10話。制裁
フィーが寝泊まりしている宿は相変わらず、繁盛して居なかった。
原因は、宣伝して居ないこと。
宣伝しても道が分かりづらく、辿り着けないこと・・・。
よって宣伝して居ないことが原因だった。<PRB>
「どうしよう?おねえたん?」
「そーだねー?ミルカ宣伝して来てくれない?一応序列3位でしょ?」
「やだ」
「なんで?」
「やだ」
「あー嫉妬かー相変わらずのロリコンっぷりだねー」
最近、フィーはミーセルと話す機会が多くなり、ミルカなど、居たっけ?という存在になりつつあった。<PRB>
「絶対やだ」
「おにいたん・・・」
「フィーちゃんがお願いしてるのに行ってあげないの?」
「やだ」
「じゃあフィーちゃん一緒に宣伝しに行こっか?」
「うん!」
「・・・・・・・・」
ミルカは、泣きそうな顔で、店の奥に走って消えて行った。
「おにいたん大丈夫?」
「まずいねーあれは。かなり致命傷みたい。後で何かしてあげて?」
「じゃあハグとかで、機嫌直るかな?」
「それはちょっと危ないかなー」
フィーはミーセルにミルカがどれだけ危ないロリコンなのかを聞いていた。
この街でロリコン野郎と言えば、ミルカを知らない者は居ないそうだ。
好きな子がいれば、猛烈アピールをするそうだが、今の所フィー以外全て玉砕だそうだ。
なので今はフィーに心底惚れ込んでいるそうだ。
だからフィーがおねだりなどすれば、全力で願いを叶える、危害を加えた者は死刑、フィーが居るだけでミルカは癒さる。
ある意味麻薬の様な物だ。
だから、フィーが今離れてしまう事が何よりもミルカは恐れている。
それを恐れているのはミーセル。
ミルカが自制心を持たなくなった時、何をするか分からない為警戒をして居るが、今の所問題はなさそうである。
「じゃあー、抱っこしてもらうとか!」
「それなら大丈夫かな?」
ミーセルと話していると、大通りに出る。
ここで宿の宣伝を開始する。
内容は、安く、料理が旨く、美少女と美女が居ること。
この三本柱だ。
「そこのお兄さん!Fairy Hotelはどうですか?安くて、料理はどこの宿よりも美味しい自信がありますよ!料理を作るのはこの女の子ですー♪」
「あの・・・よろしく・・・お願い・・・します・・・」
フィーは、ミーセルの影に隠れながら、お願いする。
すると不思議と、男が寄ってくる。
10分も経たないうちに、囲われた。
全ての質問はフィーに・・・。
この世界はロリコンが物凄い多いようだ
それともたまたま冒険者はロリコンなのか?
フィーは、猫を被ったまま宿に男共を誘導する。
「あの・・・おにいたん達は、冒険者さん?」
「ちょ、ダメだ。この子天使過ぎる。誰か代わってくれ、直視されると死にそうだ!(歓喜)」
「お前!抜け駆けはずるいぞ!」
「そうだ!そうだ!」
と何故か小競り合いが始まる。
だがその小競り合いは、ミーセルでは止められなかった。
「みなさん!喧嘩しないでください!・・・イタッ‼︎」
その時、誰かがミーセルを突き飛ばす。
これには流石にフィーも目をつむれず、重い口を開く。
「おにいたん達、大っ嫌い‼︎」
そう言うと、フィーは宿に駆け込んで行く。
それを宿でしょぼくれて居たミルカが目撃、フィーが涙目という特典付き。
それを目撃したミルカからは、赤黒いオーラが漂う。
「おい、ゴミども、フィーちゃんを泣かせた奴は前に出ろ、ここで打ち首にしてやる。10秒以内に出て来なければ、全員打ち首だ。10、9、8、7、6、5、4、3、」
「待ってください!ミルカ様!」
「発言を許可した覚えは無い」
「そこの女が勝手に転んだのです!」
その男は1番口にしてはいけないことを言った。
それは、フィーのスイッチを入れてしまう。
フィーは、そいつを『居ないことに』にする。
誰も気づけないだろう、この早技自体も、フィーが動いた事すらも・・・。
フィーが、事を終えると皆は気づくだろう、目の前の男が一瞬にして消えたことに。
だが僅かに血の匂いが鼻を抜けるだが皆はそんな事に気づかない。
「おい、そこに居た奴どうした?」
「えっ?」
「・・・・」
「まさか!ミルカ様が、処刑を執行したー‼︎早く土下座だ!お怒りを静めろ!殺されるぞ‼︎」
一斉に男共は土下座をする。
言い訳はしない、した瞬間殺されると思っているからだ、だが当本人のミルカでさえ、何が起きたのか把握出来て居ない。
だがそんな事は次の瞬間忘れてしまう・・・。
フィーが宿から出て来て、ミーセルに駆け寄る。
「おねえたん!大丈夫?痛くない?」
「大丈夫。フィーちゃんは心配性だね」
「でも!膝が・・・」
「大丈夫。すぐ治るよ?だから大丈夫」
「おめぇら‼︎ミーセル姉の膝に傷跡残った時は、全員覚えておけよ。」
「は、はいぃぃぃ‼︎」
「分かったら、早く俺の視界から消えろ‼︎」
「おにいたん!【コレ】大事なお客さん!」
「フィーちゃんが、許してくれたぞ今回の件は目をつむるが、お前ら分かってるな?」
「はいぃぃぃぃぃぃ‼︎」
返事をしながら、男共は去って行った。
それからミーセルの膝に傷跡が残らない様にフィーが異世界の(ry
ゲホンゲホン。
傷跡が残らないように手当をしていた。
ミルカは珍しく怒り、フィーとミーセルを怒鳴りつけた。
だがあまりにも理不尽な事をミーセルに言うので、最後はフィーが嘘泣きをし、ミーセルに抱きつく。
そして、ミーセルとおじさんに睨まれ、説教が強制的に終了となる。
翌日、多くのロリコン共が傷に効く薬草やら、薬やら、万能薬やら・・・中にはエリクサー紛いの物まで持ってくる者が続出。
そのあとフィーの手料理を食べて皆、フィーの隷属と化すのであった。
それからは毎日、穴場の宿と言うことで、一部の人達に好かれる事となる。
街では、密かにこう呼ばれている。
『本物の妖精に会いたいなら、ここに行け。
行けば、人生の目的が、変わるだろう。
名前はFairy Hotel 通称FH。』
読んで頂きありがとうございます。
更新が遅くなってしまい大変申し訳ございません。
少しリアルの方が忙しく、小説を書いていられず・・・。