ニュウガクのハナシ
なんだかんだありつつも、入学の日になった。日本では2学期が始まるころだ。みんなは何をしているのだろう。心配だ。コウスケ達以外はみんな僕を気にも留めないかもしれない。たった3人の友達だ。それでも、むしろたった3人だからこそ、失ったときの感情は大きくなる。
でも、ぐだっていても現状がよくなるわけじゃないし、とりあえず今日から新たな生活がスタートする。それに順応しないと
学校についたら、張り紙がしてあった。クラスわけだ。僕は中級クラスのB組みたいだ。
「,,,やっぱ中級か」
誰にも聞こえない声でボソッとつぶやいた。
校舎は3つあり、それぞれクラスによって分かれる。すべての校舎はエントランスからポータルをくぐることで通れるようになっている。
中級幼稚園式第一学年B組
ここか。僕以外は脳を改造されたわけじゃないんだからもう少し柔らかい書き方にしたほうがいいと思う。クラスは40人制、学校全体を単純計算すると3×40×8×19=18240になるけど、初級は凄く数が少ないらしく、学年によっても誰一人編入していないところなどもあって、実際の人数は10000人くらいらしい。どちらにせよすごい人数ではあるけど。
自分の机に座ると、隣の子から話しかけられた。きれいな栗色の髪に、茶色い瞳。日本だったらかなりの美人と言われていたはずだ。
「あれ、あなたもしかして日本人?」
そういった後、確かに ’日本語’ で話した
「あなた、この言葉分かる?」
「君、日本人なの?」
こんな所に来て日本語を話すなんて思ってもいなかった。
「私はエミ・フォーゲル。ドイツで生まれて、そのあとすぐに日本に来て日本で育ったわ。お父さんがドイツ人で、お母さんが日本人なの。だからドイツ語と日本語と英語を話せるの。英語はまだまだ練習中なんだけどね」
彼女がそういうから、僕もドイツ語で答えることにした。
「Ich heiße Haruto Shinohara, bin Japaner」
「あなたドイツ語も話せるの⁉」
「まあ、色々とありまして,,,」
「へえ、色々あったのね」
ここで英語に直した。
「どうしてここに来たの?」
「家族旅行でニューポートに来てて、面白そうな列ができてたからみんなで並んだの。あなたは?」
「杖を買いに」
「ここにはいい杖がたくさんあるものね」
ちょうど、担任のような人が入ってきた
「皆さん、ご入学おめでとうございます。担任の、ミラ・アシュフォードです。どうぞよろしく。
ここにおられる皆さんは事件に巻き込まれ、やむを得ず転入をしなければならなくなった皆様だと思います。もとの世界に戻れない悲しみもあると思います。しかしどうか、その悲しみを魔法にぶつけ、優秀な魔法使いになれるよう努力をしてください。私は今、すごく厳しいことを言っています。あなたがた子供にとっては辛すぎることを言っています。しかしあなたがたがいつか、優秀な魔法使いになれば、帰る手段もすぐに見つかるでしょう」
現実を突きつけられる。僕じゃなければ、この現実から目をそむけるかもしれない。でも、僕以外はこの現実が薄い、失った物の価値が少ない、というのもまた事実。きっと、まだ家族以外に深い関係ができていないのがほとんどだと思う。この裏の世界で幼少期を過ごせば、ここは最高の場所になるだろう。
エミ・フォーゲル:魔法使い




