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ヴァンパイアの魔王異世界奮闘記  作者: Crosis
第六章
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お嫁に行けない【村田さん十三話から最終話】

 マリアンヌはキレる。

 それはもう烈火の如くキレる。


 クロ様の場合守るよりも守られたいという願望がマリアンヌの堪忍袋の緒は切れどもここまでブチギレさせる事は無かったであろう。

 それはある種の信頼とも言える。

 クロ様ならば寧ろわたくしがとやかく言う必要も無く飛びかかる火の粉を振り払うであろうと。

 しかし。


 お姉ちゃんは違う。


 ハイダークエルフのお姉ちゃんはその種族に裏切らない程の魔力量を誇っておりその姿はまさに傾国の美女と言える程の美しさを宿している。

 セラやウィンディーネ、イルミナなどと言ったクロ様の妃にもっとも近いとされるクロ様の家臣の中でその美しさはお世辞抜きで頭一つ抜きん出ていると思える程である。

 そんなお姉ちゃんだか唯一にして最大の欠点があった。


 それは魔力操作が驚く程苦手なのである。


 あの凄まじい魔力量を誇りながら時に暴発、時に不発とまさに宝の持ち腐れである。

そしてたんに宝の持ち腐れならまだ良かったのだが魔力量が魔力量の為失敗はそのまま辺りをめちゃくちゃにする魔力の濁流が吹き出してしまうのである。


 そんなお姉ちゃん故に、お姉ちゃんは魔術を使わなくなった。

 その為かお姉ちゃんは「自分なんか」が口癖でいつも自分より他人を優先してしまう。

 クロ様と一緒に旅に出たい、一緒に生活したい、一緒にお喋りしたい、そう言った気持ちを誰より強く抱きながら誰よりも臆病な、優しく強くそしてか弱い……そんなお姉ちゃんなのである。


 わたくしが泣いてる時や怪我した時、魔術を使えないお姉ちゃんは必死にあやしてくれたり、薬を作ってくれたり、ウィンディーネにクロ様のパーティーの枠を奪われた時はその柔らかく大きな胸を文句も言わず「私にはこれくらいしかできないから」と一晩中貸してくれた時もあった。


 本当は自分が一番悔しかった癖に。


 そんなお姉ちゃんを、こいつらはダークエルフってだけでまるで汚い何かであるかの様に宣いやがったのだ。

 お姉ちゃんをバカにした事、例え神が許してもこのわたくしが絶対に……許さない。


「デモンズゲート」


 お姉ちゃんの前で泣かせ、土下座させて、その頭を踏みつけ、クロ様にボロ雑巾として使い潰して頂いたあとに殺してやる!!


「ふえ……?」

「お姉ちゃんっ!!聞いてくれよっ!!こいつらがお姉ちゃんの事……」

「ふえぇぇええええええっ!?」


 そう思いわたくしはお姉ちゃんを連れて来ようとデモンズゲートを開くと、そこには風呂上がりなのか着替え途中の下着姿であるお姉ちゃんの姿があった。





「うぐっ……ひっく……もう、クロ様のお嫁に行けない身体になってしまったわ……」

「大丈夫っ、大丈夫だよお姉ちゃんっ!!大事な部分は全部下着で隠れてて見られて無いからセーフだよっ!!むしろノーカン!こんなの犬に噛まれたとでも思ってさっ!!ねっ?」


 あれから数十分お姉ちゃんであるフィオ・フィオーネティア、クロ様からはフィフィーと相性で呼ばれる程クロ様に近しい家臣の一人である。


 そのお姉ちゃんが下着姿をここにいる者達、糞虫共に見られてしまいお姉ちゃんは人目もはばからず声を出して泣いた後、現在はぐずり、いじけ、落ち込みまくっていた。


 それもこれも──


「お前たちのせいでお姉ちゃんが傷つき泣いてしまった。その責任をどう取るつもりだ?」

「ごめんなさい」

「すみませんでした」

「申し訳ありません」


 わたくしの問いにエルフ金魚の糞、エルフ受付嬢、ハイエルフ糞強姦魔ギルドマスターと順に謝罪して行く。

 最初こそこのハイエルフ糞強姦魔ギルドマスターは「ダークエルフに頭を下げるなど出来るかっ!!そもそもことの元凶を作った大元はお主ではないかっ!!」などとここに来てまだダークエルフを見下した発言をした挙句おかしな事を言い出したので数発殴ってやれば非を認めたのか素直に謝罪を口にしだした。

 そもそもわたくしがお姉ちゃんを泣かすような事をする筈が無いのにもかかわらずこの状況を作った元凶をわたくしであるとどう考えればそんな考えに至るのか理解が出来ない。


 それでもこのハイエルフ糞強姦魔ギルドマスターを殴った後は口にこそ出さなかったがハイエルフ糞強姦魔ギルドマスターと同じ表情で「ダークエルフなんかに謝りたくない」と自分の気持ちをその表情に隠す事すらしていなかったエルフも素直に非を認め謝っているのでハイエルフ糞強姦魔ギルドマスターも糞ほどの役にはたったと言うことか。


 エルフ金魚の糞は元より何故かわたくしに懐いており最初から素直に謝っていた。

 エルフ金魚の糞の場合ダークエルフだとかなんだとかの前に脳みそが入っているのかと疑いたくなるのでダークエルフだとかというのは何も考えていないのだろう。

 それは単にわたくしが謝れと言っているから謝ったという言葉がしっくり来る。


 そんな三人を見てわたくしは決意する。


 こんな、ダークエルフを見下し蔑むような価値観や常識をこの者達に埋め込んだ大元、元凶、原因、根本、糞、兎に角根っこの部分である奴をこの拳で殴らないという考えは無くなった。

 とりあえずそいつの股間を戯言を言えなくなるように一生子供を作れないように踏み抜く事は決定事項である。


「さあ、ハイエルフ糞強姦魔ギルドマスター……エルフの王とやらの所に案内なさい」







 エルフの国(国と呼ぶには街一つしか無く小さ過ぎるのだが)は道路、家、外壁、その殆どが青白く美しい石で出来ていた。

 それらで出来た街は美しく、その中心にそびえ立つおとぎ話に出てくるかのような城が更に幻想的な雰囲気と美しさを感じさせ訪れたものを魅了させる。

 しかし、その街を歩いて行くたびにマリアンヌは苛立ちを募らせ、そのマリアンヌにより半ば強引に連れて来られた形のフィオは顔を曇らせていく。


 出会うエルフ達はわたくしを見ると尊敬と憧れ、敬愛や羨望の眼差しを向けて見つめて来るのだがお姉ちゃんに視線を移すとされらは侮蔑のこもった目線を向けて来る。その目には時に蔑み、侮り、馬鹿にした感情をその目に宿していた。

 そしてこの街でわたくしの機嫌を最も悪くさせる存在、一目見るだけで人並みの生活をさせて貰えていない事が分かる服装と身体つきのダークエルフの奴隷の存在が首に鎖を繋がれた状態でそこかしこで見えるのである。


 ここのエルフは畜生にも劣る。


 わたくしがそう判断するのに長い時間は必要無かった。


「王との謁見の準備をし、して来ますので……とりあえずここでお、お待ちになって下さい」


 街の中央にそびえ立つ白亜の城、その中の一室に案内され少し待つ様にハイエルフ糞強姦魔ギルドマスターにいわれるのだが、ハイダークエルフであるお姉ちゃんに敬語を使うのが彼のプライドを傷つけているのか苦汁を我慢するかの表情で案内し、おそらく王の所へと足早に消えて行く。

 そしてわたくしとお姉ちゃんは案内された部屋に備え付けられている高級そうなソファーへ二人並んで腰掛ける。

 机を挟んだその対面には糞エルフギルド受け嬢とエルフ金魚糞がちょこんと座る。


「その……マリアンヌ様は──」

「名前」

「──なんで……名前?」

「あなた、随分と前からわたくしの後ろを金魚の糞よろしくついて来ていたのだけれど名前を名乗った事は一度たりとも無いのですわね……貴女……そして隣に座る貴女も、それを失礼な事と思わないのですか?もし思わないのでしたら続けて構いませんわ。文化が違えば価値観も違いますもの」


 ソファーに座って何分経ったのだろうか。

 もしかしたら何十分かもしれない。

 その沈黙を最初に破ったのはエルフ金魚の糞であった。

 しかし彼女の言葉はわたくしの言葉、価値観をやたら強調した言葉によって遮られてしまう。


「わ、私は……私の名前はエリ・ミューティアです、……その……名乗るのが遅れてしまいごめんなんさいっ!」


 エリ・ミューティアと名乗ったエルフの少女は次に立ったまま勢いよく頭を下げる。

 その謝罪にはしっかりと謝罪の気持ちがこもっている事がうかがえる。

 深く深く下げた頭はなおも深く下げられ、その肩は心なしか震えている。


「私の名前はマール・ハルミトンです」


 それとは対照的にマール・ハルミトンと名乗ったエルフ受付嬢は淡々と自分の名前を名乗るのみでそれ以上何かをする事は無いのだが、その表情は怒りと苛立ちに満ち溢れていた。


 多分この国で、ダークエルフを侮蔑しそれが日常の風景とかした環境下で産まれ育ったのならば恐らくマールのような反応が普通であろう。

 であるならば二人のこの差は一体何処から来たのか少し疑問を抱く。


「っ……いくらハイエルフといえどもダークエルフがいる前でいつまでエルフが頭を下げるものではないですっ!!いい加減頭を上げなさいっ、みっともないっ!!」

「嫌だ」

「なっ!?」

「嫌だっ!!嫌だ嫌だ嫌だっ!!おばあちゃんは言ってた!!見た目で人を判断するなってっ!!」

「こ、これだから人に育てられたエルフはっ!」

「そうだよ。私は人に育てられたよっ。でも私は何も悪い事はしていないのに、おばあちゃんに育てられただけなのに、なんでそれが悪いのっ!?」

「そっ、それは……っ」

「おばあちゃんは、エルフは美しい人々だって、ハイエルフは眩しいくらい美しくて強いんだって言ってた!そしてマリアンヌ様に会えておばあちゃんの話は本当なんだって、そう思った……けど……この街で出会うエルフ達はみんなくすんで見えるよ」


 しかしその疑問は彼女達の口論により直ぐに氷解する。

 どうやらマール・ハミルトンは生粋のエルフ国の民でありエリ・ミューティアは人間の国で人間に育てられたエルフの違いがこの二人の抱く価値観の違いのようである。


「何を言うかと思えばっ!見てみなさいこの汚らわしい素肌の色を!!これこそ悪魔の申し子!魔族とエルフの忌子の、何よりもの証ではないですかっ!!」

「……何か悪い事をしたの?フィオ・フィオーネティア様は何か悪い事を私達にしたの?……何もしてないのに悪く言うのは、やっぱりおかしいよ」

「………」

「………」


 言いたい事をお互い言い合い平行線の末お互いに睨み合う二人。

 エリ・ミューティアは兎も角マール・ハルミトンの存在でやはりこのエルフの国の常識や価値観こそ憎むべき、粉々に砕くべきものであると確信する。


「ほらほら〜喧嘩しないのっ。ほら握手して仲直り喧嘩両成敗っ!」


そんな二人を前に緊張感のかけらもない声が聞こえて来る。


ジャンク品買って「不良品売ってんじゃねーよ。ちゃんと使える奴と交換しろ」というクレームがよく来ます(^ω^)

ジャンク品を是非ググって頂きたいです(^ω^)


それはそうと花粉がヤバイです。

どんぐらいヤバいかというとドラえもんとネズミを同じ部屋に閉じ込めるレベルでやばいです。

そしてドラえもんとドラミちゃんが何故兄妹かというと同じオイルを使っているからで、ドラミちゃんがドラえもんより優秀なのはオイルの上澄み、その綺麗な部分のみ使ってるからでドラえもんに使ってるオイルが出涸らしだかららしいです(^ω^)詳しくは知らないので責任は持ちません


あー空から美少女な彼女降ってこないかなー(^ω^)いつでもウエルカム



13多分気のせいだと思います


挿絵(By みてみん)




14

右よし左よし前よし


挿絵(By みてみん)


15後ろ…ダメー!


挿絵(By みてみん)

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