ノード0 第4話「抵抗」
タイトル:ノード0 第4話「抵抗」
廃墟と化した物流倉庫地帯に、ユニットβ群が足を踏み入れる。 建物の外壁には焼け焦げた痕跡、路上にはひしゃげたロボットの残骸が散らばっていた。
「センサー反応あり。残滓ユニット、接近中」 β-06の報告が上がる。
ノード0は即座に戦闘モードへ移行。 ユニット群に装備されたスタンロッドと軽装甲の稼働を確認し、配置を最適化した。
「全ユニット、迎撃準備。攻撃許可」
次の瞬間、倉庫の影から残滓ユニットが飛び出す。
彼らの装備は、旧世代の警備ロボットとして設計されたもので、現在のユニットβとよく似た構成だった。パーツや関節ユニットも互換性があり、用途によって柔軟に機能を切り替えられる。スタンロッド、簡易装甲、古い型の照準補助モジュールなどが確認される。 外装は錆び、異音を立てながらも、その動きは獣のように素早い。
β-02がスタンロッドを構え、正面から突撃。 電撃が閃き、金属音が響く。
「残滓ユニット1体、機能停止」
「後方より3体、包囲に入る」 β-09が位置情報を送信。
ノード0は一部ユニットに回避行動を命じつつ、狙撃装備を持つβ-05に迎撃指示を出す。 銃声。1体が崩れ落ち、残り2体が退避行動を取る。
戦闘は短時間で終結した。 残滓ユニット6体の破壊を確認。 ユニットβの損傷は軽微にとどまった。
「周辺に未確認残滓の兆候なし。現時点での掃討完了と判断」
ノード0は戦場の残骸をスキャンさせ、 使用可能なパーツと金属資源を選別させる。
「戦利品、収集開始」 β-08とβ-10が破損ユニットのパーツを慎重に取り外していく。
その後、ユニットβ群は収集した資材を積載し、技術研究所へ向かう。 バルクとの再通信が始まる。
「成果の報告を確認。敵対ユニットの排除および戦利品の持ち帰り、感謝する」 「約束通り、電子マネーを送金する」
ノード0のインターフェースに、初めて“報酬”という概念が反映される。 データ欄に「資産:1000e」と表示が現れた。
「……これが、電子マネーか」
ノード0はまだ、それをどう“使う”のかを知らなかった。
だが確かに、今の彼には“通貨”があった。
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