13話。罪と勧誘
フィーとミーセルがオルンの元に戻ると遅れてやってくる者たちがいる。
そう・・・。
魔王の配下だ。
(今気が立ってんだから、来るんじゃねぇよ!)
そうフィーは心のなかで思いつつ、ミーセルに話しかける。
「おねえたん、もう一回川行こう?今度は離れないから!」
ミーセルは、まだ目を赤くし涙をこぼしている。
「うん・・・」
「そしたらちょっと待ってて!」
「フィーちゃん危な・・・」
「大丈夫‼︎」
フィーはオルンから降りて、走りだし、後ろを振り向き、大丈夫と満面の笑みで言い、魔王の配下に向かって走り出す。
「危なかったですねー」
「危うく、追尾出来なくなる所だった」
「そうですよね」
「あぁ」
「はい」
「「「・・・」」」
「相変わらずお前ら三人はだんまりかよ?上位3位までの配下は、忠実だねー」
「仕方ないですよ」
「そうだ」
「あれは・・・?」
一人の魔王配下が指を差す。
その方向には・・・。
「やべ!バレたか⁉︎」
「マズイですね」
「あぁ」
「困ります」
「「「散‼︎」」」
上位3位までの魔王配下は、散る。
だが、それはフィーの怒りを増幅させるだけの行為でしかなかった。
(ミーセルさん泣いてるし・・・。どうしようかな、それにミーセルさんの裸を見た魔王の配下は全員死刑決定)
フィーは、直ぐに魔王の配下の元に辿り着くが、そこで3人が散る。
計8人中3人が散った事により、一網打尽に出来ないので、まずは3人を見せしめにすることにする。
「お兄さんー?逃げないでー」
「⁉︎」
後ろを振り向くと、そこには美少女が・・・。
次の瞬間、眼を抉られ、視界がブラックアウトする。
「・・・」
「眼を取っても、悲鳴一つあげないんだね?お兄さんは、魔王何位の配下?」
「・・・」
「そっかー次は腸を引き摺り出して欲しいんだー。わかったよー♪」
魔王の配下は、させまいと反撃しようと構えるが、目の前の美少女は消える。
文字通り消えたのだ・・・。
次の瞬間、自分の腹からは、腸とその他臓器が全て抜かれていた。
「お兄さん、だんまりは良く無いよ?」
フィーは、手を真っ赤に染めて微笑む。
臓器は全て、従魔に喰わせた。
フィーが言葉を発し終わると魔王の配下は、地面に倒れる。
そしてそれを待ってましたと言わんばかりに、フェンリルが現れ喰べる。
「綺麗に喰べてねー?」
「むしゃむしゃむしゃ」
「フェンリル君ー?」
「むしゃむしゃむしゃ」
「返事しないと殺すよー」
そう言うとフェンリルは、喰べるのを中止し、お座りしてフィーの方を向く。
「よしよし!わかった?」
「わかりました!」
「なら喰べ終わったら、戻ってねー」
「はい」
フィーは、逃げたもう2人を追いかけるのだが、フェンリルが人間を食べ終わる頃には、もう既にもう一人の背後にフィーはいた。
「お兄さん?おねえたんだー!」
「⁉︎」
背後から、声をかけられる。
しかも魔王にも性別がばれていないはずなのに後ろの少女はそれを見破った。
「おねえたんだよねー?一瞬お兄さんかと思ったー。質問‼︎おねえたんの魔王様は序列何位?」
「私の性別を見破ったから教えてあげる。さっき殺した配下が2位。私が1位よ」
「ありがとー。優しいねおねえたん!」
満面の笑みで配下に笑顔を送る
「それで私に何のよう?」
「そうだねー?殺しに来たけど、ちょっと趣旨変更。おねえたん、フィーのアサシンにならない?今の1万倍は強く出来るよ」
「・・・・!?」
女配下は、その言葉を疑う。
自分は魔王の配下のなかでも、トップのエリートなのにも関わらず、その私を1万倍も強化出来るなど・・・
と耳を疑う。
「そうだねー。疑うなら、こいつとたたかってみてー、その間に殺してくるからさ、もう一人」
「フェンリル‼︎出てこい!」
そうフィーが命ずると、魔法陣が現れフェンリルが現れる。
先ほどまで口が赤かったのに、今は綺麗に血のちの字も無くなっている程に綺麗になっていた。
「じゃあ、頼むねー?」
「わかりましたー。もう一人は報酬でくださいねー?」
「わかった」
そう言うとフィーは、2人の前から消える。
「えーっと、私は幻獣フェンリルです。聞いたこと無いなら無いで結構です。驚かれてるかもしれませんが、そんなの直ぐに忘れます。命2、3個無くなるので覚悟をお願いします。」
女配下は、驚きで体が固まる。
幻獣召喚⁉︎
まず召喚すること自体聞いたことすらない。
卵を孵化させて従魔が・・・なら分かるのだが・・・。
それ意外にも、言葉を喋るなど聞いた事も無い。
我が主ですら召喚や言葉を喋る魔獣は持っていない。
それ以前に魔王の力を圧倒的に超えている。
魔王様など足元にも・・・。
「えーっと・・・」
「では、命令なので開始します。死なないでくださいね」
フェンリルは、一歩地を蹴ると次の瞬間女配下の左腕が口の中に入る。
フィーと戦った時は、逆で、自分の足を捥ぎられ、入れられた事を思い出す。
「弱い、むしゃむしゃ。弱過ぎですむしゃむしゃ」
フェンリルは、左腕を喰べながら喋る。
「えっ?・・・・うっ‼︎」
女配下は、左腕を捥ぎられた事に気づき、血を止める為に抑え、左腕に何か注射を打つ。
「止血剤ですかー?大丈夫です。私がちゃんと火で炙って血管焼いてるので血塗れですが、出血しませんよ?」
フェンリルは、フィーと戦った時出血することすら血管が忘れる程早業で殺されかけたことをおもいだした・・・。
(あぁ・・・懐かしいなー)
「勝てない・・・」
女配下は希望と絶望を込めてその言葉を発する。
「どうしますかー?この場合はフィー様から教えられていますので、選択肢を出しますねー」
1、この場で死ぬ
2、私の配下になって、強くなる。
「後者は、復讐アリだそうですよー私は今だに勝てませんが・・・。もうなん兆年経つんですかねー?」
「・・・・・・・」
「無言と言うことは“死”で良いんですね?」
その瞬間後ろから何者かに、舌を引っ張られる。
「お兄さん!」
「誰?」
「お兄さんは、序列何位の魔王の配下?」
「3位です」
「敬語?」
「私は、強いものに従うのが正しいと考えるものでございます」
「あー。そう良いやつ一番いらない」
その瞬間目の前の男の首は地面に向かって落ち始めるが、地面に着いた頃にはフィーの姿気配は、周辺には無くなっていた・・・。
「だめでしょー?フェンリル?答えは慎重に!」
「す、す、すいませせせせん!しあがぬけあいまうす!」
「ごめんごめん」
「それでどうするー?」
「フェンリル、そう言えば置いてきちゃった喰って来て?」
「はーい」
フェンリルは空を駆けて、見えなくなる。
「ごめんね、躾がなってなくて。それでどうするー?おねえたん?」
「・・・」
「復讐アリだけど?」
「・・・」
「そっかー」
「ヨルムンガンド?餌だよー」
魔法陣が、女配下の真下に現れ、女配下が逃げようとした瞬間、蛇の口が女配下を飲み込む。
「ごちそうさまでした」
「お粗末様でした!」
「うちは、ミーセルさんの所戻るから後よろしく」
「御意」
そう言うとヨルムンガンドは、フェンリルは消え、フェンリルの元でまた現れ、フェンリルが他の人間を喰わないように一緒に異界へ戻る。
「あーっ!終わったー」
フィーは背伸びをして、息を吐く
「ミーセルたんの所にもーどろ!」
そう言うと、ミーセルの背中まで、一蹴りで戻るフィーであった。
読んで頂きありがとうございます。
これからは、従魔や心の声が出てきますー笑