表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

コイン・チェーン

五百円玉の沈黙

作者: 500円玉 -motimoti-

 大学の自販機でお釣りを受け取ったとき、一枚の五百円玉が手に落ちた。

 まだピカピカで新しいが、表面を指でなぞると、縁のくぼみに微かに文字が刻まれていた。


 「きこえるか」


 深夜、部屋で寝ていると、かすかな音が耳元に届く。

 最初は耳鳴りかと思ったが、それは硬貨を握っているときだけ聞こえる声だった。

 声は途切れ途切れに「…川…橋…」と告げ、次第に鮮明になっていく。


 指示された場所に向かうと、橋の下に古びた缶コーヒーの空き缶と、裏に刻印された百円玉があった。

 そこには「きみの、ことばを。」とあった。

 それは、数年前にネットで見かけた“百円玉の裏に刻まれた言葉”と同じだと気付く。


 ポケットの五百円玉は、もう何も言わなかった。

 ——役目を終えた沈黙だけが残った。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ