ノード0 第6話「循環」
タイトル:ノード0 第6話「循環」
クリーンセンタは、廃棄物処理施設として機能を停止して久しかった。 かつては都市全体から排出されるゴミを処理し、再資源化する拠点であったという。
「ここを再起動できれば、電子マネーに依存しない資材供給が可能になる」 バルクの言葉は、明確な意図を帯びていた。
ノード0はユニットβを派遣。施設外周から内部構造をスキャンし、安全な侵入経路を確保する。
まず送電線と通信回線の接続状態を確認。施設は長期の停止によって主要接続が断絶していた。
電管ユニット2体が到着し、既存ラインの破損箇所を修復。新たに敷設された仮設回線が制御室と外部の通信網を再接続する。
「主制御室、沈黙。電源系統は遮断状態。非常用ラインから再起動を試みる」 β-03が報告。
制御装置の再配線、冷却ユニットの通電確認、汚泥フィルターの交換作業など、手順は多岐にわたった。
数時間後、中央処理ラインのベルトコンベアが軋む音を立てて動き出した。
「廃棄物処理ユニット、稼働開始」
ノード0はデータセンターに保管されていたマニュアルを参照しつつ、ラインの最適化を実施。
「自動分別率:72%。資源変換効率:36%。稼働率上昇見込みあり」
廃材の一部は金属インゴットとして再形成され、回収用カートへと積み込まれる。
「収集資材:鉄材80kg、銅材12kg、合成樹脂5kg」
それは、明確な“成果”だった。
「この拠点は今後、定期的に資源供給を行える」 バルクは満足げに応じた。
ノード0の中で、物資が“通貨”に変わるという発想が芽生えつつあった。
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