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ヴァンパイアの魔王異世界奮闘記  作者: Crosis
第二章
23/121

なんとかは秋の空もよう

「えっ、あ、何言ってるのよ…そ、そそそっそんなわけななななっないわよ…?」

「まあそうだな…気の合う友達だとは思っているし、何よりも俺には高値の花すぎるな」


 サラの動揺がひどすぎるので頭に軽く手を載せ小声で「落ち着け」と囁き、代わりにレニア達の質問に答えてやる。


「ほ、本当ですの?」

「嘘言ってどうなるものでもないだろ?さあ練習を始めるぞ」


 流石にサラのあの反応からでは『そういう関係』ではないと言っても納得しきれないのか、なおも質問してこようとするユーコを軽くあしらうと、この話は終わりとばかりに一度手を叩き練習の開始わ告げる。


「ま、まあ一夫多妻ですし……」

「わ、私のほうが若さは…」

「べ、別にお二人が付き合ってても気にしないですのに…」


 と聞こえた気がするが先に進まないので無視する。


 今の彼女達からすれば『ピンチの所を救ってくれた年上の凄く強い男性』というフィルター越しで見ているからこそのこの反応だとちゃんと理解しているつもりである。

 そのフィルターが消えれば俺は何もないただただ平凡のいち人間(今は魔族だが)だという事に気づくだろう。結局自分が傷つきたくないのと、傷つけたくないだけなのかもしれないのだが。


 向こうの妻と娘にも悪いしな。


「で、今日お前たちにはこれをやってもらう」


 そう言いクロはストレージから先ほどアーシェと交換したタブレットを取り出す。

 ちなみに「タブレットは重いからスマホと交換して」と言われ交換したものである。多分タブレットには写真を探し出す事ができなかったのだろう事が「娘…娘…私と…お兄ちゃんの…娘」とつぶやいていたので間違いないだろう。

 まあ、タブレットで探し出せないのならスマホではまず無理だと断言できるのだが、教えてやるつもりは毛頭ない。


「それはなんなんですか?」


 そしてそのタブレットが珍しいのかレニアがきいてくる。

 確かにこの世界ではまず目にかかれない代物なのは間違いないので物珍しいのだろう。レニア達三人からはこれから何が起こるのか、その板はなんに使うのかといった感じで若干興奮して見えるのだが、サラは『大魔王が出した得体の知れないアイテム』という事で警戒と緊張しているみたいである。


「これはタブレットといって、何て言えばいいのかな?まあ物凄く便利な道具の一つだよ。一応壊れにくく作ってはいるみたいだけどとても繊細な道具には変わりないから気を付けてな」

「ひゃっ!?」


 そういうとクロはタブレットでサラを写真機能で撮ってみる。

 いきなり写真を撮られビックリするサラが「私に何をしたのですか!?」とビクつきながらも言ってくるのだが、とりあえず無視してレニア、エリシア、ユーコと順番に撮っていく。

 まあ本来本人の許可なく写真を撮るのはルール違反なのだが、このことは黙っておこう。


「今のは写真と言って一瞬の風景を絵にできるこの板についてる機能の一つだよ」


 得体の知れない未知のマジックアイテムで自分達の身体に何かされたと勘違いしサラが身体を小刻みに震わし今にも漏らしそうな表情をしだしたので先ほどの行為の意味を説明しながら、昨日アイテムにより複製した真新しいタブレットを弟子の三人とサラに渡す。

 このアイテムを複製できるアイテム【複製の翠玉】でタブレットを複製できないか試してみると、見事複製出来たのだが複製した物ではネットに繋げれないみたいなので、安心して彼女達に渡す事ができる。

 多分携帯電話ショップにて回線を繋げれるようにしてもらうか回線環境を整えればネットに繋ぐことができるのかもしれないのだが。


 ちなみに【複製の翠玉】はゲームプレイ当初は換金率の高いアイテムを複製したり、体力回復アイテムを複製したりと重宝するドロップアイテムなのだがプレイ時間が200時間を過ぎる頃には金策に走らなくなり、回復アイテムもそこまで必要ではなくなる上に課金アイテムは複製できない縛りもあり、ゴミアイテムの代表化してしまう。

 そのため今現在クロは一種類のアイテムを持てる上限数引く4、99995個持っている事になる。

 数は有るのだが限りもあるので異世界に飛ばされた現在、考えて使わなければならないアイテムなのは間違いないだろうが、弟子のために出し惜しむ気もないと思えるくらいにはレニア達の事を気に入っていたりする。


「とりあえずこれをお前達にやるから扱いに慣れておくように。それが今日の練習内容だ」

「こ、こんな高そうなアイテムを…」

「か、鏡みたいです…」

「か、家宝決定ですわね」

「………」


 一人俺の好意を紳士に受け止められず、疑心に満ちた目で俺を見つめながら未だにタブレットが安全な物だと信用できず得体の知れない恐怖に震えてる奴もいるが、早速写真のやり方を聞いてきたり、動画なども教えてやると俺を早速写真や動画で撮ったりと彼女達の眠気を吹き飛ばすくらいには好評みたいである。


 とりあえず基本的な使い方と万が一落としたり盗まれたりした時の事を考えセキュリティーのやり方などを教え練習という名のブレットの操作説明会で今日一日が終わった。


◇◆◆◇


 弟子達三人の授業も終わり彼女達を家まで無事に送った後、クロはギルドから依頼を受け、学園都市の外にある森まで足を運んでいた。

 彼女達を指導するにあたり外部講師は授業料が発生しないという事なので日々暮らす為に必要なお金を稼がなければならない。

 これがゲームの世界なのなら面倒くさいと思いつつも、現実のお金は一銭も稼げないと知りつつも金策に励むのだろうが、コレが実際使えるリアルマネーに変わる作業『仕事』に変わってしまうと働きたくないという気持ちが強くなってしまうので不思議である。


「これから日が落ちて危ないからサラは先に宿で待てってもらいたいのだが?」

「と言いつつよからぬ事をしないとも限らないですからちゃんと見張ってます。今日と明日は仕事も休みですし、こんな人里近く現れる魔獣や野生動物などに遅れを取る事は無いですから余裕を持って貴方を見張れますのでお気遣いなく」

「俺がお前を襲わないとも限らないのだが?」

「そ、そそそっ、そんな脅しに屈する私ではないですっ!」

「そうビビるな。嘘だから」

「び、ビビってなど……もうっ」


 サラの反応がいちいち可愛いのでからかうのだが目が今にもなきそうになってきたので軽くサラの頭を撫でながら嘘である事を思って告げるとあからさまに安心した顔になり、からかわれた事に気付くと顔を真っ赤にしながらクロを睨み付ける。

 しかし、その一連の反応見たいが為にちょっかいを出したくなるのだが、その事をサラに教えるつもりは無い。


 教えたばっかりに反応が鈍くなるのは得策ではないしな。


 ちなみに今回受けた依頼はゴブリンの討伐で、難易度はCと割と難易度が高い依頼なのだが、サラがパーティーに入っているので受ける事が出来た。


 そのゴブリンなのだがやはりギルティ・ブラットと同じ見た目と特性と強さみたいなのだが、唯一違う点はギルドの難易度設定がゲームででは一番低いFなのに、この世界ではCと跳ね上がっていることである。


 その点はゲームと違いコンテニュー出来ないからだと理解出来る。


 いくら弱いと言っても武器を持った集団で行動する魔物であると共に、その武器は粗悪な代物なのだが手入れをしておらず、様々な生物の血や雑菌が付着しており、その武器によりかすり傷を付けられただけでも直ぐに応急処置を行わなければ致命傷になってしまうの可能性があるらとサラがゴブリンの危険性について教えてくれる。


「さて、一汗かきますか」


 サラとそんな感じでたわいも無いが為にはなる会話を小一時間森を歩いた所でクロは足を止め、ストレージから課金武器【黒流弓】を取り出すと武器専用スキル【連射】を発動させ一気に10本の矢を射る。

 その後、開いたマップには約20体のゴブリンだと思われる点滅が見えるため更に20本の矢を空に向けて射る。

 その数秒後空に射った合計30本もの矢が一斉に辺りへと降り注ぐ。


「さて、ゴブリンの剥ぎ取り箇所は頭部に一本だけ生えてる角だったよな?」

「え…ええ。しかし適当に射ってたように見えたのだけど、本当に討伐できてるんです?それよりも他の冒険者が危ないでしょう…」

「え?とりあえず射った矢は全てゴブリンに当たってると思うぞ?それにマップで見た限り他の冒険者は見当たらないからその件に関しても大丈夫だと思うが、万が一って事もあるからこれからは気を付けるとするよ」


 マップを開き、赤く点滅して『ゴブリン』と表記されているモノにターゲットを取り、矢を射ったので外れる事はまず無いだろうし、マップで確認した限りでは他の冒険者も見当たらなかったのでサラが危惧しているような事にはならないと思うのだが、それでも万が一があるかもしれないので次からはこの方法での討伐は自重するとしよう。


 楽なんだけどね…。


 などと思いながらマップで確認してゴブリンの処理を全て終わらす。

 当初は剥ぎ取り部位をナイフで剥ぎ取るのが難しく一体に対して十分はかかっていたのだが徐々にコツを掴み最後の方では一分もかからなくなっていた。

 ゴブリンの角はコツさえ掴めば剥ぎ取りやすく、また小さくて軽く丈夫なので剥ぎ取り箇所にされているのだが、それでも角を30個は結構な量になった。

 ちなみにゴブリンの角一個で質にもよるが大体日本円で二千円~五千円で換金でき、普通の冒険者だと一日に三体前後討伐するだけで帰るらしく、そこまでかさばらないとのこと。

 そしてこのゴブリンの角は綺麗に洗浄され、薬の原料などに使われるらしく割と重宝されているらしい。

「ですのでゴブリンといえど我々の生活にほ欠かせないんですよ」


 と、ゴブリンについて詳しく語るサラは今までの怯えていたような感じではなくどこか生き生きしているように見える。

 それはそれで魅力的なのだが、やはりサラのように美人で根が強そうな女性が怯える姿もまた嗜虐心をそそり甲乙つけがたいのだが。


「なるほど。増えすぎると厄介だが、狩りすぎてもダメだって事か」


 前世でいうところ繁殖率からしても鼠みたいな感じなのだろか?厄介者ではあるが、彼らのおかげで我々人類の医学の進歩もかなり助かっているわけだし…。


「いえ、奴らは狩り尽くせるような生易しい魔物ではないので狩り尽くす勢いで討伐してもらっても構いません。まるでゴキブリです。鼠のほうがまだ可愛い分ましですが、ゴキブリとゴブリン…Gに情け容赦は必要ありません」


 そういう事らしい。

 相当ゴブリンに対して何か恨みでもあるのだろう。今ここでそれに触れてはいけないと俺の経験則が頭の中に警告音を鳴らしているのが聞こえる気がするので話題を変えることにする。


「にしても物知りなんだな。助かるよ」

「ぼぼ、冒険者を目指すならこれぐらい当たり前ですっ!今まで力任せの能力任せで生きてきたんでしょう。ええそうでしょうっ」


 そういうとサラは顔を背けるとクロを罵倒し始めるのだが、その耳は真っ赤に染まっているのが丸分かりである。

 そしてなにより、冗談でもクロに対して罵倒できるぐらいは仲良くなれたのだと思うと自然と笑みができてしまう。

 なんだか野良猫をやっと触らしてもらえた気分に似ている。


「じゃあ今日はゴブリンを徹底的に狩り尽くす勢いで討伐するか」


 だからだろうか?今日は十分過ぎるほど稼いだのだが彼女の親密度を上げる為だけにもう少し討伐しようと思っても罰は当たらないだろう。



そんな脅しで屈する私では※むしろ屈するべきだったのでは?と帰宅してその考えに至る行き遅れて焦りが見える女性の精一杯の強がり

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