サイショのハナシ
ここは異世界。この世界には大きく分けて3種類の人類がいる。
1つ目はごく普通の人間。特筆した能力がなくせいぜい頭がいいとか運動ができるだとかそんなところだ。
2つ目に異能力者。人間以外の何かの能力を持っていたり、別種族との混血だったりだ。これは割と複雑で、生まれつき人間ベースの混血や、後天的に能力をつけて異能を獲得したり血清を打ったりして異能力者になれる。
3つ目に別種族だ。人間と友好的な奴らもいれば人類滅亡を目指す奴らもいる。けどまあ、人間と大して変わらない。別種と人間ってのは北朝鮮と日本、みたいなもんだ。
そして1年前、僕は生まれた。こういうのは普通人生2週目だが、僕は1週目だ。
生まれて1年しか経っていないというのに、僕は物心がついていた。しかも無駄に語彙がある。その理由として考えられるのは’実験’の影響だ。僕は普通の人間として生まれた。でも、ある日スケルトンとの適合実験の子供として使われた。
スケルトンとのDNAを全身の骨に移植する。でもそれだと拒絶反応が起こりやすいから、まだ体が完成していない子供を使う。頭脳の不足を防ぐため、少し脳を改造する。こうしてできたのが僕ハルトだ。他の子供は実験のときに耐えられず死んでしまったらしい。
もう一つ僕には能力がある。ちょっとした魔法だ。まだそこまで強くなく、水道レベルの水がちょろちょろ流れたり、遠くのものをゆっくりとこっちに運べるくらいだ。
スケルトンのほうがうまく扱える。腕に全力で力を込めると一本の骨が空気中にでてきて、自由に操れる、といった具合だ。まだ赤ちゃんだから自由に扱えるといっても飛ばしたりできる程度だ。
とりあえずしばらくはこの二つの能力で遊びながら暮らしていきたいと思う。
2年経ち、幼稚園に入った。周りの1/10くらいだろうか、何人か異能力者がいた。
記念すべき人生一人目の友達が獅子と鬼のDNAを持っているらしい。
「それパン?ちょっとちょうだい」
いうが早いか、僕のお弁当のパンを渡したら2秒で燃やされた。なかなかひどい話だ。名前はカントというらしい。獅子化の能力があって、燃えるライオンになる。水をかければ消え、ただのライオンになるが,,,
もう一人異能力者の友達ができた。化け狐のハーフで、人を欺くことができるらしい。名前はコウスケ。夢幻という、他人に幻覚を見せる技を持っている。出会ったときに分身されたから驚いた。
異能力者はまだ理解者が少なく、純正の人間からすると気味が悪くて仕方がないみたいだ。僕ら異能力者は30人編成のクラスに僕含めて4人いたが、一人半年たたずに引っ越してしまったやつがいた。だから今は3人だ。僕ら異能力者はよくいじめられる。
「お前気味わりーんだよ、近づくんじゃねえ!」
こいつの名前はレオン。クラスの中での暴君、ドラえもんのジャイアンみたいな感じだ。最も、こいつが映画でやさしくなるとは到底考えられないが。
「なんでハルト君のこといじめるの?ひどいよ!」
彼女の名はアカリ。人間の中で唯一僕たちと仲良くしてくれる。能力こそないが、異能力者側に立ちたいと思っているらしい。
「お前もきみわりーやつの味方すんだったら近づくんじゃねえ!」
「いいもん、アカリもいじめる人の近くいたくないもん!」
この二人は僕たち異能力者と違って、脳の手術を受けていないからか、言動が幼い。
そんなこんなで早くも幼稚園に居場所がなくなった僕たちは、異能について調べることにした。幼稚園の中には絵本しかないから、図書館を使うことにした。でも、幼稚園が終わった後だと絶対に母さんがそんなことをさせてくれないと思う。だから、幼稚園をこっそり抜け出すことを考えた。
「作戦は、コウスケの’夢幻’を使ってまるで僕らがいるように見せる。カントの獅子化で大きくなって、みんなカントに乗って図書館に行く。いいね?」
「わかった。じゃあまず俺が,,」
’夢幻’
コウスケの夢幻で周りを欺く。二人いるのが見つかったらまずい。
「今のうちに、カントくん!」
本当はアカリは幼稚園に残ってほしいが、どうしてもというから連れていくことになった。
「もしその辺が燃えたらハルト消しといて!」
そう叫んで、うめき声をあげながらカントは獅子の姿になった。彼に乗って、僕らは図書館に向かった。カントは疲れて、すごく体力を消耗してたみたいだ。僕は魔導書を読んだ。ワープに関する記述があったからそのページを読んだ。どうやら、詠唱と言って書いてある呪文を口に出して読むらしい。試しに、適当に開いてよさそうな呪文を使って見ることにした。
「えーっと、’イントラビット・エクタシス’」
黄色い輪ができて、目の前に森が広がった。ポータル呪文だ。何回か練習し、無詠唱でもできるようになった。これでカントが獅子を使わなくて済む。
コウスケは化け狐について調べていた。コウスケの化け狐は江戸時代からある異能らしい。
「化け狐って、霊獣として化け狐を一体呼び出せるみたい。」
少し気になる。どんなのが出てくるのが興味がわいた。しかし、時間が来てしまったので、また来月ここに来ることにした。これ以上夢幻で乗り切れるのかすら怪しい。
「とりあえず今日はここまでにしていったん帰ろう」
そういって、さっきの魔法を使った。
ここで僕らは幼稚園に帰った。僕の心配は的中していた。
ハルト:スケルトン/魔法使い




