第八話 前編
本作品は、句点、かぎ括弧、エクスクラメーションマークを敢えて付けずに編集しております。
○詩を読むように読んでいただきたい
○読者の皆様に、自由に情景を想像して読んでいただきたい
このような勝手な願望からです
一般的な小説と比較すると、大変読みにくくなっておりますことを、予めご理解いただいた上でお読みいただければ幸いです。
オレはとんでもないクソ野郎だ
なんであんな賭けに乗ったりしたんだ
どうかしてたんだ
あいつらが、ホント良いやつらで、葵への思いとか、一生懸命さとか
同情、しちまったんだ
ああーーーー
カッカッと小気味良く鳴る相棒、けん玉ちゃんとは裏腹、オレの頭と胸はパンパンに詰まって、今にも中からドロドロした液体が漏れてきそうだった
葵、怒ってたよな
ってか失望、したんだよな
女を賭けの道具にする、サイテー男って思ったよな
オレだったら思う
その上、見苦しく言い訳したりして
ああーーーー
中皿小皿中皿小皿中皿小皿中皿小皿
高速もしかめ、からの世界一周
空中ブランコ、野球、ふりけん、飛行機
最後に玉を持って灯台
玉の上に、凛々しくそびえ立つけん玉ちゃん
おめーは良くやってるよ
ため息をついてベッドに倒れ込む
ゴロリと仰向けになって、けん玉ちゃんを額の上に構えた
大皿に乗せた玉を、くん、と真上に放る
そのまま大皿でキャッチ
体勢が変わるだけで、難易度は桁違いに跳ね上がる
コン、と痛快な音が頭で鳴るたび、ムクムクと積乱雲のように膨れ上がったモヤモヤが、ダルマ落としの要領でどんどん小さくなっていく
けん玉ちゃんの特殊効果
おめーは大したもんだよ
瞬を車で送ったさっきの場面が、頭の空いたスペースに映し出された
瞬
オレやっぱ、葵にちゃんと謝りてーよ
おめーの言うことはもっともなんだけどよ
賭けに使っちまったのは、どーやったってオレたちが悪かったんだし
ハンドルを握りながら、後部座席の瞬に話しかける
瞬は黙ったままだった
考え込んでるのか、シカトしてんのか
沈黙の時間がやたら長かった
もしかしてオレ、見えてない?
この車、誰が動かしてんの?
って、冷や汗かき始めたころに、
あんなに怒ることねぇだろ
と、やっと瞬は独り言のように言った
あ、オレ、ちゃんといたわ
とりあえず安堵する
ショックだったんだろ
自分が賭けの道具にされて
どうでも良い存在みたいに扱われたと思って
どうでも良くねぇから、死ぬ気でやったんだろ
そうなんだけどさ
賭けの内容だって大したことじゃない
そうなんとけどさ
ちょっと考えれば分かることだ
分かんなくても、ちょっと話聞いてくれりゃ良い
ガキみてぇにイジけてシカトしやがって
内容うんぬんじゃなくてさ、賭けに使ったって事自体が嫌だったんだよ
オレたちのことを信じてたのに裏切られたっつーか
複雑な乙女心ってか
面倒くせぇ
瞬の家の前に停車すると、じゃあなと言って瞬は車から降りた
俺は寝るから、連絡してくんなよ
更にそう付け加えてドアを閉め、背中を向ける
オレは家に帰ってからもずっと、葵のあの顔が、転写シールみたいに、大脳にピッタリ張り付いていた
賭けがバレて慌てて葵を追いかけて、謝った
顔を上げた時に見た顔
すっげー、悲しそうな顔してた
怒りで、無理やり泣くのを我慢しているような
キレイなんだけど、そんな顔は絶対させちゃダメだって思ってたのに
思ってたのにオレはーーーーーー
とめどない後悔と自責の念を、特大サイズのぶさぴよちゃんのぬいぐるみにぶつけ、愛しのけん玉ちゃんに癒やしを求めた
で、今に至る
コン、と額が鳴る
再び玉を放る
タラリン、とスマホの通知音が鳴る
思わずけん玉ちゃんから目を反らしてしまった
ゴン、とこめかみにけん玉ちゃんの制裁が入る
でーーーーー
ベッドの上でのたうち回って、ぶさぴよちゃんを蹴り飛ばした
憐れなぶさぴよちゃんは放置して、スマホをチェックする
春樹からだった
今日の夜六時に二本松に集合
ママがキャンプのお疲れ会しようって
仲直り会も兼ねて
神
ママ、神、ママ神様
ぶさぴよちゃんを力の限り抱きしめて、まんまるボティをひょうたんに変える
すぐに、歓喜の舞をするぶさぴよちゃんを送信
するとタッチの差で、瞬の了解、と書かれたメッセージが先に表示される
寝るんじゃなかったのかよ
なんだかんだ、こいつはこういうやつだ
口では冷たいこと言っても、誰よりもこれからのこと、オレたちのことを考えてくれている
きっと帰ってからも、あれこれ考えるうちに目と頭が冴えちまったに違いない
いや、これ見たら安心して寝るかもな
オレもひと眠りしておこう
バッチリ冴えまくった頭で
ちゃんと葵に、
謝るんだ
本作品では、挿絵並びに登場人物の肖像、ストーリーの漫画などを描いていただける方を募集致しております。プロアマ不問




