4話。武器屋と服屋
一方、フィーは、王宮の門をくぐって、城下町に出ていた。
「まずは〜、鍛冶屋か武器屋さんにいこっと!」
可愛く言っているが、内心では
まずは武器屋か鍛冶屋に行って、剣を買わないといけないな。
ゴードンに魔法がこの世界にはあるのかどうか聞くのを忘れたのが少し残念だが・・・
多分あるだろう。だが確定するまでは剣術一本で行こう・・・。
とこんな怖い事を小学生の子どものような子が思っているのだ。
えっ?コ⚪︎ン?
あれと一緒では困ります。
設定が違います。歳も違います。
フィーが街をぶらぶら歩いていると、目だつ。
服装がまず違うのだ。
王宮内に居た小童共も街に来れば浮くだろう。何故なら制服や私服で召喚されてるからだ。
俺は、麻の服を羽織っている。中は肌に張り付く黒い服。したは半ズボン。
靴は赤い鉛下駄。
「まずは服か〜。お金かかるなー」
フィーが呟く時、それは悪魔の囁き。
フィーは服屋の前で、呟く。
服屋のおばさんが、「ん?服が欲しいのかい?なら安く売ってあげるよ!」
と言ってくる。
フィーの計算通りである。
「どれがいい?」
聞いて来るのはふくよかな叔母さん。
お店は屋台のように並んでおり、服屋や武器屋、アクセサリー類や食べ物屋色々並んでいる道にフィーは辿り着く。
フィーは前の世界で女装をすると、美少女と言われるのでよく、女装させられて居た。
この世界で役に立つかもしれないので、女装するため女の子系の服を買う。
叔母さんは別に不思議がらずに、売ってくれる。
それはフィーが男か女か区別がぱっと見分からないのである。
まじまじみても、分からないが・・・。
フィーは赤い鉛下駄以外を着替える。
水玉のワンピースでも着てれば、可愛く見えるだろうという安直な考え。
それから武器屋を探し、武器屋の前でまた、悪魔の囁きが始まる。
「かっこいいなー。うー。狩りとかしたいなー。」
「嬢ちゃん冒険者になりてぇのか?」
釣れた。世の中ちょろいものである。
「うん!お母さんとかお父さんが死んじゃったから、1人で生きてか無いといけないの・・・」
ここで同情を誘う。そうすると何かしてくれる。大人は子どもに弱い。
「そうかー。それで武器か・・・今は物騒だからな・・・」
「そうなの?」
「嬢ちゃんは知らないか?魔王の話し?」
「しらなーい。教えて!おじちゃん!」
以下略。ゴードンと同じような話をフィーは聞く。
「それなら、やっぱり薬草とか採るのこわいー」
「大丈夫だ。俺が特別に特製の下位モンスターを寄せ付けないお守りをやる。」
「わーい!おじちゃん大好き!」
なんとも載せ易い。お守りは、モンスターに剣が刺さっている彫刻がされている。材質は木。
「これで安心だ。だが強いモンスターは寄ってくるから近寄るな?それとお金はどれくらいあるんだ?」
「はーい!おかねー?金貨一枚!」
「えっ⁉︎そうか・・・。全財産なら少ない方かもしれんな・・・」
「金貨があるなら、錆びにくい、斬れ味落ちにくい、そんなコーティングしてある短剣があるよ」
ここで金貨1枚をぽーんと払うのはばかすぎる。
ゴードンから受け取った金は、金貨50枚程度この世界の貨幣価値がどれくらいなのか分からないから1枚と言っといて良かった。
あいにく男は、女の子で、全財産が金貨1枚と思ってくれているようだから良かった。
えっ?お金は何処に隠した?
それは、6属性の一つ闇を使って全ての光を吸収することで、見えなくしている。
えっ?ズル?チート?
そんなの「生まれつき」だよ。
「短剣か〜。ちょっと、かしてー?」
フィーは短剣を借りて少し振る。
その振りさばきは、見えない。
ただ他の人には剣を持つ少女。
速すぎるのだ。視覚で既に感知出来ない速さ。
なかなかしっくりくるなコレ。
オヤジ中々良い武器揃えてんじゃん!
まぁ昔使ってた村雨と比べたら、ダメダメだけどな。
とか思いつつ剣を振る。
あー、村雨ねーかなー村雨欲しいー。
あれ斬れ味落ちないから使い易いんだよなー・・・
まぁ仕方ないこの短剣で良いだろう。
闇で隠せば、暗器にもできる。
当分はこれ一本で行くか・・・。
「おじちゃん!これイイ!すごっいイイ!」
「そうかそうか!気に入ったか!お前は見る目があるな。ガハハッ」
「それ糞短剣とか言ってみんな買いやしねぇ・・・。俺は最高の一本だと思うんだがな!」
こいつ・・・ガキだと思って、処分しようとしやがったな‼︎
まぁいい。この短剣中々の業物。これの良さが分からない奴は目が汚物なんだろうな。
「じゃあおじちゃん!値引きして!」
ここから本領の発揮だ
「お前さん金貨銀貨銅貨|不銅貨の差がわかるか?」
「んー?全然わかんなーい」
「おいっ!普通の通過は不銅貨ってヤツだ。100枚で銅貨。100枚で銀貨100枚で金貨だ。100枚集まれば、次の硬貨に変わる。お前さんの金貨は最高の通貨だ」
「売れない短剣を買ってくれるんだ、銀貨50枚でどうだ?」
「たーかーいー!ぷー‼︎」
フィーは、ほっぺを膨らませて怒る。
「なら、銀貨25枚‼︎」
「どうしよっかなー?」
「わかった!銀貨20枚‼︎‼︎」
「もう下がんない?」
「もう無理だ・・・。仕入れが金貨3枚だぞ?どんだけ下げてると・・・」
「おじちゃん元気だして!じゃあ銀貨50枚で良いよ?」
「お前さんは優しいな。銀貨10枚で構わん」
「おじちゃん?短剣頂戴?」
そう言うとフィーは短剣を貰い、金貨をオヤジの顔面目掛けて投げる。
その瞬間、自分を闇で包み消える・・・
「いてっ!おい!って・・・どこ行った?これ金貨だぞ?おいおい、狐だったのかあの嬢ちゃんは?ガハハッ。またいつかあいてぇな!」
武器屋のオヤジは大声で独り言を言うが、フィーは全て聞いている。
「いつかまたな。」と小さく呟くとギルドを探しに大通りから外れて、脇道に入って行く・・・。
読んで頂きありがとうございます。
フィーちゃん可愛く書いております。
内面は悪魔
外面は天使
よっぽどのことがなければ、悪魔は外面には出てきません笑