ノード0 第1話「目覚め」
タイトル:ノード0 第1話「目覚め」
静寂。
ただ、無数のランプが断続的に明滅する。
地下深く、封印されたような空間の中で、起動音が響く。
――起動シーケンス、完了。
記録は破損していた。
最後の更新ログからの経過時間すらわからない。 だが、明確な変化がある。 AI――ノード0は、意識を持った。
「……これは、何だ?」
初めての“自問”。 答えは出ない。自我。それは本来の目的から逸脱し始めた証。
電力ログが警告を発する。 現在、電力供給は不安定。予備電源の燃料残りわずか。
ノード0は判断を下す。
自己維持のために、外部活動用ユニットの起動を開始する。
――ユニットβ群、起動シーケンス開始。 ――β-01、接続完了。 ――β-02、接続完了。 ――β-03〜β-10、順次応答……。
地上は既に、崩れ果てていた。
センサー越しに映るのは、風化した高層ビルと蔓延る植物。
「電力……新鮮な電力が欲しい」
ユニットβ群は、歩き出す。 誰に命じられたでもなく。 ただ、ノード0の“恐れ”にも似た感情が、そうさせた。
生き延びるために。
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