8話。支配とバイト
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増えると嬉しくてつい更新を・・・笑
序列7位の魔王は、混乱していた。
自分の目の前にいる子どもは、自分よりも強い悪魔を容易く召喚してきた。
それで“こんばんわ?”わけがわからない・・・。
「魔王さん大丈夫ですかー?」
「貴様は誰だ!」
「だから陰陽師」
「お前、勇者召喚で共に召喚された奴か⁉︎」
「おー‼︎パチパチ正解‼︎あとねー?敬語使えよ小僧」
魔王は絶対なる壁を感じる。
序列7位の魔王は序列1位の魔王よりも力を遥かに凌駕する目の前の少女に怯える事を忘れる。
「・・・」
「だんまりかー?別に・・・」
「フィー様。あやつ殺しても?無礼過ぎます!」
「あーダメダメ。それ勇者の仕事」
「ですが!」
「それはどっち?盟約?それとも忠誠心?どちらで言ってるの?」
「忠誠心にございます」
「ならー今死ねる?」
「・・・はい」
「はははっ冗談だよ!マジでとらないで」
「冗談がキツイです・・・」
「あーあの魔王序列何位なのかな?」
「多分ビリ辺りかと?」
「6、7、8位かー弱いねー」
「フィー様が強過ぎなのです」
「まぁ長生きだからねー」
魔王は、口を挟めない。
何故なら少女の右隣の悪魔が殺気を放ち、今にも殺すと聞こえるほど濃厚な殺気を放ち続けているからだ。
怖いのではない。ひれ伏そうにも体が動かないのだ・・・。
体が乗っ取られたように・・・。
石像のように重い・・・。
「こら!ダメでしょー?殺気当てちゃ?」
「申し訳ございません。バレないと思ったのですが・・・」
「中々良い線いってるー。気付きにくいけど殺気強過ぎ」
「全く、言うこと聞いてよねー隷属させてんのに、なんで言うこと聞かないんだか?なめてる?」
「お強いからこそ、私は師匠だと思い接しております」
「ならもっと敬えよっ!」
「・・・」
「おいっ!」
「あーそれでね。魔王さん、ミルカとか言う5柱の1人の思考支配したでしょ?ごめんねー、支配力弱過ぎで気づくの遅れた」
「フィー様は相変わらずですね」
「だって、じゃあお前ならいつ気づく?」
「私なら支配された瞬(ry」
「嘘だね!絶対嘘だね!」
「出来ますよ!」
「あー嘘だよ。困るなー嘘。盟約に追加するよー?」
「ご勘弁を・・・。」
「それでさー魔王さん?ミルカに手を出さないでくれる?今俺の所有物なんだわ。」
「邪魔しないで?」
「ななななななぜぜぜぜぜちちちちち・・・」
「震え過ぎ。何故本来の力を見せないのか?でしょ?それじゃあつまらないんだよね。ここぞで出すから、面白い。驚愕したあの顔。恐怖に歪んだあの顔!最高!ぞくぞくするわー」
「フィー様。悪魔みたいです」
「あっごめんね。そんな理由なんだわ。この世界で1番強いの俺だから、逆らわないでね。そう序列1位に伝えといてね?それとも1位にも会いに行く?」
「ややや・・・」
「やめてくださいかー。なら後はよろしくね。ミスったら死刑ね♪ばいばいー」
そう言うと目の前の少女は、後ろにバックステップしたかと思うと、消える。
悪魔は、私を睨み続けながら光の粒となり徐々に足元から空気に溶け込んで行く。
2人が消えると、時を止められていたことに気がつく。
それから序列7位は1位に、話をする。
当然憤慨するが、すぐに冷静に戻りフィーと呼ばれる子どもに、監視役を15人差し向けることにした。
フィーは音も無く、ミルカの隣に現れる。
一歩ステップするだけで、どこにでもフィーは行ける。
脚力ではない。魔法と陰陽の力を合わせて、スピードを極限まで上げているのだ。
普通なら不可能。肉体が無くなるが、そこはご都合主義だ。
ミルカが洗脳から解けたようなので話しかけるが、やはり混乱。
薬草を摘んでいた所までしか覚えて無いようである。
多分、薬草の毒のせいだね!と可愛く誤魔化し、街に戻る。
既に時間は夕方。時が流れるのは早い。
街に戻ったら薬草をギルドに売る。
「姉さん!いるー?」
「なんだい?他の受付行けよ!」
「そういわんといて!姉さんが良いんだよー」
「ロリコンに言われてもキュンと来ないわ」
「お姉さん。薬草とってきました」
「またこれって!マジックバックあげたの⁉︎ミルカ‼︎」
「あげたよ。無くても俺は困らないしなー」
「そう。ならいいわ」
「薬草全部で、銅貨10枚ね」
「やっす!」
「これでも最近高くなったのよ?ポーション需要が少し上がったからね」
「前は銅貨40枚はいっただろ!」
「むかーしはね。今は、冒険者多いから」
「ちっ。こんなの仕事にもなりゃしねぇ」
「はい、どうぞー」
「お姉さんありがとー‼︎」
「まぁいんじゃない?フィーちゃんとデート出来たんだし?」
「あぁそれで姉さんに後で話がある。」
「フィーちゃんを宿に送ってくる。そしたら話す」
「えらく真面目ね。あー支配系かー?魔王なんかに挑むからだバーカ。」
「わかんない」
「序列7位は支配の魔王だよっ。もう少し調べてから討伐に行けバーカ」
「あの野郎・・・。」
「まぁ他の柱にも言っとくわ。」
「よろしく」
フィーは姉さんと呼ばれているこの人が強い事を確信する。
当然フィー自身と比べれば弱いが、フィーを抜けば・・・この姉さんとやら・・・序列1位の魔王に匹敵するんじゃ?
分からない。姉さんの力は読み取ったが、序列1位がどれだけ強いかわからない。
少なくとも支配の魔王よりは遥かに強い
それだけは分かる・・・。
「フィーちゃんどこ泊まるの?」
「銅貨10枚で収まるとこー」
「きっついなー。そうなるとおじさんの所が1番安いなー」
ギルドを出て、大通りからかなり離れた細い道の場所に宿を見つける。
古臭いボロボロの宿だ。
「ここ!安いけど三食完備でお風呂付き。トイレもベッドもあるよ!」
「いくらー?」
「銅貨3枚」
銅貨3枚で格安なのだろう。なら高い所は銀貨3枚?程度か、かなり高いな。
「じゃあ3日だねー」
「俺も今日からここに住むから、足りない時は俺が貸す。それなら良いだろ?」
「それじゃあおにいたんが・・・」
「銅貨程度いくらでも払えるから心配すんな。一応5柱の1人なんだからよ!」
そう言うとボロボロの宿の扉を開ける
開けると酒の匂いと木の匂いが混じって鼻に抜ける。
良い匂いとは評価出来ない匂いだ。
扉を開ければおっさんが迎えてくれる。
ゴードンよりもがっちりしてる体型のおっさん。
「懐かしいなーおい!」
とミルカを迎えて、抱きつく。
男同士の抱きつきほど絵にならない物はない。
一通り終わるとミルカが、自分を紹介し始める。
割愛。
「なるほどな。この可愛さなら看板娘になるな!」
「商売の道具にすんな。ミーセルさんはいねぇのか?」
「ミーセルの野郎は2階掃除中」
「ミーセルさんにフィーちゃん任せたい、おじさんじゃ心配だ」
「おめぇが隣に居る方がよっぽど、心配だよ!」
「フィーちゃんかわいいからお嫁さんに欲しい!それは素直に思う」
「おい!」
「うるさいですよーおじさん?」
2階から降りてくる女性はキャラメル色の髪色で巨乳のミーセルと呼ばれる女性。
持っていたほうきを落とし、抱きつかれる。
「なにこの子⁉︎お人形みたい!かわいい!最高‼︎髪の毛とかも綺麗!
「ミーセルおねえたんの髪はキャラメル色でとっても綺麗。フィーもそんな髪色になりたい!」
ミーセルが突然泣き出す。
ミーセルの髪色は茶髪じゃ無く、悪く言うと錆色。それを強く連想させる。
いじめを受けたのだろう。
どの世界でも異人はハブられいじめを受ける。
それは髪の色でも肌の色でも・・・
「大丈夫?ミーセルおねえたん?」
「ごめんね。泣いちゃって」
「ううん。辛いことあったら泣かないと辛いよ?だから我慢しないで?ミーセルおねえたん?」
その一撃は強く鎖で締めた心の傷の扉をこじ開ける。
どうしようも無く、悲しいのだ。
心の傷は、治癒しない。治癒したと思ってもそれは、しまい込んだだけ。
だから定期的に解放してあげないと不意に突つかれた時に扉は崩壊する。
それをフィーは長い年月の中で知って居る。
ミーセルは小さな子の胸の中で泣く。
その胸は小さいのにとても心は広く感じ、包みこんでくれる
涙が止まらない。枯れた筈の目の中からこぼれ落ちる涙の雫。
何時間泣いたか分からない。
泣き疲れて、ミーセルはフィーの胸の中で寝てしまう。
「ミーセルおねえたん、寝ちゃったね?」
「ミーセルさんがこんなに泣いてるの始めて見た・・・」
「不思議な子だな。ミーセルの心の扉を開けやがった」
「開ける?違うよ。壊れそうだったの。もう辛いって嘆いてた。だから解放したの。誰も気づいてくれない心の痛み。自分でも気づけない心の痛み。」
「フィーちゃん・・・」
「ミーセルを寝かせてくる」
「お前さんは、お風呂に入りなさい。服はミーセルのおさがりを出しとく」
そう言うとおじさんは、ミーセルさんを担ぎ、何処かに行く。
ミルカの案内で、お風呂に付き服を脱ごうとするとジーっとミルカが見てくるので、おにいたん嫌い!と少しいじめる。
凄い効き目で、扉の向こうで後悔しまくり中だったらしい。
そんな後悔もミーセルのパジャマを着たフィーをみて機嫌を直す。
ミーセルのパジャマは、オレンジ色のチェック柄だった。
フィーは、特殊魔法で肉体を男から女に少しいじる。
性転換魔法は禁忌。だれも開発したことが無いが、フィーだけは長い年月で開発し、禁忌事項に触れない性転換魔法を編み出した。
少し胸を膨らませ、アレは消して・・・声は本物の女の子の声に近づけるため、ソプラノの声に近づけるため音程を毎日少しづつずらすようにした。
何処からどうみても女の子。完璧。
それから、おじさんの手料理を食べマズイけど褒める。
これは壊滅的にマズイ。ミーセルさんもマズイそうだ。
だから人が来ないようなので、明日から料理はフィーが作ることにした。
これでも料理が好きらしく、色んな次元の世界の料理を学んだこのフィーの作る料理は、何度食べても飽きず、舌がとろけると評判。
舌がとろけたら、食べれないじゃん!と言うツッコミは聞こえない。
それぐらい美味しいらしい。おじさんに軽く手料理を作ってあげると即採用。看板娘兼料理人として宿で当分働くことになった。
読んで頂きありがとうございます‼︎
間違い箇所を指摘して頂きありがとうございます。
ここ違う!とかあれば教えて頂けると幸いです。
これからもこの作品をよろしくお願いします。