルが不機嫌さを隠す事もせずその苛立ちをサラに投げかけ、それによりアルに顔を向けるサラはアルの額に刻まれた隷属の印に気付くと出会ってから今までで一番の絶叫をただでさえ狭い部屋に響かせる。


「五月蝿いぞ。見ての通り俺ことアル・ヴァレンタインは昨日クロ・フリートに隷属されたんだよ。まあ、最初こそ腹が立ちはしたが今は寧ろなって良かったとと思ってる。で、お前はご主人様の何なんだ?」


 そしてサラに額に刻まれた隷属の印を見られ普通なら恥ずべき印なのだが寧ろアルは誇らしげにその印をサラに見せつけると、次の瞬間高濃度の殺気をサラに飛ばしクロとサラの関係を問いかける。


「………まさかアルさん程の方を隷属できてしまうほどクロさんの強さが現実離れしてるとは思いませんでした。そして先ほどの質問の答えですが私はクロの…」

「恋人よっ!!」


 アルに殺気を当てられ我に返ったサラは先ほどの絶叫を思いだし顔を赤らめながら咳払いをし、クロとサラの関係を説明しようとした瞬間、今まで盗み聞きしていたのだろうこの宿の女将ハナコがサラの言葉を遮り、代わりに答える。


「恋人……だと?」

「監視や…く……………ふえぇぇえええっ!?」


ハナコの放った爆弾によりアルは信じられない者を見る様な顔でサラを見ると、クロに視線を変え「聞いてない」と殺気と共にその目線に込めて見つめてくる。

そしてクロと恋人と言われたサラは当初ハナコの爆弾発言を理解していくにつれ目を白黒させ、おどおどし始め、その顔は妙に赤らんで行きクロを見つめるその視線は何処か期待がこもっているように思える。

そして爆弾を投げた張本人は「お礼は要らないから」という様ないい笑顔をクロに見せるとウインク一つバチっと決め親指を立てる。


なんだこの空間……。


「どういう事だご主人様っ!?こ、ここ恋人がいるなんて聞いてないぞっ!?」

「……………」


そしてアルはクロに問い詰め出し、サラは未だに期待がこもった視線をクロに向けて来る。

そんな状況を作ったハナコはサラに耳元で何か囁くとサラの背中をバシッと叩き「女は度胸よっ!」と行って立ち去っていくのだが、マップを開いてみると盗み聴きできる範囲に移動しただけみたいである。


いや、絶対この状況を楽しむ為だけに作っただろあの女将!!


と思うものの思ったところで現況は変わるわけもなく、アルとサラが納得いく回答をしなければならないという高難易度のミッションに胃の辺りがキリキリしだす。


「どういう事って……俺とサラは……あれだよ…その、だな……」

「あ、ああ」

「………」


そしてそのミッションの回答が分からず言葉に詰まりながらも頭はフルスロットルしながら最善の回答を模索するのだが、その間アルは嘘であって欲しそうな表情を、サラは本当であって欲しそうな表情をしながらクロに詰め寄って来る。


しかしサラの表情から察するにサラはクロと恋人である事を期待しているかの様に見えるのだが………いや、惚けるのはもうやめよう。

今までどことなくサラの気持ちに察していたのだが気付かない振りをしてきた結果がこれなのである。

昨夜アルと関係を持った事により覚悟と踏ん切りはついたはずである。

それに今更気づかない振りで惚けるのは限界が来ているのだろう。


「まぁ……俺とサラはだな……恋人ではない。恋人ではないのだが俺個人としては多少なりとも好意は持っている」

「つまり……ご主人はこの娘の事がす、好きって事か?」


しかし今現在クロがサラの事を異性として好意を持っていると言えばそれは嘘になり気になる異性程度なので嘘はつかず本心を言う事にする。

またそんな嘘で※満更でもない。むしろもっと言って欲しい

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