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取り憑かれて  作者: 恵 家里
第五幕 執着と焦燥
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第三話 前編

本作品は、句点、かぎ括弧、エクスクラメーションマークを敢えて付けずに編集しております。


○詩を読むように読んでいただきたい

○読者の皆様に、自由に情景を想像して読んでいただきたい


このような勝手な願望からです

一般的な小説と比較すると、大変読みにくくなっておりますことを、予めご理解いただいた上でお読みいただければ幸いです。

 祭り


 感謝や祈り、慰霊のために神仏および祖先をまつる行為(儀式)のこと


 うん

 そうだよな

 祭りってのは、そもそも疫病や飢餓からどうぞ守ってくださーいって、神様とかにお願いしたり、亡くなってしまった人を弔うのが目的だ

 こんなぼったくりの綿あめだ、フランクフルトだ、焼きそばだ下品に立ち食いしたり、金魚だヨーヨーだすくってる場合じゃねー

 救う相手、間違ってるだろ

 もっと神を崇めろ、尊べ、敬え、奉れ

 

 悠、もしかしてお金ないの?


 さっきから屋台と浮かれる連中を睨みつけてばかりで、ちっとも列に並ばないオレを、心配そうに春樹が覗き込む

 手には、たこ焼きを持っている

 こいつに隠し事はなしだ


 ああ、ない


 夏のボーナス入っただろ


 瞬が、焼き鳥を頬張りながら言う

 こいつに謙遜はなしだ


 ああ、たんまり入った


 じゃ、何で金がねぇんだ?


 思いっきり不幸なため息をまき散らした後、教えてやることにする


 こっちに越してきた時さ、実家から、洗濯機やらテレビやら炊飯器やら送ってもらっただろ?

 家にある新しいのオレに送って、古いの使ってたら壊れたってさ

 新品買えのなんのって

 渋ったら、お前が怠納してた家賃がどうだ、クレジットの支払いがどうだ、昔の話延々としてきやがって

 家電、全部新調してやったんだよ

 あとさ、オレ、最近料理に目覚めてさー

 いろいろキッチン道具揃えたんだよ

 鍋とか葵が使ってるやつが良いなーとか買い揃えてたら、結構な額いっちゃってさー

 それにさ、スマホ

 今月やっとスマホも買えたんだよ

 四年ぶりに

 来月からアプリ使えなくなるところだった

 な?

 ボーナス、すっからかん


 バカか


 あからさま過ぎる、人を見下す態度

 ちゃんと親孝行してることを褒めてほしい

 オレ、褒められて伸びるタイプなのに


 実家に新品買ってあげるなんて偉いよ


 春樹、おめーはやっぱりサイコーだ


 たこ焼き、一緒に食べよ


 おい春樹、甘やかすな


 葵もお祭り楽しんでてって言ってたし


 奢れってことではないだろ


 一緒に食べるだけだよ


 そんなことを言いながら、結局その後二人は、フライドポテトに唐揚げ、焼きそば、広島焼き、最後にかき氷を、一通り奢ったりシェアしたりしてくれた

 持つべきものは、財布の紐がしっかりしている親友だ

 熱い友情にかき氷をシャクシャク溶かしていると、ザッと叩きつけるような雨が降ってきた

 祭りに来ていた全員が、慌てて近くのテントや木の下に避難する

 花火が中止にならないか心配したが、幸い雨はすぐに止み、大小様々な大きさの水たまりが、出店の明かりを反射していた

 その一つに、ガキの頃のオレの姿が映る

 その頃この神社には、毎年のように肝試しに来たことを思い出した


 大掛かりな工事をするだけあって、当時から相当年季の入ったA神社は、そりゃあ格好の肝試しスポットで、毎年夏の恒例行事になっていた

 肝試しって言っても、オレが神社や寺、それに墓場ですることは、きちんとお参りすることが基本だ

 昼とは全く異なる雰囲気

 ぼうっと、人ならざるものが、今にも浮かび上がってきそうな建物の陰影

 瞬間的に静けさを覚える蝉の鳴き声

 異次元へ誘導するかのように動く木々

 ムッとした空気と一緒に、鼻腔を焦げたような匂いが通り抜け、背筋にヒヤリとした感覚を残す

 一歩足を踏み入れるごとに、地面から無数の手が足元から伸びてきて、オレをあっちの世界へ引き込もうとする


 そんな妄想と五感が入り交じる中、喉のすぐ下で心臓が騒ぎ立てるのを必死で抑えながら、神や仏や誰ぞのご先祖様に、そっと手を合わせる

 目を開けた時、そこにあるのは同じ景色か

 同じに見えても違う世界か

 同じ世界でも、違う何かがまぎれ込んではいないか

 いつもの不安と期待

 でも、何回味わっても飽きることはない

 満足してもお腹いっぱいにならない

 完全にオカルト中毒者の症状


 いつからか隣には瞬がいた

 オレの様子を引くでもなく、面白がるでもなく、ただ一緒に来て、同じことしてくれた

 いつもの不安と期待に、安心が加わる


 だから

 オレは余計に、

 オカルトへ執着を強めることになったんだ

本作品では、挿絵並びに登場人物の肖像、ストーリーの漫画などを描いていただける方を募集致しております。プロアマ不問

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