「役立たず」と追放された俺、三分後に世界を救う
「役立たず」
「役立たず」
「役立たず」
勇者パーティーのメンバーで、仲間を一言で現すならってゲームをした。
僧侶の俺は、満場一致で『役立たず』に決定した。
勇者は『長髪イケメン』、魔法使いが『巨乳』、剣士は『 ロリ系』だったのに……。
「短髪」「ヒゲ」「マッチョ」とか特徴あるのに。
「うーん……」
勇者が悩んでいる。
「みんなも僧侶についてそんなふうに思ってたのか、ダメじゃないか」
「勇者だって思ってたんでしょ、シャツの間から胸毛が見えてるのも嫌だし」
「……すね毛も嫌よ」
「実は、俺も髭が嫌だった……」
なんで俺の悪口大会になってるんだ?
体毛濃いのはしょうがないだろう!!
身体的特徴を笑うなって言われなかったのか!?
これだから中世ファンタジーの奴らは!!
——俺はこの世界に転生した転生者だ。
筋肉質で男らしい見た目をしているが、現代の感覚があるから毎日風呂に入って歯を磨いたり、いろいろ戦闘以外にもやることがあるんだ!!
衛生観念で手間取るのを、役立たずって言うな!!
……なんて言っても通じないよな……。
「体毛が不潔なのよ」
「毎日風呂に入らないお前らより、キレイだっつーの!!」
「まあ、ここまで嫌われてるんだ、どっか行ってくれ」
勇者が言って、魔法使い、剣士もうなずいてる。
え? 嘘だろう、一言ゲームから追放って……。
俺は、勇者パーティーを追放された。
——一分後。
勇者パーティーが全滅してた。
追放された俺が呆然と勇者パーティーの背中を見送っていたら、その前から黒い塊が現れて、勇者たちに激突した。
気付くとすでに勇者たちは死んでいた。
僧侶の俺が仲間にいれば生き返させてやれたのに……。
ピィーンっと死体が教会に飛んで行った。
あーあ、ボッタクられるぞ。
さっきまでパーティーにいた俺は、勇者たちが次の街で豪遊するために金を貯めていたのを知っている。
宿屋のシャワーをキャンセルしたり、涙ぐましい節約で、せっかく貯めたのにな……。
ってそんなことより——
なんだ……この禍々しいオーラは!!
勇者たちを倒した黒い塊が俺の方にやって来る……!
黒い魔力のオーラ。
これは——こんな強大な力——。
魔王に違いない……!!
にっと黒いオーラの中で、小さな口が笑う。
「……僧侶様、勇者パーティーの呪縛を自分で解かれるなんて……ずっと、お会いしたかった……」
徐々に魔力の黒いオーラが薄くなる。
——現れたのは……、
小さな女の子!!?
「はじめまして、魔王です」
にこっと俺に挨拶する。
「ずっとあなたの事を、お慕いしておりました。私と結婚してください。そうすれば魔族と人との対立を終わらせる為に、人間の王に和平を申し込みます」
可愛い美少女がそんな事を言った。
「……はい、喜んで」
——二分後。
転移魔法で王の元に行った俺と魔王。
「それなら良いじゃろう!」
白い髭を生やした国王に事情を話し、和平が成立。
——勇者パーティーを追放されて、三分後に世界は救われた。
教会で俺と魔王は結婚した。
「僧侶様! これで夫婦です!」
魔王が喜んで抱きついてくる。
「嘘だろう……俺が魔王を倒してないのに……」
「平和になったら、生き返りの借金はどうやって返せば良いの?」
教会でボッタクられた後の勇者たちがいた。
今から失業だ。
「僧侶、夫婦って、その子はまだ子供じゃない」
「これ、魔王な。まあ、子供だしおままごとみたいな物だろう」
「……え?」
魔王が驚いてる。
「僧侶様は子供が好きなんじゃないの? 剣士といつも一緒だったから……」
「ああ、剣士は怪我が多いから必然的に一緒だったことが多いな。でも、剣士は見た目はロリ系だけど成人女性だぞ」
ショックな表情をとった後に魔王は魔法を使う。
ボン!!
「どうですか! 巨乳になってみました!!」
「……え?」
魔王が本当に、巨乳の成人女性になっていた。
「ま、魔王って幼女じゃないのか!?」
俺が驚いていると勇者がボソッと言う。
「魔王って、姿を自由に変えられるだけで、オスだぞ」
オ、オス……!?
「どう見ても女の子だろう!!」
俺は、巨乳の魔王を指差して反論する。
「いや、さっきまで幼女だったろ」
……確かに!
え……本当にオス……。
俺は巨乳の魔王を見る。
こんなに可愛いのに。
「どんな物でも、僧侶様のお好みに変身出来ますよ!」
……。
なら良いか。
魔王の方こそ、髭でマッチョの俺のどこがいいのか。
普通の「細身の美青年」の方がいいだろう。
普通の女の子なら体毛は嫌がる……いや、オスか!
でも、可愛い!!
俺は、無職の元仲間の三人をおいて、魔王と手をつないで歩き出す。
俺はこの世界の転生者だ。
結婚したんだし魔王城で清潔に暮らしたい。
果たして、転生したのはファンタジーの世界なのか、BL世界なのか? そこはちょっと悩むけど。
「僧侶様どんな姿がお好みなんですか?」
魔王に好みの姿になってもらって、三分後にはどうでも良くなっていた。




