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悦楽の檻

 石壁に穿たれた銀の枷が、ミアの細い手首を無慈悲に食い込んでいる。

 氷の魔力によって「剥製」のように固定された彼女の肉体は、リリアーヌの指先が触れるたび、屈辱と恐怖に震え、白磁の肌に微かな赤潮を散らした。


「……あ、ぁ……っ」


 声にならない声が、湿った地下室に密やかに響く。

 リリアーヌは、カイルの胸に背を預けたまま、ミアの鎖骨をなぞるように冷たい薬瓶を押し当てた。


 「可哀想に。そんなに熱を帯びて……。私の毒が、貴女の血を疼かせているのかしら? それとも、カイル様の視線に、魂まで犯されているの?」


 リリアーヌは甘く囁き、自身の唇をミアの耳元に寄せ、熱い吐息を吹きかけた。


 「これは『真紅の毒』。……痛みはすべて、耐え難いほどの悦びへと書き換えられる。死にたいと願うほどに、貴女の体は生を謳歌し、疼きを止められなくなるわ」


 背後で、カイルが地を這うような低い笑い声を上げた。

 彼はリリアーヌの首筋に深く顔を埋め、その柔らかな肌を噛むように吸い上げる。

 一方で、その冷酷な視線は、羞恥に顔を歪めるミアをなぶるように眺めていた。


 「リリアーヌ、もっと見せてくれ。この女が、君の愛した毒で内側から壊れていく様を」


 カイルはリリアーヌの腰を強引に引き寄せた。

 リリアーヌは陶酔に瞳を潤ませながら、ミアの唇を、自身の指先で強引に割り開いた。


 「さあ、飲み干して。……これが、私からの贈り物よ」


 最後の一滴が、ミアの喉へと流れ込む。

 そしてその瞬間、ミアの背が反り返った。

  瞳は虚空を泳ぎ、全身の神経が火照り、剥き出しの快楽に焼かれていく。


 「……あ……あああ……っ!」


 「ふふ、いい声ね。」


 リリアーヌは、絶頂の絶望に震えるミアの額に、慈悲深い女神のような口づけを落とした。

 そのすぐ隣で、カイルの歪んだ欲望が、リリアーヌの唇を奪い去る。


 二人の怪物の恍惚の夜は更けていった。

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